第七話 後説 神と加護の日常のお知らせ

「動画が2本あって、1本目は日常編で説明分は少ない、では……スタート!」


 その言葉と同時に巨大モニターに動画が映し出された。

 カジノのテーブルに品のなさそうな男と縁がカードで勝負をしている。

 縁の隣で勝負を見ている斬銀が居た。


『がははは!また勝ったぜ! 兎のあんちゃん、悪いな』


 大量のカジノコインを目の前にして大笑いをしている男。


『いえいえ、負けたんだから仕方ないですよ』

『がはは!愉快愉快』


 男はこの世の幸せを独り占めしたような笑顔をしていた。

 縁はクールに笑って同時に字幕が現れた。



 縁


 実は幸運を司る神様なのだが、それを隠しつつ兎の亜人として平凡な日々を過ごしている。



「平凡?」

「普段は一般人と変わらない生活してるからな、説明しようがない」


 スファーリアはジト目で縁を見るとはフッと笑っていた。


 画面が変わりモニターには色鳥が映った。


『よっ! おっ! 竹馬なんて久しぶりだな』

『お兄ちゃん竹馬出来るんだ』

『俺にも教えて!』

『私も!』

『順番な順番』


 色鳥が竹馬に乗っていて、子供達が色鳥を囲んではしゃいでいる。

 字幕が表示された。


 色鳥


 遊びの加護を持っている人間で、普段は仕事もしないで一人旅をしている。

 子供達とは異様な速さで友達になる事が出来て、子供の知り合いは多いがその親からは高確率で不審者扱いされが直ぐに誤解は解ける。


 また画面が変わり、自国を散歩しているグリオードと麗華は少女に呼び止められる映像が映る。


『王様、見て見て! 王様達を描いたんだよ!』

『素晴らしいな……ふむ、よく描けてるじゃないか』

『王様にプレゼント!』


 少女はニコニコ笑っている。


『麗華、この絵を額に入れてくれ』


 グリオードは少女に貰った絵を麗華に渡した。


『グリオード様、またですか?』

『賞賛に値するからな、とっておく』

『わかりました』


 グリオード

 

 賞賛加護を持っている人間。

 自分の国を持つ良き王様であるが、その昔痛い目を見た為に加護の力は使わずに努力をするようになった。


 今度は図書館のような場所に居るいずみが映った。


『お姉さん、この本貸して下さい』

『ほほう、世界お利口さん辞典を借りるとは少年やりますね』


 図書館のような場所で少年は本をいずみに手渡している。


『僕は馬鹿になりたくないからね』

『ふむ、ならばこちらもどうぞ』


 いずみは指を鳴らした、すると本が現れその本を少年に渡した。


『世界お馬鹿さん辞典?』

『お馬鹿さんとお利口さんを両方知る事が賢いヒトへの成長です』

『僕は馬鹿に興味が無いんだけど』

『少年、知らない事は罪ですよ? 間違った知識を植え付けられたり、全て正しいと言われたりね』

『よくわかんない』

『おっと失礼、返却期間は守って下さいね』

『はーい』


 少年は世界お利口さん事典を抱えて走っていった。


『ふふふ……子供にはまだ難しいですか』


 字幕が現れる。


 博識いずみ

 

 説明と解説の加護を持っている説明好きな自称おばちゃん。

 ちょっと秘密の場所で図書館を管理している司書さんです!


 教会で子供達と一緒に居るシンフォルトが映った。


『みなさん、今日は道徳のお話しをしますね』

『はーい』


 教会の庭で子供達にお話をするシンフォルト。

 字幕が表示された。


 シンフォルト

 モラル島と呼ばれる場所でシスターをしている。

 道徳を広める為によく旅に出ていてアグレッシブなシスターだ。


 再び画面が切り替わり画面には断崖絶壁に取り残された少年を救助している陣英が移されている。


『よし、おじさんにしっかり捕まってるんだぞ』

『うん』

『よし、引き上げてくれ!』


 陣英

 生命という名前の傭兵集団に所属していて、普段は人命救助や復興支援をしている。


 最後にゴスロリ衣装の女性達と優雅にお茶会を楽しむ絆の姿が映っている。


『お茶会は楽しいですわね』


 絆

 縁の妹であり、普段は知り合いと優雅なお茶会をしている。


 そして動画は終わった。


「待って!? 絆ちゃん説明短! 解説も短! てか縁君から徐々に説明短くなってね!?」


 スファーリアは色鳥に対して怒涛のツッコミ!。


「まあまあ落ち着いて、あくまでも『普段』は、だからな」

「あっ、そういう事、確かに普段て私も学校の先生しかしてなかった」

「ま、少々手抜きだがこれが日常編だが」

「動画ってこれか色鳥よ、懐かしいな~確か公式イベントの時に流すっていってたな」

「懐かしいだろ縁や? 次が本編だよ……っとそうだ、みんな!」


 モニターの前に集まったプレイヤー達に呼び掛ける様に声を上げ始めた。


「次は説明文がちと長いから読めないと思うから、後で森山ボックスの動画サイトにも上げるから気になる人は見てくれ、で、設定のネタバレとちょっと血だらけとかの過激シーンもあるから、知りたくない人や見たくない人はモニターオフ設定よろしくな」

「あたし達は大丈夫~」

「拙者も大丈夫でござる」

「くぅ~みたいような見たくないような」

「早くしなさい、迷惑かかるでしょ」


 プレイヤー達はそれぞれ反応している、しばらくしてプレイヤー達の準備が出来たようだ。


「んじゃ、流すぞ~」


 色鳥はメニューの動画再生ボタンを押した。

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