第9話

豪華なスイートルームの様な寝室できつい顔立ちの美少女は広い豪華な寝室の端っこに全裸の体を縮こまらせながら自分のスマホで母親と話しをしていた。


「………はい…ありがとうございます。…はい……分かりました。」


力なく返事をした後、きつい顔立ちの美少女は会話を終わらせて持っていたスマホを放り投げた。

無表情のまま全裸で勢いよくダブルベットに潜り込むと眼鏡を外して全裸のまま寝息を立てている眼鏡を掛けたおとなしい少女の上に覆い被さった。

眼鏡を掛けたおとなしい少女は驚いて目を覚ますときつい顔立ちの美少女に両手で頭を掴まれ強引に唇を奪われた。

眼鏡を掛けたおとなしい少女は一瞬、体を強張らせたが直ぐに力を抜いた。

きつい顔立ちの美少女にされるがまま体を預けた。


「汚れた体を綺麗にしないと駄目よ。今日からしばらく此処に居なさい。」


「………。」


眼鏡を掛けたおとなしい少女の唇からきつい顔立ちの美少女は唇を離し抱きしめながら耳元で囁くと眼鏡を掛けたおとなしい少女は小さく頷いた。


「良い?。貴方は私の物なのよ…貴方を助けたあの時から…貴方の全ては私の物…ずっと私の傍に居るのよ…私は貴方だけ傍に居れば良い…あんな男と結婚だなんて虫唾が走るけど…私は貴方が居れば……それで………。」


「……………ん…。」


きつい顔立ちの美少女は眼鏡を掛けたおとなしい少女の顔を両手で掴み何度も唇を重ねながらお互いの全裸の体を絡ませ抱き合いながら眠りについた。




きつい顔立ちの美少女は微睡の中、意識の遠くから鳴っている自分のスマホの着信音で目を覚ました。

ゆっくりと起き上がると豪華な寝室の大きな窓から雲一つない景色と一緒に青色と濃い赤色が神秘的に交じり合った夕暮れ時の色が部屋一面に照らしていた。

一日中寝ていた怠さを感じながらきつい顔立ちの美少女は辺りを見回すと自分と一緒に寝ていた筈の眼鏡を掛けたおとなしい少女の姿が消えていた。

きつい顔立ちの美少女はゆっくりと全裸の体を起こし意識がはっきりとしていく中、寝室のクローゼットを開けて軽い服装に着替えた。


『トイレに行ってるのかしら?。まぁ…来たら夕飯ね…。誰かと食事をするなんて久しぶり…。』


きつい顔立ちの美少女は眼鏡を掛けたおとなしい少女と食事が出来る事に少し嬉しさを滲ませながら自分のスマホを持って寝室を出ようとした時、未だに自分の携帯の着信音が小さく鳴っている事に気付いた。

何時もなら着信は数秒後に留守番機能で着信が切れる設定にしている筈なのにずっと鳴り続けている事に疑問を感じてきつい顔立ちの美少女は手にした自分のスマホの画面を見た。


「ひっ!。な、何なのよ!。こ、これ…」


きつい顔立ちの美少女は手にしていた自分のスマホの画面を見て、悪寒が走り小さな悲鳴を上げて持っていたスマホを放り投げた。

無造作に投げられたスマホはふかふかの絨毯の上に音も無く2,3回弾み液晶画面を上にして落ちた。

夕暮れ時の赤く薄暗い部屋で不気味に画面が光っている液晶画面には文字の大きさも字体も極端にバラバラな文字で【とヲりゃんせ】の名前と文字化けした着信番号が少しブレながら映し出されていた。

きつい顔立ちの美少女は顔を引き攣らせて豪華な寝室の壁に張り付くように壁を背に

して不気味に着信音を鳴らしている床に落ちた自分のスマホから距離を取った。

誰も触っていない筈の床に落ちているスマホの液晶画面に映し出されている【着信】の文字が【通話中】の文字に切り替わった。

きつい顔立ちの美少女はまた小さく悲鳴を上げるとスマホのスピーカーから昔の横断歩道に使われていた歩道音の無機質なメロディーで童謡の【 通りゃんせ 】が自分の鼓動が聞こえる程、静まり返っている寝室に小さい音ながらも不気味に良く聞こえる音で流れてきた。


「なっ!、何なのよっ!…い、いったいっ!。」


きつい顔立ちの美少女は底知れぬ恐怖を感じ、不気味に童謡の【 通りゃんせ 】のメロディーが無機質にスマホのスピーカーから聞こえている自分のスマホを床に置いたまま急いで寝室の部屋を出ようとドアを開けた時、自分の手に違和感を感じた。

見てみると床に放り投げた筈の自分のスマホがいつの間にかてに握られていた事に恐怖したが周囲から冷たいそよ風が顔に当たるのを感じで目線を上げるとドアを開けたきつい顔立ちの美少女の目の前には自宅の豪華な廊下ではなく漆黒と純白の鳥居が交互に永遠と立ち並ぶ石畳の階段の景色が広がっていた。




眼鏡を掛けたおとなしそうな少女は喉が渇いたのできつい顔立ちの美少女の自宅の誰も居ないキッチンに居た。

きつい顔立ちの美少女の分もと思い二つのコップと冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出して寝室に向おうと思った時、ふと大きなテーブルの上に無造作に置いている数枚の一万円札が目に入ってきた。


「今日の夕飯代かな…」


『私が夕食を作ってあげたら喜ぶかな…。何時も外食ばっかりみたいだし…。』


眼鏡を掛けたおとなしそうな少女はお盆に乗せたコップとミネラルウォーターを大きなテーブルの端に置いて誰も居ないキッチンで小さく呟きながらか考えているとスカートに入れていた自分のスマホが鳴った。

眼鏡を掛けたおとなしそうな少女は自分の親からかと思いスマホを取り出して着信から出てみるときつい顔立ちの美少女が声を震わせながら悲痛な声を上げていた。


『ねぇっ!。今どこに居るのっ!!。早くこっちに来なさいっ!。此処は何処なのっ!。ねぇっ!ちょっと早く助けに来てよ…もう…何なの…何でこんな所に居るのよっ!。もう…訳が分からないっ!。どうなっているのよっ!!…助けて…よぉ…お願い…』


「えっ!。なに!、どうしたの!。わ、私は一階のキッチンに居てるよっ!。いま寝室に居てるの?直ぐに寝室に向かうから落ち着いて!」

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