第15話 あなたは誰ですか?(2)
彼は、ヤンキーに凝りオタクにさえ、ならなければまっとうな人生を。
そう、彼が今迄歩んできたどうしようもない人生……。
特に彼の最後が酷いだけに、ヤンキーにさえならなければ酷い人生を送らなくても良かったのではないかと思っているらしい。
まあ、若い頃に、裸のお付き合いをした女性関係も含めてね。
とにかくこの男の人生はヤンキーになったために後悔だらけのどん底って奴を味わったみたいなのだ。
でッ、最後は、先程も少し言葉をもらしたが、彼への神からの天罰なのか?
もうすぐ彼は、五十半ばに手が届きそうな歳頃になるのに。
今更の如く、家族に捨てられてしまう羽目に陥るのだよ。本当に可哀そうに……。
その時の彼を傍から凝視していても両肩を落とし、哀愁漂う背中をして落胆をしていた。
でッ、その時に彼の心の中を覗いてみても。
(ううう……。本当に切なくて、寂しくて仕方がない……)
まあ、こんな愚痴を漏らしているだけ。
う~ん、でも、彼の場合は、自業自得だから仕方がないと言えば、仕方がない気もする。
だって彼は今迄、色々な仕事を……。
まあ、アルバイトも含めてなのだが、多々してきた。
でッ、彼が最初にしたお仕事は、若かい頃にやんちゃをしていたこともあり、露天商のアルバイトから始まり。
次はお好み焼き屋のアルバイトをした。
お好み焼き屋のアルバイトの方はわりと長く続いたのだが。男が高校を中退したと同時に、店長さんから『正社員にならないか?』と、告げられたのだが。男が『お好み焼き屋の正社員か~、どうしよう?』と、悩んで。悩んでも未だ、未成年者の上……。男は自分自身でこの先の将来をどうして良いか判断できないから、自身の両親にどうしたら良いか? と、訊ねた。
すると両親は、男の話しを聞き、このままお好み焼き屋の正社員だと。彼の日常の生活態度が変わる訳でもなく。今迄通りの生活……。
そう、やんちゃ……。ヤンキ―な彼は、毎晩、お好み焼き屋のアルバイトが終わり帰宅をすると。直ぐにツレや先輩、後輩などに電話をかけ自宅に呼び──。夜明けまで近所迷惑など気にしないで、自宅の自分の部屋で男女問わず大騒ぎをする生活を続けている。
だから男の両親はそんな生活にうんざりして疲れているから。
男が高校を中退したのが良いきっかけとなり。
「お好み焼き屋の正社員は駄目だ。お前は手先が器用だから、美・理容院に勤めて、手に職をつけろ……。だから寮を完備しているお店を探してやるから。そこでインターをしろ……」
と、男の両親は熱心に勧めた。
家を毎晩のようにたまり場にする息子が、両親は邪魔で仕方がない。
う~ん、でもね、男の方はと言うと、不満のある顔をしながら。
「えぇえええっ! 親父! お袋! 俺は寮に入るのは嫌だぁあああっ!」
と、男の両親の思いとは裏腹に、こんな言葉……。我儘を漏らしたのだよ。
でッ、男の不満の言葉を聞いた両親は。
「寮と言っても、お前が一人で暮らせるような寮を完備しているようなお店を探してやるから、理・美容のお店にしろ。いいな?」
まあ、こんな感じで、男が一人暮らしの方ができるような寮を完備しているお店を探してやるからと、理美容に勤め、手に職をつけることを、両親は更に強く務めた。
すると男は、自身の両手を組みながら、「う~ん、一人暮らしか……」と、言葉を漏らす。言葉を漏らした男の表情を、傍から見ている者達が良く確認をしてみると。彼は一人暮らしをすることに対しては、まんざらでもないようだ。
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