ホリデイ
午前、そうじと水槽の水換えを済ませ、
夕方あるいて買い物にいく。
輸入食品店で切らした紅茶とチョコレート、
本屋で文芸誌と文庫本。
たいせつなのはこれが何曜日かで、
日曜日だと見た目がかわいいだけの塩ケーキ、
いつだってわたしたちは今日いちにちだけを生きているわけじゃないから。
*
「休みの日」に殺されるかもしれない。
金曜の夜、風呂も食事も済ませてベッドに転がった瞬間は、幸せのピークである。目覚ましをかけずに眠りに落ちる贅沢。このときのために一週間がんばってきたのだ。
翌朝、目を覚ますのは、まだ早い時間。土曜日の午前は、あたりを漂う幸せの空気に溺れそうにすらなる。わたしはペットの世話をしたり、紅茶を淹れたり本を読んだり、パンを食べたりして過ごす。
そこまでは時間がゆっくり流れるのに、土曜の午後あたりから、急に時間の流れがはやくなる。誰かが地球を弄ぶように回しているとしか思えない。気がつけば夜。気がつけば日曜。気がつけば日曜の夕方。そのとき、ああ、休みの日に殺される、と恐れおののく。何もしないうちに休日が終わったという絶望感が、凶器を持ってわたしを襲う。
待って、まだ夕方だから、今から何かをすれば取り戻せるかもしれない。でも明日は早いんだから、早めに寝なきゃいけない。どうしよう、まごまごしていたら夜の七時、何かするには手遅れな時間。吐きそうだ。休日と平日による圧死。その瞬間の憂鬱さは、平日の「仕事行きたくない」を遥かに上回る。
毎週訪れるこの魔物と、みんなはどうやって戦っているのだろう。どうしたら「明日からまたがんばるぞ!」などと思うことができるのか。わたしは今日も、休日と平日の狭間でもがき苦しんでいる。
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