第2話 短いエピローグ的ななにか

この学校にはなんと残念な集団バッド・フォーと呼ばれるグループがあるらしい。

 まず一人目のことは間違いなく、ムラカミと呼ばれている男だろう。彼はなんといっても、癖が強い。

しかし、癖が強いと言っても多分、なかなか伝えることは難しい。よって、ここで俺が今ひとつなにか彼と話してみよう。


「おい、ムラカミ。明日の数学Ⅱに宿題あったよな?」


「ふむ。僕は顎に手を添える。そうだな、あるとも言えるし、ないとも言える。しかし、結局のところ僕にとってはどっちでもいいような気がするんだ」


みたいな感じだ。まぁ、話せば長いし、なによりうざい。と言うよりか、俺も村上春樹作品はよく読むがセリフはこんな感じといえども、一々動作の描写なんかセリフに入れてないような気がするんだけど。まぁ、なんというか、こいつはとにかく村上春樹作品の影響を受けて、こんな口調で普段から話す。

 もう、こいつの紹介はこれでいいだろう。

 はい、次。俺の横に座ってるこの少女。こいつも癖が強い。また、その癖がわかるように会話をしてみよう。


「なぁ、デンパ。今、何時だ?」


「姉とのアクセス時間を計る。返答時間、約4秒。…姉は17時3分と言っている」


「16時46分なんだけど」

 

「これは姉のミス」


 と言うように、こいつは一々受け答えする際には心の姉を介して会話をする。さらに間違えれば大体姉のせいになる。姉、可哀そうだろ。

 そして、最後は俺から一番遠い場所に座っている生徒。名前はブイと呼ばれており、こいつらと違って、内面もちょいと問題はあるが、基本外見が怖いだけであってこのグループでは比較的まだまともな部類に入る。会話は必要ないよな…。

 以上がこの部の人間となる。

 いや、ほんとまともな人間が俺を除いて存在しない。マジでこの部の人間たちがバッド・フォーと呼ばれる理由もうなずける。てか、ファンタクティック・フォーみたいに言うなよ、ヴィラン気取っちまうだろうが。それ以前に、なんでバッド・フォーなんだよ、俺を含めるな。

 とにかく、この部に俺は早くも条件を満たして、脱退せねばならない。こんなところにいれば、俺までもが頭おかしい集団になってしまう。まぁ、今さら抜け出したところで、もう染みついたイメージのせいで青春できねぇと思うけどな。

ほんと、世の中理不尽だ…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

バッド・フォー 人新 @denpa322

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