第10話『転校生と出会い』

昨日はゲームにログインしなかった。

アイに会うのが怖かったから、俺は昨日ログイン出来なかった。あのまま会ってたら何もかも吐き出してしまいそうだったから、辛いって、自分で我慢すると言っておきながらそれを言うのは許せなかった。


憂鬱な気分ではあるが学校に向かう。

教室にはあいりと取り巻き達がもう来ていた。

それを無視して自分の席に座る。


俺はそのままうつ伏せになり寝たフリをした。

あのまま起きてれば絡まれる。取り巻き達ならどうでもいい、でもあいりに来られるのはちょっと嫌だった。


結局HRまで誰も来ることは無かった。


「おーし、今日は転校生が来ている、これからこのクラスに入るから仲良くな」


今日は転校生が来るんだ。なんとなく扉を見ていた。扉が開き長い髪が足元まで伸びていてユラユラと揺れている1人の女子生徒が入ってきた。


「初めまして、今日からこのクラスに転校してきた東流院とうりゅういんなぎさです。よろしくお願いします」


theお嬢様というような雰囲気を纏っている。でもどこかで見たことがあるような気がする。

なんか気になるのでそれを思い出そうとしているとその東流院がこっちに近づいてくる。そして俺の前に来て


「久しぶりね、れー君」


と言ったのだった。

れー君、それは幼稚園時代に呼ばれていた呼び名だった。つまりこの女の子は幼稚園の時に知り合ったはずだ。というかなんで俺の事がわかったんだ?少なくとも幼稚園の時の記憶だろ。もう何年会ってないと思ってるんだ。


「お、相葉、お前の知り合いか、なら学校の案内はお前に任せる」


「あ、はい」


状況についていけず頷いてしまった。周りの男子からの視線が痛い。


「それじゃあみんな仲良くなー」


先生はそれだけ言って教室を出ていった。

出ってって直ぐにクラスメイト達が集まりだした。


「ねぇねぇ東流院さん彼氏いるの?」


「前はどこにいたの?」


「なんで転校してきたの?」


「相葉と知り合いなの?」


転校生によくある質問攻めが俺の周りで行われている。

東流院さんはそれに答えず、俺に話しかけてくる。


「れー君、私の事覚えてる?」


「いや、呼び名からして幼稚園時代だと思うけど誰かなんてわからないよ」


「そう?ならまぁ仕方ないわね、でもこれからよろしくね」


「う、うん」


転校生は幼稚園時代の子だった。思い出せないけどなんだか懐かしい気がした。

教室の後ろの席では1人爪を噛んでイライラしてるのがいたけど誰も気づいていなかった。

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