第70話 天国良いところ~。酒も美味いし、姉ちゃんも綺麗だ~ (9)

 だからうちはツレ二人に、「このまま二人は、家の兄貴への精神的な魔法をお願い~。家の兄貴に邪な妄想を沢山魅せ酔わして、お願いだから~」と、告げると二人は、「ラジャ~!」と、声を揃えてうちへと言葉を返してきた。敬礼のポーズをうちにしながらだよ。


 と、なると? 家の兄貴がいくら強力な神……。時を司るクロノスだとしても、これだけの女神を揃えたうちには勝てることはできないし。うちの邪な野望を阻止することも不可能だから。


 ということで。うちは黄泉平坂から、天界にいる兄貴を凝視してみたらね。


 うちが見つけた、女神の夢を叶える物の監視する為の精霊を召喚するわけではなく。


 誰か……?


 そう、家の兄貴は姿無き者と嬉しそうに会話を始めている。


 それも自身の頭をかきながら照れ筈かしそうにね……。


 一体誰と話しをしているのだろうか? と、傍から見ている者達が思うくらい。姿無き者達と嬉しそうに話しをしている姿──。


 そんな姿の兄貴の様子を見れば、もう大丈夫だとうちは確信ができ。流石この女神面々だと思いながら。


「兄さん~、兄さん~。若い女神から、淑女の女神まで多々いるけれど。こっちにきてうちらとお話しなどしない~? お酒もつまみもあるから~。今から宴をしようよ~。兄さん~」


 うちは、和と言う名のオジサンに再度声をかけ呼んだ。


 すると和は、自身の顔を指さしながら、「えっ? 儂?」と、訊ねてきたのだよ。


 だからね、うちは和に対して、女神の微笑みをくれてやりながら。


「うん、そうだよ~。兄さん~。早くこちらにおいで~」


 と、甘え声色で呼びかけた。


 それも偉大な豊穣神であらせられる女神さま達が和に、招き猫のように手招きしてやりながらだよ。


 まあ、こうなると、普通の男の意思では、理性を保つことができないので。


 和は素直に「あ~い」と、言葉を漏らし。美と豊穣の女神達に魅入り酔いしれながら『フラフラ』とした。酔っ払いのような足取りで、こちらに向かってきたのだった。


 うちら女神の暇つぶしの為にね。




 ◇◇◇◇◇


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