2月16日──ノー天気お姉さん

新しいお天気姉さんの予報はよく当たると評判だ。

「明日は曇りのち雨、時々雹」

とか、

「雷のち夕方から雪、夜は快晴」

などという、複雑怪奇な予報もみごとに当てた。


俺は番組が始まる前に彼女に訊ねてみた。

「K子さん、君の天気予報はすごい的中率だねぇ」

彼女はにこにこと笑いながら、鞄の中から何かを取り出した。

「うふふ、今日はあなたにお願いしようかしらねぇ」

と言うと、小さな日本地図が描かれた紙と朱肉を、俺に差し出した。

「これは?」

「どの指でもいいから、捺してくださいな」

俺は意味のわからないまま、自分の親指に朱肉を付け、日本地図の上に捺した⋯⋯。

「アハハ、あなた面白い指紋してるわねぇ」

「⋯⋯」

確かに俺の親指の指紋は一風変わっていて、ぐるぐると渦を巻いた螺旋がふたつあったのだ。

俺は嫌な予感がした⋯⋯。


そして次の日、日本列島に突如として、大型の台風がふたつ同時に現れた──。

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