第28話 プロローグ と、言うよりも? どうしようもない男……(28)

 だから会社の社長や上司と言い争いを始めるよりも直ぐに、彼の二つの握り拳から『ワン! ツー!』と、速攻で放たれる。


『儂は未だ、若い者には負けないから~』と、意気揚々と勇んだ様子でね。


 う~ん、でもさぁ~、いくら男が荒々しく勇んでもさぁ~。彼のお歳は五十歳を通り過ぎている訳だから。


 若い会社の上司に勇んで男が殴りかかっていってもね。


 まあ、最初こそ喧嘩慣れをしている彼だから優勢に喧嘩がおこなわれても。徐々にだが彼も歳には勝てずに体力がもたなくなる。


 そして息の方も直ぐに上がってくる。


 そうなると男の方が、傍から見ている者達がふと気が付くと劣勢になっている訳なのだよ。


 だって彼の歳を感じる首には、いつの間にか、会社の社長等の若々しい太い二の腕が首に入り。男は身動きすらできなくなっている状態なのだ。


 でッ、その後若い青年社長等は、身動きができない男に対して、若さに任せた力強い大きな握り拳を、『ガン! ガン!』と。何度も男の顔面へと直撃──。食らわすのだよ。情け容赦なしに。


 だから男の口から。


「うがぁあああっ! い、痛い──! く、くそぉおおおっ! は、離せぇえええっ! 離せぇえええっ!」



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