第12話

きつい顔立ちの美少女は不気味に永遠と続く漆黒の鳥居と純白の鳥居と交互に立ち並んでいる石畳の上を歩いていた。

頻繁に自分のスマホが繋がるか泣きそうな顔をしながら確認したが全く繋がらなかった。

歩き疲れて足の裏が痛くなりだしてきた頃、なだらかに上がっていた石畳の先の方で開けた景色がきつい顔立ちの美少女の目に映った。

きつい顔立ちの美少女は急いで石畳を駆け上がった。


「ひっ!。な、何っ!。何なのよ…此処は…。」


石畳を駆け上がったきつい顔立ちの美少女は永遠と続いていた黒と白の鳥居が途切れた先に立ち周囲を見渡すと現実離れした澄み切った青空が周囲を明るく照らしていたがそれとは真逆に地面は光を飲み込み遠近感が狂う程、異様に浮いて見える真っ黒な地面が地平線を生み出して遥か先の方まで続いていた。

きつい顔立ちの美少女は呆然と異様な周囲に圧倒されて立ち竦んでいた。

きつい顔立ちの美少女が立ち竦んでいた場所から数百メートル先にただ一つ漆黒の随身門が威風堂々と聳え立っていた。

周囲は360°真っ黒い地平線が続く程、漆黒の随身門以外何も無かった。

きつい顔立ちの美少女は恐る恐る漆黒の随身門に近づくとガコンと言う大きな音と木が動く軋みの様な音をたてながら漆黒の随身門の門がゆっくりと勝手に開き始めた。きつい顔立ちの美少女は恐怖を感じて短い悲鳴を上げた。

漆黒の随身門の門が半分程開いた時、真っ黒な外見とは正反対に朱色に包まれた荘厳華麗な門の内側が見え、そこには四人の男性と一人の女性が居た。

開いた漆黒の随身門の内側から姿を現した女性はきつい顔立ちの美少女の母親だった。

きつい顔立ちの美少女は驚き母親を呼びながら駆け出し開いた漆黒の随身門の内側に向かった。

きつい顔立ちの美少女が母親の傍まで近づき漆黒の随身門の門を潜り内側に入ると途轍もない勢いで重厚で大きな門が突然、爆音と共に閉じられた。

中に居てた四人の男性ときつい顔立ちの美少女と母親は反射的に耳を塞ぎ突風に襲われると驚きと悲鳴を上げた。


「きゃっ!!…もう…何なのよっ!全くっ!」


「お、お母さん!」


「!っ。えっな、何っ!。貴方も此処に来ていたの!。」


「はい。薄気味の悪い黒と白の鳥居を潜って…。お、お母さんも…?」


「…えぇ…。ホントに此処は何なの…事務所で仕事をしていたら突然、気味の悪い電話が掛かってきて…もしかして貴方も?」


「は、はい…私も同じです…。」


「そう…。しばらく何処か帰れる所があるか探してみたのだけど…分からないわ…。ホント…何なの…全く…。」


「夢とか…?」


「…はぁ…あんたねぇ…まぁ、そう言う気持ちになるのは分らなくはないけど…でも現実に起こってる事だと思うわ。」


きつい顔立ちの美少女は顔を青ざめながら回りをキョロキョロと見て立ち竦んでいた。

きつい顔立ちの美少女の母親は呆れた様にきつい顔立ちの美少女を見つつ両手を腰に当てながら項垂れた。

きつい顔立ちの美少女と母親が立っている場所から少し離れた所で四人の男性が同じ様に辺りを見回しながら立っていた。

四人の内、三人の男性達で辺りを見回し会話をしていた。

最後の一人の男性は深めにフードを被った姿で無言のまま辺りを見回していた。


「こ、此処ってどう言う所何でしょうね…。」


「か、かなり不気味っすね…。」


「ああ…得体の知れない不気味さがあるな…現実かどうか分からなくなってくるぜったく…。」


「…………。」


色白で細身の20代男性と金髪の10代男性と角刈りの体格の良い30代男性の三人はきつい顔立ちの少女とその母親と同じ様に不気味な黒と白の鳥居を潜りそれぞれ一人づつこの場所に辿り着き顔を合わせた時一瞬、驚いたが周囲の不気味さと異様さが居合わせた驚きを忘れさせて三人共、周囲をキョロキョロと伺いながら話していた。

深めにフードを被った男性は誰とも話さず無言のままウロウロと彷徨う様に歩き周囲を伺っていた。

漆黒の随身門の門が突然閉じられてしばらくたった時、突然シャン!っと済っ切った

鈴の音が辺りに響き渡った。

きつい顔立ちの少女と母親を含む全員が驚き短い悲鳴を上げると鈴の音が鳴った方向に全員が一斉に目を向けたがそこには何も無かった。


「Ё※⊆‰§Ф!!!!」


何も無かった所から全員が訝し気に目を戻すと深めにフードを被った男性は日本語ではない悲鳴を上げた。

フードを被った男性以外の全員がすぐさま目を向けると腰を抜かした様に座っている深めにフードを被った男性の両脇に突然、真っ白な狐のお面を被った男性と女性が立っていた。

全く音や気配が無く突然現れて全員が驚き悲鳴を上げ腰を抜かした様に座っているフードを被った男性は四つん這いになり脱兎のごとくその場から離れた。


「な、何なのよ!。あ、貴方達!。」


「おっ、おい!。お前達!。一体何処から来た!。此処が何処か知っているのか!」


「な、何なんっすか!。いっ!、一体!」


「と、取り合えず!。こ、此処から帰らせて下さい!!」


「………………。」

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