第49話 真竜が住まう町ブルース

剣戟が交わり、その度に世界が震える。それは世界の悲鳴を示し、真竜と古代竜の戦いは天変地異が如く地形を破壊していく。


インドラが創造せし世界はかつての里。教会の者が見れば天界と勘違いしそうな、浮遊する小島があちらこちらに点在しており、空はどこまでも青く雲ひとつない。

しかし、そんな文化的価値がある神聖な神殿が立ち並ぶ小島は一瞬で塵と化していく。


アガート・ミスラを握るインドラが着陸したファフニールへ剣を薙ぎ払うように振るう。

およそ100mも離れているにも関わらず振るわれた剣からは、太陽の光を圧縮した高密度のレーザーが放たれ、太陽の光を受けた島は跡形もなく熱線で溶け、あたりに熱風が吹き荒れる。

その攻撃の直線上にいるファフニールは大した驚いた様子もなく、背中の黒翼を羽ばたかせて空を飛んで避け、自身も反撃へ転じていく。飛んだファフニールの両手には、太陽すら喰らう漆黒の炎が握られており、それをあろうことか呑み込んでしまった。



「来るか!」



その攻撃を知っているインドラもまた金色の炎を左手に纏わせる。

その瞬間、漆黒の炎に包まれたファフニールが音を置き去りにして突っ込んできた。

前方に展開した炎の障壁と鍔迫り合いをしながら、両者は天界を駆け抜けていく。

しかし、やはり力を半分削られているインドラの障壁が悲鳴を先にあげ、障壁が突破されるコンマ僅か、そこへクリムゾンレッドの魔力を纏い戦斧を持ったミドラがファフニールを野球のように吹っ飛ばす。



「なるほど、俺と戦う資格はあるか」



小島をいくつも貫通し、大地に叩きつけられてもほぼダメージを受けていないファフニールは、冷静に分析しながら立ち上がる。



「っ!」



そこへ聖剣の能力によって残像のような、蜃気楼のような揺らめきと共に一瞬で移動してきたジーノが分身と共に斬り掛かる。



「見事な剣技と言っておこう。だが、その剣では俺には届かん」



四方八方から斬り掛かるジーノの動きを完全に見切ったファフニールは、一瞬で分身を蹴散らすと本体であるジーノへ竜闘気を纏った竜爪バルムンクを振るう。



「それも分身だ」


「自身の力を分けた分身か。常人ならば即刻生命力が尽きそうな技だが、よほどその聖剣が不死族と相性がいいと見える」



分身が血を撒き散らして倒れた瞬間、背後から現れたジーノが魔力を纏った斬撃を浴びせる。

ハルモニウムの鎧に傷はつかない。が、鎧を通してファフニールの体に直接ダメージが通る一撃は、ファフニールの警戒度を上げる程度には認識されたようだ。


ジーノとファフニールの姿が掻き消える。大地を抉る攻撃の応酬が嵐のように入り交じる戦場へ2つの流星が乱入する。



「ふっ!」



流星のように降り立ったミドラは、巨大な戦斧に赤黒い稲妻となった魔力を纏わせ、ファフニールへ叩きつける。



「バトルセンスの高さは、魔族随一かもしれんな」



左手でジーノを抑え、右手でミドラの全力を受け止めたファフニールは冷静だった。



「童を忘れておらんか?ファフニール」


「即席のコンビとはいえ、見事な連携だ。姫様」



鎧ごと斬り裂く威力の竜闘気を練ったアガート・ミスラが振り下ろされた。

世界が崩壊するのではないかと思うほどの轟音が鳴り響く。だが、そこには押さえ込んでいたはずのミドラとジーノを一瞬のうちに蹴り飛ばして、万全の態勢でインドラの一撃を受け止めたファフニールがいた。



