第11話『嫉妬』
2時間目が終わり、休憩時間になった。あの後東流院は俺に話しかけてこない。一応顔見知りだったから声をかけたってだけだったんだろうか。
「⋯⋯おい」
後ろからドスの効いた声が聞こえてくる。多分あいりだ。パシリですかね?そうですよね。
「今日はこれ、よろしく」
メモ紙だけ渡してそのまま戻って行った。この中に今日買ってくるパンでも書いてあるのだろうか?メモを開くと⋯⋯。
『昼休み屋上』
え?呼び出し?なんで?
よく分からないけど昼休みに屋上に行けばいいのか。昨日俺がログインしなかったのを聞きたいのかな。そうだろうな。そんなことを思いながら残りの2時間授業を受けていた。
昼休み。
一応購買に行ってパンを適当に買ってから屋上に行く。
屋上に行くとフェンス近くにあいりが座っていた。
俺はあいりの近くにいく。
「⋯⋯」
「⋯⋯」
無言。なんの話しだろ、こっちから聞かないとかな。
「あのさ⋯⋯」
「ねぇ⋯⋯」
うっ、被ってしまった。
「先どうぞ」
「うん⋯⋯さっきの転校生って誰なの?」
あーその話か、俺もよく覚えてないんだよね。知ってる人なんだろうけど随分前の話だし。
「幼稚園時代にいたと思う、俺がれー君って呼ばれてたのはその時だけだから」
「ほんとに!?それだけ!?」
「多分、もう誰かもわからないよ」
「ふーん、ならいいけど」
「いきなりそんなこと聞いてどうしたの?」
「なんでもねぇし!気にすんな!」
まぁ、あいりも気になったから聞いてきたんだろう。それさえ分かれば大丈夫か。
あいりはそのまま先に戻って行ったので俺はそのまま買ってきたパンを食べて教室に戻ることにした。
放課後、東流院を案内することになった。クラスメイト達は先に帰っておりもう俺達しかいない。
「それじゃあお願いしますれー君」
「ああ、わかった」
そして俺は東流院を連れて学校の施設を案内した。移動教室や資料室、図書館、保健室などを教えた。細かいところまで教えてはいないけどここら辺知っておけば困ることは無いだろう。玄関に戻ってきたのであとは帰るだけ。
「⋯⋯こんな感じかな、大丈夫?」
「ええ、大体の場所はわかりました」
「他になにか質問ある?」
「んー、そうですねー、じゃあ、れー君には今付き合ってる人はいますか?」
「⋯⋯いるけど⋯⋯なんで?」
「理由はありませんよふふ、彼女いるんですか、誰なんでしょうね⋯⋯まぁそのうち分かるでしょう、それと私の事思い出してくださいよ」
それだけ言って東流院は先に玄関から出て帰っていった。
思い出せって、無理でしょ。何年前の話だよ、子供の時の記憶なんてそんな鮮明に残ってることの方が珍しいよ。
アルバムとか探せば分かるかな?後で見て見よ。そう思いながら家に帰った。
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