迎え人

勝利だギューちゃん

第1話

「迎えに来たよ」

「君は?」

「天使」

「天使?」

「うん」

「何で僕を?」

「知ってるでしょ」

わかっていた。

そろそろ来るかなと・・・


心の準備は出来ていた。

なので、恐怖はない。


「死神じゃないんだね」

「うん。本当はね、死神さんの仕事なんだけど・・・」

「確かにね」

「でも、君はあまりに、優しい。だから私が来たの・・・」

「僕は、優しくないよ・・・」

「ううん、気付いていないだけ・・・」

優しいかどうかは、自分ではわからない。


「もし、君が天使ということで、僕を迎えに来たのなら・・・」

「うん」

「出来る事なら、そのままお帰り願いたいのだが・・・

そうも、行かないんだよね?」

「うん、残念だけど・・・」

目の前の女の子は、背中に翼がはえて、頭上に天使の輪がある。


絵に描いたような、天使だ。


「で、僕はどこへ行くの?」

「君は、天国だよ」

「そういう意味ではなくて・・・」

「ならどういう意味?」

「天国の後」

「知りたい?」

「うん」

死ぬのは怖くない。

でも、生まれ変わりは怖い。


もし、来世という物があるのなら、拒否という選択肢を用意しておいてほしい。


「今は、そう思っていてもね、天国に行けば、考えが変わるよ」

「どうして?」

「確かに、天国は楽園。幸せになれる。でも・・・」

「でも?」

「ううん。じゃあ行こうか・・・」


天使に連れられて、僕は天国に来た。


だが、天使の言っていた事が理解出来た。


確かにここは、何も不自由がない。

幸せだ。


でも、このままここにいれば、自分の魂がダメになってしまう。

ダメにならないためには、下界で魂を磨いたほうがいい。


そう、考えるようになった・・・


「じゃあ、そろそろ行く?」

あの時の、天使に言われた。


「じぁあ、もうじき新しい人生行きの列車が出るから・・・」

「世話になったね」

「ねえ、ひとつ訊いていい?」

「何?」

「もし、ひとつだけ、来世に願えるならどうする?」

考えるまでもない。


「また、君に迎えに来てもらえるようになりたい」

「ありがとう」

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迎え人 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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