「だが、惜しむべきは相手が俺だったことか」


「いや、どの道貴様は童1人で倒す予定だった」


「姫様では俺に勝てんよ。姫様を鍛えたのは俺だからな」


「いつまでも師匠ヅラをするな!!!」



受け止められた剣が輝き、ファフニールの小手を焼き切ろうするが、空いた左手のバルムンクがそれよりも早くインドラを切り裂く。



「ぐっ!!」


「俺のバルムンクを受けるとは意外だな。姫様の力量ならば避けると思ったが」


「これはアリッサの言葉だったか。肉を切らせて骨を断つとな」


「なんだそれは?むっ!?」



切られた顔の血を服で拭い、不敵に笑うインドラに眉をひそめると、次の瞬間ファフニールの右手に装備されたバルムンクが崩壊する。



「馬鹿者が。同じハルモニウムでも同等の性能だとでも思ったか?この剣は我が母上と父上の力を宿しているのだ!」


「なるほど...こいつは誤算だったな。しかし、真竜の里でも剣を鍛える奴はいないと思っていたが...これは少し調べることが増えたか」



吹き飛ばされたミドラとジーノが戻って来ると、そのまま2人はインドラの背後に控える。

2人とも顔の痣や切り傷は目立つものの、身体の傷が少しずつ回復しており、吹き飛ばされたのを利用してポーションを飲んで回復してきたのだろう。



「上手くいかないものだ……――――ここが潮時か」



独り言のように呟いたファフニールは、両手に炎を生み出すとそれを頭上に掲げる。



「黒炎弾」



静かに紡がれた言葉と共に空へ打ち上げられた巨大な黒炎は、花火のように弾けると世界を破壊した。



「童の結界を破壊するか」


「姫様、このマキナ遺跡はくれてやろう」



空間の歪みと共に元の世界へ戻ってきた3人は、戦闘意思がなくなったファフニールを警戒する。



「どうやらマキナドラゴンも破壊されたようだしな」



ファフニールは、壊れたバルムンクの破片を回収を初め、それを亜空間の中へしまっていく。



「貴様、逃げる気か?」


「そう思いたいのならそう思えばいい」


「インドラ、こやつとはいずれ決着をつけようぞ」


「しかし!奴は我が里の!」


「今はそのときでは無い」


「ああ、魔族の王は賢い。姫様、俺達が再び争うにはまだ早い。今世界は混沌の勢力に包まれようとしているからな」



破片の回収が終わったファフニールは、紫色の水晶を取り出す。



「この戦い、俺達も無関係とは行かないらしくてな。それに備えて戦力を求めているというわけだ。ここのマキナドラゴンはくれてやるが、また他のマキナ遺跡で会ったら今度は容赦はしない」



ファフニールは、最後に駆け込んできたアリッサ達に目をやってから消えて行った。





マキナ遺跡を制圧したアリッサ達は、揃ってこの遺跡を形成しているマキナコアが安置されている管理室へ足を運ぶ。

竜人巫女のリニアはアザムが運んでおり、未だに目を覚ます気配はない。



「アリッサさん、大丈夫ですか?」


「しんどいけど、やらないといけないからね」



堕狼化を解いて絶賛気絶しそうなくらいグロッキーなアリッサは、コア前の管理パスワードをパネルへ打ち込んで扉を開ける。



「ほほう、これはまた大きなコアよのう」


「おい、アリッサこれはまさか……」


「はい、マキナ遺跡を形成しているコアは、真竜の竜玉が使われています」



眼前に広がるのは、大きな紫色の水晶玉。おおよそ10mほどあろう大きな竜玉は、静かに台座へ収まっていた。



「これはシュガールっていう雷を操る古代竜の竜玉がコアになっています」


「あの荒くれ者か」


「バハムート達の言うことを効かないバーサーカーみたいな古代竜でしたね~」



シュガールの事を語りつつアリッサは、バニラに支えて貰いながらここの全権を操作できるモニター前のデスクに座る。



「オーパーツよのう……アリッサは操作できるのか」


「ええ、恐らくいけると思います」


「この変な文字が書かれているボタンはなんだ?」


「キーボードっていう奴です。これで色々操作できるんですよ」



ミドラとインドラが顔を覗かせてアリッサが操作するパネルを口出ししながら見守ること数分。

管理者権限の移し替えを行うにあたって本人確認をする必要があるそうだ。

そこで軽く推理してリニアに権限があるとみたアリッサは、眠っている彼女には悪いが、お手を拝借して床から現れた指紋認証を行う機械に手を翳し、あっさりと確認が取れたところで管理者権限をアリッサへ移す。



