3月2日──ミニの日

 今日はミニの日!

 だから普段はジーンズばかりのあたしも、今日はミニスカートをはいてお出かけするの。

 道ゆく人々の視線が恥ずかしい。

 みんながじろじろと、あたしを見ているわ。

「ん、何よあなたたち⁉︎ 署まで連行? お前おっさんだろうって? 何よ、何よ、男がミニスカートはいて何が悪いってのよッ!」

 あたしは警官の手をふりほどいた。

「待たんかッ、この変態おやじ!」

 警官たちの怒声を無視して、路地裏に逃げ込んだ。


 あたしが女じゃないって事ぐらいわかってるわよ。でも今日一日ぐらい放っておいてくれたっていいじゃない!

 スカートをひらめかせ、あたしは駆け続けた。

「ああっ、もうお終いだわ!」

 目の前は壁が立ち塞がる袋小路。

 背後からは警官たちが迫って来た。

「さあ署まで⋯⋯あれ、こりゃ失礼!」

「えっ?」

「変質者がうろついているので注意して下さいね、お嬢さん」


 あたしは美少女に変身していた──。


◉3月2日は「ミニの日」

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