第5話 私は誰? ここは何処? (3)

 でもね、漏らし。己の自己主張──アピールをしたところで男──。おじさんの周りにいる者達は皆幽霊、物の怪と呼ばれる者達でもない。ないからね。


 おじさんが大袈裟過ぎる振る舞いをして、自己アピールをしたところで無反応……何も示してくれない。どころか?



『ドン!』だよ。


『ドン!』と刹那なのだ!


 そう、無造作、無意識に、己の目の前で立ち騒ぎ、地団駄を踏むおじさんへと体当たりする。してくるのだ。


 それも? 無反応! 無造作に『ドン!』、『ドン! ドン!』と、大きな音と、いうか? 荒々しく物々しい音を立て、避けもしないで、亡者達は体当たり歩行をしてくるのだ。


 と、なれば?



 一人何故か意識、思考をする能力と能力がある。死んでも死にきれていないおじさんは。そのまま亡者の皮の如き流れに飲み込まれ──押しつぶされてしまうから。


「うぎゃ、あああ~! うぎゃ、あああ~! 痛い~! 痛い~! 誰か助けてくれお願いだぁあああ~!」と。


 己の肢体を、自身の両腕、両足でカバー。ガードしながら横たわり。絶叫をあげ──。嘆願! 命乞いをする。するのだよ。


 でもね? ここは亡者の国の入り口──黄泉平坂だから。誰も反応しない。助けにもこないから。


 おじさんは諦めて、今度こそ、他界をする方がいい。いいと思うぞ! と、思うのだが。


 さてさて、どうなることやらと? もう少し、おじさんに付き合って、観察してみることにするよ。


 では、サヨウナだ~。



 ◇◇◇◇◇

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る