第72話 天国良いところ~。酒も美味いし、姉ちゃんも綺麗だ~ (11)
まあ、そんな様子の女神達とオジサン一人をうちは見ながら、酔った足取りのステップで、宴の華を添える為にと跳ねるように踊り狂ううちなのだが。酔っている和を見て、先程から『ふと』気になるから、彼に訊ねてみることにした。
「和~?」
「ん? 何だ、カイロス~?」
「うちとの約束の件は覚えているよね~? 和~?」
「……ん? えっ? あっ、あああ~、覚えているよ。覚えて~。ちゃんと大丈夫じゃ~。心配しなくていい~」
あっ、この爺! 今の今迄忘れていたなぁ~。うちが和に頼んだ願い事を、姉さん達やツレ達と戯れ過ぎて……。
まあ、生前でも和はいい加減なところがある、どうしようもない男だったと、うちは知っていたから、彼に再度訊ねてみたら案の定……。
やはり忘れている状態だった。
だから少しばかり、うちの顔の表情も変わる。
いくら酔っていようが、不満が募れば、拗ねた表情へと移り変わる。
だから和もうちのことが気になったのだろうか?
「カイロス~。もう踊らなくてもいいから~。お前も儂の許へこい! そして酒を注いでくれ今直ぐに!」
何かさぁ~、この爺……。自分の立場という物をわかっているのだろうか?
うちらは、今はふしだらな様子ではいるが、人ではなく神──!
それも世の男達が神話の時代から性のシンボルとして絶賛! 願望! 両手を併せ拝んできた女神達だよ。
それをさ、一個人の男……。それも只のオジサンが酒を注げと命令口調で、顎で使うとは、一体和は何を考えているのやら……?
それこそ? うちが和に対して天罰を落としてやろうか? と、思う程だ。
う~ん、でも、うちの今凝っていることを、和に付き合ってもらわないといけないから。ここは耐え忍んで。
「はぁ~い、今行くね~。和~。ちょっと待ってよ~」
うちは和に言葉を告げ終えると、踊る行為をやめて、更に酔った足取りで、『フラフラ』としながら。彼の許へと向かう、自身の容姿とは正反対な性格……。実は素直なうちだった。
◇◇◇◇◇
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