第3話 私は誰? ここは何処? (1)

「う~ん」


「…………」




『私は誰? ここは何処?』、ではないが。男……。




 そう、この漆黒の闇の中。只一人佇む男が目に瞳に映るから。いる。いるのだが。と、言いたいところではあるのだが。


 男はもう既に亡者!


 そう、己の魂が抜けきれている者だから。というか? 筈なのだから。


 無意識! 無気力! 何の意思も持たない者ではなくて、物としての状態の筈だから。この辺りを只ひたすら川の流れの如く無意識、無気力で歩行を続ける者達と一緒のように。川の水のように流れていかないといけない筈なのに。


 何故か道の真ん中、というよりも?



 亡者の流れの中に意識と意思を持つ男が一人で佇んでいるようだから不思議でならない。


 だから亡者達の歩行の群れの中を佇む男の方もね?



 自身の周りの景色! 風景! 状況を凝視して確認──。己の両手を組み思案をしながら少し時間(時)が経てばね。男……。




 まあ、おじさんと呼ばれる種族の男になるのだが、己の周り──。自身の瞳に映る光景が異常! 可笑しい! 不思議な景色だと、我が返ったように気が付き──。



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