第61話 俺は他界しちゃった~ (22)
「あああ、わかった。別れよう……。今迄本当にお前には世話になった……。本当にありがとう……。後ここに居る愛犬(爺さん)だけは、妹のところに連れていってくれるか?」
まあ、こんな感じで、元妻に今迄自分自身の世話をしてくれたお礼と、元愛犬だった爺さんのことだけ頼むと嘆願……。
その後は「もうお互い二度と『遭う』こともないだろう。さようなら……」とだけ告げて、自身のスマートフォンの通話を切る。
通話を切った和は、その場に力無く『ヘラヘラ』と、へたり込んで男泣きを始めた。
それも声を殺しながらだよ。
本当に自分自身が情けないらしい。
昔は人生五十年と言われた時代もあったのに。
今迄の生活態度が悪いから、五十歳半ばでいらないと家族に捨てられた。
まあ、別に自分自身を家族がいらないからと捨てるのは、和自身も泣きながらだが別に構わないと思ってはいるのだよ。
じゃ、和は何故泣くの? と、傍から見ている者達は思う。
まあ、その通り……。
では和が何故?
自分自身のことが情けなくなり、男泣きを始めているかというと?
和自身を引っ越し後の粗大ゴミのよう破棄して捨てるなら、二十代若しくは三十代……。
いくら歳をとっていても四十代前半ぐらいで捨てて欲しかったと思っているのだよ。
あの頃なら和自身も二度目の人生をやり直すチャンスも、妻が知らないだけでいくらかあったのだよ。
でもね、和自身は、こんないい加減な男だけれど、結婚をしてからは一度たりとも浮気などしたこともない男なのだ。
昔の後輩やツレなどが浮気の話しをしていると憤怒して、怒号を放つタイプの男性だったのに。
いざ妻に捨てられてしまうと今迄の自分自身の人生が情けなくなる。
今迄さんざん『浮気は反対だ! そんなことをする者達は最低な奴だ!』と、言い続け……。
そして言った……。何度も言い続けてきた者達は、ちゃんと、自分達よりも十歳以上も若い妻を連れて生活をしているのだよ。
だから和は、そんな者達の顔を思い出すと。妻一筋で生きてきた自分自身がピエロみたいで馬鹿らしくなるのだよ。
でッ、その後は何故? あんな情の薄い女を妻にしてしまったのだろうか? と後悔を始める。
そして元妻と結婚をしたことの後悔を始めだすと彼は、今迄の人生みなが後悔だらけだと気がつく。
気がつくと和は、出来れば人生リセットしてやり直したいと思い始めるのだが。
まあ、傍から和の様子を見ている者達は知っての通りで。
まずそんな出来事は、映画やドラマ、アニメ、マンガの世界でもない限り無理なことだから。
彼は直ぐにタイムリープをして、人生をやり直したい願望を捨てて、立ち上がる。
立ち上がると和は、フラフラとした足取りで車へと移動──。
その後は絶望感を募らせながら車の運転──。
このまま無限に車を走らせても、某洋画のようにタイムリープをするわけもないので、彼は一言、「さようなら」と、言葉を漏らしガードレールに激突──。
自分自身が他界し生まれ変わりをしてから人生を一からやり直す、転生に決めたみたいだ。
彼の人生のやり直しを……。
◇◇◇◇◇
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