第5話

「何かあったら相談してくれる?。あの子に止める様に言うから…まぁ…効くかどうかわからないけど…。」


「えぇ…良いの?」


「まぁ…一応、幼馴染だけど…もう…あの調子だから口も聞いてくかどうかも怪しい所かも…でも私で力になれる事があれば…って今更だよね…。」


「………ううん…ありがとう…。」


長身で凛とした少女はバツの悪そうな表情で少しはにかみながら言うと少女は首を横に振り屈託のない笑みを浮かべた。

長身で凛とした少女は徐にスカートのポケットからスマホを取り出した。


「あ、私の携帯番号…って○〇さん(少女)。スマホとか持って無かったんだよね…。」


「あはは…。殆ど学校か家だから……家の電話番号で良い?」


「私の携帯番号も教えたいんだけど…何か書く物ある?」


「あ、言ってくれれば覚えるから大丈夫。」


「……はぁ…やっぱり頭が良いと違うわねぇ…。」


「…ぇえっ!、そんな事…あははは…。」


少し緊張した感じでお互いぎこちない会話を少しした後、少女と長身で凛とした少女は一緒に教室に戻って行った。

その後、少女は珍しく穏やかに授業を受け過していった。

放課後になり何時もの様に夕食の買い出しを済ませ家路に向かうのだが今日は違って

いた。

学校と少女の自宅の間に何時も少女が登下校で行き来している道から少し脇にそれた歩道がない一車線の道を少し歩いた所には小さな神社が建っていた。

何時もなら少女は小さな神社に向かう一車線の道を通り過ぎるのだが少女は少し立ち止まり一車線の道を歩き小さな神社に向かって行った。

少女が小さな神社の鳥居を潜り入って行く姿を小さな神社から少し離れた場所に隠れる様に止めてある業務用の白いワゴン車から三人の男が見ていた。


「あ、あのっ!。誰かあの神社に入って行きそうですよ!。制服姿だからあの娘ですかね?。」


「この距離だったら中学生か高校生かはわかんねぇけど多分そうじゃぁねぇかな?」


「…神社に入ったっすね…まぁ…セーラー服でこの時間でこんな場所の小さな神社に入って行くんだからそうじゃねぇっすか?」


業務用の白いワゴン車の運転座席に座っている色白で細身の20代男性がハンドルを持った手を離しフロントガラス越しに少女を指差した。

隣の助手席に乗っている角刈りの体格の良い30代男性がシートを倒して寝ていた体を起こし色白で細身の20代男性が指差していた少女を少し目を細めながら見た。

後部座席に座っている金髪の10代男性も目身を乗り出して小さな神社の鳥居を潜る少女を見た。


「本当にやるしかねぇのかよぅ…ううう…ちきしょぅ~…なんでこんな目に…。」


「今更何言ってんのあんた?魔が差したっつうか…身から出た錆っつうか…自業自得っつうか…まぁ…終わった事はしゃあねぇんじゃぁないの?…まぁ…俺もこいつも同じだし。」


「そりゃそうっすね!♪。」


「まぁ…おめぇは若ぇから良し独身だろ?…まぁ俺も独身だがな…年齢で言えば俺とあんたはロリコン認定されても不思議はねぇな…。」


「あ、貴方とき、君はまだ独身なんですよね!。だからそんな余裕があるんですよ…。」


「ま、まさかお前……マジか…」


「えぇ…結婚してんっすか……結婚して援交はないっすよ…マジで…ホントそれは…ちょっと…」


「………。」


「ま、まぁ…お互いの素性はもう喋らずに行こう…これっきりだからな…もう会う事は無いと思うしあっても全く知らない感じでな…」


「そ、そうっすね…。」


運転席に座っている色白で細身の20代男性は悲壮感を露にしながら言うと項垂れた。

角刈りの体格の良い30代男性と金髪の10代男性はドン引きしながら色白で細身の20代男性に軽蔑の目を向けていたが気持ちを切り替えて神社に入って行った少女が出てくるのを業務用の白いワゴン車の中から静かに待った。




鳥居を潜り神社の中に入って行った少女は辺りを見渡し誰も居ないのが分かると

本堂の前に置かれている賽銭箱の前で立ち止まった。


『は、話たい事って何かな……。ちょっと怖いな~。まだ来ていないみたいだけど…。』


今朝少女は学校に着くときつい顔立ちの美少女に呼び止められ女子トイレの中で放課後、今少女が居てる小さい神社で話したい事があると言われて少女はやって来たのだった。

少女は少しオロオロとしながらきつい顔立ちの美少女が来るのをしばらく待ってい

た。


『………どうしよう…来ないな~。そろそろ日が暮れるし、帰らないとお祖母ちゃんとお祖父ちゃんが心配するかも…。こんな時スマホがあったらな~って思っちゃうんだけど…高いし…。』


少女は賽銭箱の前をウロウロとしながら思った。

少女が来て1時間以上経ってもきつい顔立ちの美少女は少女が待っている小さい神

社には姿を現さなかった。

辺りの日の光が赤く色濃くなって辺りが暗くなり始め出す速度が速くなりだした。

少女は祖父母が心配していると思い意を決して自宅に帰ろうと歩き出した。


「き、来ましたよっ!」


「……おっし…。やるか…ゆっくり近づけよ…。」


「で、でも…」


「はぁ…何迷ってんすか?…どのみち俺達は詰んでんっすから…まだやった方が助かる確率があるんっすよ。」


「こいつの言う通りだ。やらなきゃ俺達の会社に援交動画をばら撒かれて確実にクビになっちまうんだ。どうやって会社まで分かっちまったのか…ったく……どこの誰か分かんねぇけど言う通りにするしか今はねぇ…。それに上手く終われば援交動画の件は無くなって更に気持ちいい事も出来ちまうんだからよ。」


「そうっすよ!。良い事だらけっすよ!」


角刈りの体格の良い30代男性はバンバンと運転席に居る色白で細身の20代男性の肩を叩き車を出すのを渋っている色白で細身の20代男性を急かした。

金髪の10代男性が軽く言うのを聞いて色白で細身の20代男性はハンドルを握りゆっくりと静かに車を動かした。


『はぁ…勝手に帰っちゃったら怒るだろうな~。でも□□さん(長身で凛とした少女)とお話出来たし…以前より気分が楽かな?』


少女は俯きながらきつい顔立ちの美少女の話を聞かずに帰る事で更に嫌がらせが増すのではないかと不安を募らせたが長身で凛とした少女の申し訳なさそうな笑顔が浮かび今朝、長身で凛とした少女と話が出来た事を思い出して幾分か気持ちが楽になった。

気分を変えて急いで家路に着こうと踏み出した瞬間、少女の真横に突然大きな白い車が現れた。

少女は一瞬、驚いて車から離れる様に飛び退くと車がその場で止まり突然スライドドア勢いよく開いた。


「きゃっ!うぐぅっ!……~~っ!!」


突然開いたスライドドアから覆面をした男が飛び出して少女に襲い掛かりすぐさま覆面の男は少女の口元を抑え少女を羽交い絞めにすると

車に放り投げる勢いで羽交い絞めにしたまま少女と共に覆面をした男は車になだれ込んだ。

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