第35話 不安

岩石地帯でもゼノの相手にすらならなかった。殲滅した後はそこに陣取るように滞在し、次の支持を待っていた。


そして、話は戻りバルハードにそのことが伝えられた。こんなことがあっていいのだろうかと絶望にくれる中会議に出席する。会議に出席している人数は6人であり、これで全員だ。


「さて、全員揃った。 始めたまえ」


今言動を発したのは21代国王のホワーグ・イスエラルである。サンタクロースのような見た目に豪華な服と冠を被っている。そう、ここは国王が住む城であり、いつもは食事をする場所を使って会議をしている。そして、国王はその内容を聞き、決定する権利がある。


「私からよろしいでしょうか?」


国王含む全員が頷く。今話した人物はロワード・イスエラルといい国王ね唯一の息子であり、覇師である。


「まず最初に帝国の十帝を我々に無断で倒したこと、そして偵察任務を遂行したことを説明していただきたい」


ロワードはこちらを強く睨んでくる。他の3人も同様にしてきたのでため息が出そうになる。それぞれの王師の見た目と名前は異なっており、一番近くに座っている金髪のいかにも貴族という見た目の中年がナムニエ・ケルベット・ソフィアリアという。


そして、目の前にいる黒髪のいかにも戦場の猛者と見える男はレジニア・クライアンツ、その隣のハゲがヘアノ・ツルッペリンという。バルハードは重い口を開く。


「まずは、無断で行ったことを謝らせてもらう」


「何が謝らせてもらうだ? そんな危険なことなぜ俺に言わなかったんだ?」


レジニアは喚く。いつもそうだ、この男が何かしら突っかかってくるとこから始まる。


「みなさんにもわかりやすくに言いますと、勝つためです」


「勝つためだと? 何を言ってるんだ? お前は馬鹿か?」


「はぁ〜いつもは黙っているが、仕方ないはっきり言ってやろう。 この国はもうすぐ滅びる」


それを言った瞬間ロワードが机をおもいっきり叩き、鬼の形相でこちらを見ていた。


「バルハード王師、言っていいこと悪いことがあります」


「私は真実を言ってるだけであります。 おそらくこの場で私しか知らない情報を今言わせてもらいます。 第5防衛ラインの魔導部隊が死の魔術師によって壊滅しました」


その言葉に言葉を失う者がいる中レジニアとロワードは涼しい顔をしている。


「それがどうした! その程度で我々は負けるはずがない!」


「レジニア王師の言う通りです。 たかだか600の兵と同等の力など脅威に値しません」


本当にこの国のトップは腐っていると実感する。そして、もう1つの情報を教えるため口を開く。


「エレクサント聖国が滅んだ、死の魔術師によってな」


「な⁉︎」


それに反論は帰ってこない。もう既に決まったようなものだった。


「私にはこんな会議よりも国を守らなければならない。 王よ、賢明な判断をお願いします 」


「話はわかった、どれほどの兵がいる?」


「5000程頂ければなんとかなると思われます。」


「ギリギリだが大丈夫だろう」


「ありがとうございます、それと兵はルミサンスに集めていただくようお願いします」


「すぐに集めよう」


バルハードは王の了承を得ることができ、ひとまず安心するが、問題はここからである。


「兵を集めることが決まったのですから私からいいでしょうか?」


ナムニエが急に口を挟んでくる。


「私からも良いだろうか」


金髪とハゲが息を合わせたように話し出す。それに全員が頷く。


「皆さんから受け取った階級を昇格させるものですが、全員1つあげることが話し合いで決まりました。 ただし、バルハード王師のとこは別です」


「どういうことですか?」


「バルハード王師が申請した45部隊は無断で動いたとしても倒したことは確かです。 なので、後で昇格者をリストアップしたものを渡します」


「了解しました」


その時ナムニエとヘアノがニヤついた気がしたが、あまり気にはしなかった。それからは特に何も出ることはなく会議は終わった。バルハードはリストを受け取るとすぐにルミサンスに向けて出発した。





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