第12話『東流院とあいり激突』

次の日から俺は少し奇妙な現象というか出来事が起きてる。

昨日転校してきた東流院さんが俺のところに来てよく話しかけてくる。昨日あんなことを言ったのでそのために話しかけてくるのだと思っていた。


「おはようれー君」


「おはよう、東流院」


「前みたいになーちゃんと呼んでくれてもかまいませんのに」


「そんな呼び方してたのか」


たまに東流院からポロッとかわざとかは分からないけどその時の話を聞く。

でもなかなかそれが思い出せない。確かにいたかも、呼んだかもって感じしかせずハッキリとは思い出せない。


次の休み時間。


「れー君、今日お昼ご一緒してもいいですか?」


「えっ!?」


俺と東流院の会話は普通に教室の中で行われている。なのでクラスメイト達は聞いている。男子からは「なんであいつがあんなに親しくしてんだ!?」、「あんな可愛い子と仲良くなんてうらやまけしからん」なんて言われ、女子からは「東流院さんなんで相葉の所にー」、「お姉様をあんな穢らわしい男と一緒になんて!」って言われている。いや最後の人いったい一日で何があった。


────バン!


クラスメイト達の話を聞いていると大きな音がした。そこに居たのはあいりで教室のドアを思いっきり開けた音だった。


そのままズンズンと俺のところに来て。


「おい!今日はお昼買ってこいよ、3つだかんな!」


とパシリの命令を受ける。

それを近くで聞いていた東流院は眉を細め不快感を顕にしていた。


「ちょっと貴方、それくらい自分で買ってきたら?」


「は?黙ってな」


「黙ってられるわけないじゃない!それはやりすぎよ」


東流院とあいりが口喧嘩を始めてしまった。

東流院は、俺のいじめが許せないみたいだ。昨日はハッキリと見たわけじゃないから何も言えなかった。

でも今日は近くでしっかりと見ていた。だから注意したんだろう。


「わかった、買ってくるよ」


俺がそういうと東流院は「ダメ」と止めてくるがあいりは「フン」と言い自分の席に戻ってった。


東流院はそのまま俺を怒っている。


「なんであんな命令受ける必要があるの!?」


「受けないといつまでも喧嘩してるでしょ」


「意味わかんないわよ、どうして⋯⋯」


「俺一人が受ければ周りには被害でないでしょ、俺は大丈夫だからさ」


東流院は何かまだ言いたげだったけど俺が全て大丈夫と言うとしぶしぶだが席に戻ってった。

それにしても今日は焼きそばパン3つですか。4限体育なんだけどどうしよう。


3時間目の休み時間も東流院さんは話に来た。

そして4時間目、俺は体調不良を訴え、保健室で休んで余裕を持って買いに行くことにした。

先生も俺の体調不良を信じて休ませてもらい、そのまま4時間目が終わる10分前に保健室をあとにして購買に向かった。


そのおかげで余裕で焼きそばパン3つ買うことが出来た。他に自分の分を買って、教室に戻った。


教室に戻ってあいりに焼きそばパン3つ渡した。


「ふん」


お礼は言われずそのまま焼きそばパン3つを持って教室を出ていく。

俺は自分の席に戻って買ったやつを食べ始める。

東流院がわざわざ椅子を持って俺の席にできて一緒に食べ始める。


「一緒に食べよっ!」


もう諦めて好きにさせた。


「体調大丈夫?」


「うん、大丈夫」


「それで?パシリもちゃんとやったのね⋯⋯」


「言われてるし仕方ないよ」


そう言いながら残りのパンを口に入れ、飲み込んでから読書に移る。

それを見ていた東流院は「もー!」といいながら残りのご飯を食べ終え、俺の顔をずっと見ていた。すごく居心地悪かったけど我慢してお昼の時間は終わった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る