基礎法学

じゃす@ゼロから司法試験予備試験合格目標

第1話 法と法学

1.法とは何か


 複数の人間からなる結合体である〔独:Gemeinde〕、より抽象的に〔独:Gesellschaft〕が存在する。この社会における生活には、規範が必要である。これを〔英:social norm〕という。そして法は、この社会規範のうちの一つである。社会生活を営むからには、この社会規範なかんずく法に関する正しい知識を必要とし、故に、法学という学問が存在する。


 〔独:Recht,仏:droit〕とは、社会規範のうちの一つであり、それは拘束力を持つ準則であり、かつ、窮極的にはその社会において正当性をもっている統治体が強制力によって実現することが予定されているものの総体と、いちおう考えることができる。そして、その中心にあるのは、「」〔独:Sein〕という観念ではなく、「」〔独:Sollen〕という観念である。法は規範現象であって、その「であるべき」ことを人間に対して〔英:sanction〕し、働きかけることを中心とするものなのである。なお、サンクションには制裁のみならず誘引も含まれる。


 法は、これが拘束力を持つ準則であるからには、明確な内容でなければならず、「汝、常に正しく生きよ」というような一般的な社会における生活の指針のみを内容とするものは、法として拘束力を持たせることは難しいことであり、また、後に見るような理由により、これは適切とも言い難い。また、「汝、常に正しく生きよ」という内容の法をもしも定立し、執行するのであれば、さらに別の問題も生ずる(これも後述する)。




(つづく)

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