第五話 遊ぶ範囲と兎達その2

縁達は大きな宮殿の入り口前に光に包まれて現れた。


「着いたな」


 色鳥は欠伸をした。


「久しぶりにグリオードの国に来たが、相変わらずだな」


 縁は辺りを見回した。

 宮殿入り口前から見えた景色はカオスだった。


 まず目に入ったのは原始人が石のお金を転がしている光景。

 原始人が居るかと思えば、遅刻しそうな女子学生がパンらしき物を加えて走っている、案の定曲がり角で男子学生とぶつかっている。

 そんなラブコメ展開の側で説法をしているシスターが居る。


 シンフォルトだ。


 おそらくシンフォルトは道徳について語っているのだろう、話が上手いのか徐々に集まっていく。

 シンフォルトの近くでお兄さんとお姉さんが元気な子供達と遊んでいる、多種多様の種族が楽しく遊んでいた。

 微笑ましい光景を見ていると、空からなんと学校が飛んできた!

 町の近くへと下りてくる学校。


『子供達のみんな、お勉強の時間ですよ』


 飛んできた学校から放送が流れる。


「あ! ガッコウダーだ!」


「今日は変形してないんだね!」


「さあみんな、勉強もちゃんとしましょうね?」


「「「「はーい!」」」」


 お兄さんとお姉さん、子供達は空から飛んできた学校に向かって歩いていった。


「相変わらずカオスだな、街並みもだが」


 色鳥は街並みを見る、わらの家からSF世界観にあるような家まで千差万別だ。

 景色を眺める一向に近寄る男性の姿が。


「失礼します、色鳥様でございますか?」


 色鳥に声をかけたのは、白髪に整った白い髭に優しい目、タキシードに身を包んだ男性が話しかけてきた。


「ああそうだ、あんたは?」


「私はグリオード様の身のまわりのお世話をしています、ジンと申します」


 ジンは丁寧に頭を下げた。


「中でグリオード様が待っています、ご案内しましょう」


 ジンに案内をされ色鳥達は宮殿の中へ。

 宮殿内は殺風景で建物は豪華なのだが、装飾品が無く見掛け倒しにみえる。


「相変わらず殺風景だな」


 縁は辺りを見回した。


「グリオード様はこのままがいい、とおっしゃってまして」


「そうかアイツらしい」


「さ、こちらです」


 ジンが大きな古い扉を開けた。

 色鳥、縁、絆は中へと入る。


 グリオードは玉座に座っていて、近くに女性が一人立っていた。

 その女性は青色のドレスにヤギのような角に、赤色の髪で冷たい目とへの字の口をしている。


「ういっすグリっさん、元気っきにしてた?」


 色鳥は気楽に挨拶をした。

 

「!?」


 辺りが急に冷たくなる、さっきまで春の暖かさだったが温度が急激に下がり寒くなり、室内なのに何処からか雪が降ってきた!


「落ち着いて下さいね?」


 グリオードは苦笑いしながら、近くの女性を見た。


「落ち着く? 一国の王に対してこの言い草を見逃せと?」


 冷たい目の女性はグリオードを睨んでいる。


「クスッ! 真面目な人だなその悪魔さん」


 色鳥が笑ってると……


「死ね」


 いきなり無数の氷の刃を色鳥に飛ばしてきた!


「雪遊びは好きだぜ?」


 色鳥は刀に手をかけた。


「だがな、あんたからは殺意を感じないんだ、キレてはいるようだが、俺を試すような遊びは止めるんだな」


 飛んできた氷の刃は色鳥にたどり着くまでに溶けてしまった。


「失礼しました、色鳥様」


 女性は優雅にお辞儀をした。


「色鳥様の実力を計るような真似をしてしまいましたが、ただ死ねと思ったのは本心ですのであしからず」


 周りの温度が上がっていき、暖かくなっていき雪も止んだ。


「グリオード、お前凄い悪魔を従えているな」


 色鳥は深いため息をした。


「自己紹介が遅れました、私は霜氷柱しもつらら麗華れいかと申します、グリオード様の補助を色々としておりますわ」


 麗華はお辞儀をした。


「やはり応接室で話した方が良かったな、麗華がピリピリしすぎだよ」


 グリオードは苦笑いをした。


「当たり前です、玉座に座っているんですから、王様として対応してください」


 麗華は冷たい目でグリオードを見ている。


「最初から応接室ならば私はここまで怒りません、友人と話すと言っていただければ」


「ああ、うん、ごめんなさい」


 グリオードはたじたじのようだ。


「ああ、確かにそりゃそうだよな、って」


 色鳥は周りを見た。


「縁達は?」


「縁様達でしたら、応接室に案内いたしました、お茶菓子も用意しております、色鳥様案内いたしましょう」


 ジンは軽く礼をした。


「脱兎の如く逃げ出したか? 案内頼むわ」


 色鳥は苦笑いした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます