第56話 俺は他界しちゃった~ (17)

 まあ、そんな良い頃のことを和は思い出すと。今の自分の力のなさ、活力の低下を実感する。


 そう思うと彼は、「はぁ~、過去に戻りやり直せないだろうか……。この家を購入し水拭きを毎日していた頃の儂……。一番活力があり、やる気が毎日湧いていた頃の儂に……。そうすれば、儂の城だったこの家を売らずに済むかもしれん……」と独り言と、涙を漏らしながら只水拭きを繰り返す。後悔とともに……。


〈プルプルプル……〉


(……ん? あれ? 何だ? 儂のスマートフォンから着信音が聞こえてくる……)


 今の自分への愚痴と過去に戻りやり直し……タイムリープができないかと願望……。


 そして、涙を漏らしながら、黙々とフローリングの水拭きをする和のスマートフォンに、急に着信音が鳴り響いてきたから、彼は脳裏でこんなことを思った。


 そう思うと今度は彼、(一体誰だろう?)と、思案を始めながら、自身の履いているジーンズの後ろにつくポケットに手を差し伸べて、自身のスマートフォンへと手をかけると。そのまま取り出し、スマートフォンの画面を確認──着信者の名前を見る。


 そして電話をかけてきた相手は、自身の妻だった確認をするのだよ。



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