第58話 俺は他界しちゃった~ (19)

「えっ? あっ、うん……。じ、実は以前から……。あんたと別れることが可能なら別れたい……」


 和の元妻だった女性は、彼の問いかけに対して、別れることが可能なら別れたいと、気落ちをした声で告げてきた。


 それを聞き和は、「子供達は、儂等が離婚をするかも知れないことは、知っているのか?」と再度、元妻だった女性へと訊ねる。


「あああ、知っているよ。子供達は……。以前から子供達には、あんたと別れたいと、愚痴や不満を漏らしていたからね……。それに私の大事な思い出が一杯詰まっている家を売らないといけなくなったわけだから。良い機会だと思う? だから別れよう? ねぇ~、和?」


 う~ん、どうやら、和と元妻だった女性が別れるということは、二人の子供達も公認だったようだね。元夫である和は知らなかったみたいだが。


 まあ、和抜きの家族会議で、この度の家の売却が良い機会だから別れた方がいいよ。と、いった会議になったようだ。


 と、いうことで和は、妻だけではなくて、自身の子供達にも捨てられたようだ。


 だって子供達の中で、『お父さんが可哀想だから、やめてあげよう』とか。


『もうお父さん自身も、五十歳を過ぎているし。独り暮らしをさせるのも可哀想……。それに室内で転げて頭などを打ち、意識がなくなったりしたら大変だから。この家に入れてあげようよ』


 と、いった父親に対しての情は無いようだった。


 まあ、和いわく、男は種を植え付けることは可能だが、自分で腹を痛めて、子供達を産むわけでもないから、元妻に勝てないのは仕方がないと思って諦めたようだ。


 それに和自身も何で、自分が家族に捨てられたのかも、大方理解の方はできている。


 どうしても元和の家族だった者達は。和のスローな生活に耐えきれなかったみたいだ。


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