第49話 俺は他界しちゃった~ (12)

 その哀愁を帯びた彼女の台詞は一体誰に告げたものなのだろうか?


 傍から見ている者達は、そんなことを思う。


 でも、その言葉の真意は数時間もすればわかる。


 でも今は、何も無い部屋の空間を只茫然と立ち竦みながら見詰める。和の様子を傍から見ている者達皆で凝視をすることにしよう。


「あああ、何もかも無くなった……」


 傍から見ている者達が色々なことを思案していると。和の口からこんな落胆をした言葉が漏れるのだよ。


 でッ、漏れ終えると今度は彼の脳裏に若い頃の思い出……。


 まあ、若いといってもこの家を購入した頃の思い出が和の脳裏に走馬灯が回るようにクルクルと流れる。


 そう、未だ子供達が中学生や小学生だった頃の思い出がね。


 この部屋のリビング──。この空間で家族……。


 妻や子供達と和気あいあいとした団欒の日々の思い出が、彼の脳裏をぐるぐると回る。回ると今度は彼の表情は、走馬灯を見詰めるように呆然と──。


 何処を見ているのか?


 傍から見てもわからない表情へと変わるのだよ。


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