「よし、これでここのマキナ遺跡の権限はオレに移った」


「おお!して、このマキナ遺跡はなにができるのじゃ!?」


「おい、魔王。アリッサは疲れているのだ。今は一度帰還し、休息を取るべきだろう」


「そうであったか。ふむ、では一度戻るとするかの」


「アリッサ殿、ここにミドラの転移魔法陣を敷いても良いか?」


「ええ、構わないですよ。ただ、ここじゃなくて上の階にしてもらいたいです」


「それが良いだろう。ここはこの遺跡の心臓部、アリッサ殿の許可なく入るのは問題があるだろうしな」



アリッサはまだ徘徊しているマキナゴーレムの起動を停止させ、パスワードを一通り変更した後、パスワードをメモを取ってインベントリへ放り込む。



「では、一度帰りましょう。疲れた」



マーカスとアリッサを除いて全員が退室したのを確認し、アリッサはマーカスに跨って管理室を出た。

その後、デーモン族に伝わる転移魔法陣を上のエントランスホールに設置し、忘れず教会用のランプを回収して再び全員が手を繋いだところで、ブルースの町へアリッサのテレポートで戻るのであった。












マキナ遺跡の激戦から早くも1週間と少し。ようやく堕狼化のデメリットが消えたところで、再びミドラとリリスが教会を訪れていた。

今回ジーノはおらず、比較的身軽なリリスがミドラのお目付け役に任命されたらしい。



「アリッサよ、バジェスト王との件はどうなったのだ?」


「あ〜とりあえずオレを連れていく予定だった貴族待ちですかね。なんか一人で言っても捕らえられそうですし」


「魔族はいつでもそなたを受け入れる準備万端出来ておるぞ」


「そいつは有り難いっすね。人族とはあまり拗れた関係にはなりたくないんですけど」


「で、その貴族はどこに行ったのじゃ?」


「バニラが言うには、ミドラ様達が来た夜にここを出たそうです」


「あれ?もしかして余、やらかした?」


「間違いなくミドラ様の密入国はバレていると思いますよ」


「ふむ......まあいいじゃろ。まさかマキナ遺跡に行ったとは思っていないじゃろうし、せいぜい余自らアリッサを説得しに行った程度だと思われたいのう」


「少し魔族の発言力が落ちる程度かと」


「息子の足を引っ張りたくはないが、致し方ないかのう」



そこでバニラが用意してくれたお菓子と紅茶に口をつける。



「竜人の巫女は?」



一息ついたところでミドラは話題を変える。



「リニアなら、2日前に目を覚ましましたよ。今は少しぼんやりとしていますが、インドラ様の近くにいて世の中の勉強中です」


「ほう、目を覚ましたか。余は竜人というものを初めて見た。竜人は一体何者なんじゃ?」


「あたしも気になるわ。見た感じ2つの角と言い魔王様に近いというか、亜人っぽさがあるけど」


「竜人族は、簡単に言うと竜と人の子だ。別名ハーフドラゴンとも言うね。詳しくは知らないんだけど、基本的に竜人っていうのは、生まれるべくして生まれてきた存在らしいよ」


「巫女として、というわけか」


「はい。男が生まれれば巫女を守る戦士として。女が生まれれば巫女として、竜族に伝わる秘術を身につけ、また新たな巫女へ受け継いで行くそうです。一説に巫女というのは、真竜が俗世のことを学ぶために遣わした冒険者のことを指しているらしいですが、真実はなんとも」


「あやつら永遠と篭っておるからのう。確かに有り得なくもないが、何故リニアは囚われておったのだ?」


「リニアは、サンダードラゴンの巫女の中でも一際強い力を持っていた子なんです。そしてリニアの父親がシュガールの血を引いているのもあって、マキナへの適応率が段違いに高く、それに目をつけたジャバウォックとダンタリオンが攫ったんです」


