第48話 俺は他界しちゃった~ (11)
和の妻はこんな感じで説明をしたのだよ。その言葉を聞き和の方も。
「あああ、そうか、よかったの……」
まあ、取り敢えずはこんな言葉だけを返していたのだよ。
それもさ、気落ちをした声色でね。
う~ん、やはりさ、いざ和の方も、自身の夢のマイホームだった筈の家の中身──。家財道具がなくなり。塵とホコリの綿だけの部屋になれば、彼自身も現実味が湧いてくる。
今迄は彼自身も何処か? 夢幻なのではないか? と、半信半疑のところもあった。
と、いうか? そうなのだと、自分自身に言い聞かせて、現実離れをして悪夢を忘れようとしていたのかも知れない?
だって和は、その後妻が新居に設置する電気、電話、インターネット回線等の工事に立ち会わないといけないから出かけると告げても。
「ああ……」と、だけ答えるだけで。妻の話しを聞いているのか? 聞いていないのか? わからない状態……。
それこそ? 何処か遠く? 虚ろな目で何かを見詰めているような表情なのだよ。
でッ、そんな夫の表情を見ても妻の方は、これといって気にした素振りもなく。
「この家の部屋の掃除の方を頼むね。あんた……」
と、だけ告げて、元二人の夢のマイホームの玄関から外へと出た。
そして後ろを振り向き、「さようなら……」と、独り言を呟いて、自身の愛車へと乗り込む。
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