2月14日──チョコレートの女

 毎年おれにチョコレートを送ってくる女がいる。


 それは小学生の時から始まり、中学、高校、大学と続き、社会人になった今でもチョコを持ってやってきた。

 そこそこの美女ではあったが、どうもこの女は苦手だった。

 目の奥に、何か尋常ではない光を感じるのだ。

 それに、渡してくるチョコも、年々おかしな形状のものになってきていた。

 ある年は虫の形のチョコ、またある年は骸骨の形のチョコ、そして去年は足の形のチョコだったりした。

「俺、あんたと付き合う気はないからね」

 と毎年のように言うのだが、女はにこにこと笑うばかりで、何を考えているのかよく分からなかった。


 ところが、今年だけは本人が現れず、大きな荷物がやってきた。

 手紙が張付けてあり「これで最後のチョコになります」と書かれてあった。

「やっと俺の事を諦めたかな?」

 と思いながら、大きな段ボールの中を見ると、女の形をした等身大のチョコレートが入っていた──。


 ◉2月10日は「バレンタインデーの日」

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