「度々出てくるけど、ほんとその2体の古代竜はろくなことしていないわね」


「古代竜の中でもトップクラスにやばい奴だからね」



ドン引きしているリリスに苦笑しつつアリッサは話を続ける。



「そして囚われたリニアは、2体の古代竜によって身体を改造され、マキナドラゴンは起動することもなく今の今まで仮死状態で眠っていたわけです。マキナドラゴンの生命維持装置によって無理やりね」


「なんとも残酷な話しよ。それで、リニアはどうするのだ?サンダードラゴンに返すのか?」



アリッサは首を左右に振る。



「返しませんよ。彼女はオレが定期的にメンテナンスをしなければ動かなくなってしまいますからね」


「マキナの技術か」


「幸いにも管理者権限を得たことで、オレはマキナの知識を取得し、マキナ技師のスキルを使えるようになりました。鍛治才能もありますし、リニアのメンテナンスは問題ないですよ」


「インドラ様は知ってるの?」


「ああ、オレに一任するそうだ。リニアもオレをマスター承認したしな」



『マスター承認』という聞き慣れない単語に2人は頭を傾げる。



「マスター承認っていうのは......オレを主だと認めたってことかな。リニアの身体はほぼ機械だから、その身体を弄る際には、彼女の許可を得ないといけない。その工程をすっ飛ばして身体にアクセスすると、技術漏洩を防ぐために自身の防衛装置によって自壊するように設定されているんだ」


「ええ?!壊れるってこと!?」


「そういうこと。一応今度のメンテナンスで自壊プログラムを削除するつもりだけど、下手に弄ってリニアの人格形成に影響が出ないようにしなくちゃいけないから、一気に削除するわけにはいかないと思う。まずは慎重に、そして少しずつ彼女というブラックボックスを解明して行かなくちゃいけないね」


「マキナ技術というのは凄まじいのう。じゃが、恐ろしくもある。リニアは、昔は何も変わらぬ竜人だったんじゃろう?それを機械人間にするとは」


「マッドサイエンティストだよ。それに麻酔なんかなかった時代だ。改造手術は激痛だっただろうね」


「許せないわね...ジャバウォックっていう古代竜...」


「ああ、奴とは絶対に分かり合えないから、出会ったら殺すしかない」



今もどこかで生きているジャバウォックにリリスは闘志を宿し、アリッサもまたいつか勝手に自分を殺して連れてくるように命令したジャバウォックを串刺しにしてやると決意した。



「ところで、ミドラ様はどうしてこちらに?」


「おお!そうであった!」



ミドラがこちらに訪れた件というのは、以前ここを出発する際に転移魔法陣を設置して、いつでも子供達を嵐の海域を抜けた先へ連れていけるようにしてくれるものだった。



「アリッサの好きなタイミングで良いぞ。設置してほしい時はリリスを通してくれれば、余はいつでも飛んで行こう」


「ミドラ様は、うちの事務所に転移魔法陣を設置したの。何かミドラ様や魔族側に用事があるときはうちに来て。魔族回線が繋がっている念話水晶あるから」


「分かった。ミドラ様もありがとうございます。お礼はどうすればいいですかね?」


「気にするな。アリッサがマキナ遺跡の調査を魔族に任せてくれるだけで、余は十分すぎるくらいなのじゃ」



そう、アリッサはマキナ遺跡の調査を魔族側に丸投げすることに決めた。そもそも嵐の海域を抜けた先なぞデーモン族の秘術を使わなければ到底辿り着けない場所だし、かと言って独り占めしようにもあの遺跡はあまりにも広すぎる。

ならば、少しでもファフニールが言っていた混沌の勢力とやらに対抗すべく、魔族の戦力をあげて貰った方が有意義なのだ。



「あとこれ」



リリスがバッグから取り出したのは、ミスリル合金でできた黒いカードだった。



「なにそれ??」


「アリッサ、お主はあまり分かっていないようだから改めて説明するが、マキナ遺跡の発見はここ数百年なかったのだ。それをお主は一つ返事で譲ってくれた。そのおかげで我々は衰退した技術を再び得る機会を得たのだ。この意味が分かるかの?」


「え~と……魔族が強くなるってことですか?」


「大雑把ではあるが、それも間違いではない。じゃが、一番の恩恵は民の生活水準が大幅に上がるのだ。たとえば獣人国が作る魔導コンロは知っておるかの?」


「もちろんです。オレらも使っていますからね」


「となれば話は早い。あれ、高いじゃろ」


「めっちゃ高いですね。それも生産数が少なくて嗜好品になっているんですよね?」


「そうだ。それが一般の家庭に安く普及出来るとしたらどうなると思う?」


「え?それ凄くないですか?んじゃ、ここの子達もいちいち薪割りをしなくて良くなるじゃないですか!」


「それを可能とするのがマキナ技術なんじゃ。既に我々のマキナ技術班が天然ガスという気体に注目しておる。なんでも魔法もなく火をつけることを可能とする夢のようなものらしくての。これを解明し、利用することに繋げれば人は手軽に料理が出来るようになるのじゃ」



てっきり戦争のためのマキナ技術なのかと思ったら、魔族は民のことを第一に考えていた。



「あたしもその話を聞いて嬉しくなっちゃった。でね、そんな多大な恩恵をもたらしてくれたアリッサにディスター様――――現魔王様と四天王一同より、それを送らせていただきます」


「それは魔族領に限るが、お主を名誉貴族として認めるというものじゃ。これを発行したのはアリッサで2人目となるかの?」


「貴族?オレ、そういうのに興味ないんですが……」


「別にかたっ苦しいことを考える必要はない。要は、それを持っておる限り余とディスターと四天王がアリッサという人物を保証するというものなんじゃ」


「それって結構便利なのよ?面倒な手続きも全部スルー出来るし、お買い物も割引が効くし、何ならお城も入れるし、そのままディスター様との謁見もすぐ出来るわ」


「正直これでもアリッサがしてくれたことに対する返礼は済んでいないと余とディスターは考えておる。お主はこの先あの雲の大地を統べるというのであれば、我々魔族は協力を惜しまないと約束しよう」


「ひええ……なんか大事になってきちゃったんだけど……でも、ありがとうございます。これは大切に使わせていただきます」


「もしなくしたらあたしに連絡を頂戴。あたしが魔法を唱えるとどんなところにあっても手元に戻ってくるようになってるから」


「おお、アフターサービスもばっちりだな」



アリッサの名前が彫られたブラックカードをインベントリにしまい、開くと同時にインドラのために作り置きしておいたアイスパフェを2人に出す。



「おお!!これはあの甘味か!!ほっほー!これが楽しみでここに来たと言っても過言ではないのう!」


「ごめんね、ミドラ様ったらお城でも甘味が食べたいって駄々こねてて……」


「今度魔王城に行くときは、レシピも持って行くよ。ジーノさんも気に入っていたよね?」


「ええ、ジーノ様はチョコ味がお好きなようだったわ。思いのほか気に入ったらしくて、自国領でカカオの栽培に励むそうよ」


「ええ!?まぁ……この世界でもカカオの加工技術は古いながらも残っているみたいだし、いけなくもないか。確かあのマキナ遺跡にお菓子関係の機材が残っていたような気がするんだよなぁ」


「そんな話、以前に言っていたわね。今のところ気象観測に関するものばかりみたいだけど、上の階層にあるのかしら」


「恐らくね。あのマキナ遺跡には、変わり者が多くいたっていう記録があったからね。まぁ、オレと同じ転生者か転移者のいずれかだろうが」



と、ミドラとリリスの3人でパフェを味わいながら今後の魔族の明るい未来について話し合っていると、インドラがバニラとリニアを連れてやってきて、パフェを見て激昂したのは、約束された未来であるのは言うまでもない。


人知れず真竜が住まう港となったブルースの町には、今日も晴れ晴れとした青空とどこまでも照らす太陽があった。










































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