第三話 太陽の花を採取 後編 その12

「パーティーボイスチャットオン、ロール弾き」


 と、縁が言葉を発した。

 文字通り、今パーティーを組んでいる人だけで会話が出来て、ロールしている人達の会話はお互いに聞こえない。




「ロールお疲れ様でした」


 縁が軽く頭を下げた。


「兄貴、スファーリアさん、お疲れ様」


 絆も頭を軽く下げた。


「縁君、絆さん、お疲れ様です」


 スファーリアは微笑んだ。


「スファーリアさん、ごめんなさいっす、兄貴とフラグを立てさせるような振る舞いして」


 平謝りをする絆。


「大丈夫よ絆さん、その位じゃ怒らないから」


 無表情だが特に怒ってはいないようだ。


「ロール中にも言ったけど、スファーリアの心に響く音色を縁君が響かせられれば、可能性があるよ」


 縁を見るスファーリア。


「縁の心の宝石箱に、まだその音色は無いようだ」


 縁はニヤリと笑いながらそう言った。


「ブフォ!?」


 スファーリアは顔を伏せて笑い始めた!

 バンバンと机を叩いている。


「あたしは聞き慣れてるけどさ、開幕それかよ」


 絆はジト目で縁を見た。


「いや、答えただけだろ」


 縁は苦笑いをした。


「なんつーか、キザい」


 絆はジト目で縁を見た。


「そんなつもりは無いんだがねぇ~」


「おっ、こっちも盛り上がってるな」


リッシュ達が縁達のテーブルにやってきた。

 

「縁さん、絆さん、スファーリアさん、ロール参加ありがとうございます!」


 フレビィレンスが一歩前に出て、お辞儀をした、それを合図に各々お疲れ様と声を掛け合った、フレビィレンス達は椅子に座る。


「じゃあ、お楽しみの反省会だな、細かい反省は後にして、まずは、大きな流れの確認たな」


 最初にリッシュが声を発した。


「ここの酒場のシーンからだな、俺はあのフレビィレンスのポーズのキレが凄いと思った」


「あ、兄さんそこから見てたんだ」


 縁が声を上げた。


「ああ」



 レアスナタはロールプレイを、生放送で視聴したり、動画化、非公開はもちろん、全体に公開やフレンドのみ、シナリオ参加者のみ等、細かく設定出来る。

 熟練した技術を持つ、運営の人達が撮っているらしく、動画化する時は生放送よりも、登場シーンや見せ場を盛り上げる編集をしてくれる。



「あてくし、特撮が好きでして、ポーズの練習はかかせませんわ!」


 フレビィレンスは立ち上がり、軽くポーズをとった。


「あてくし、特撮の話をすると長くなるのでここまでにしておきます」


 フレビィレンスは椅子に座った。


「一ついいでしょうか?」


 小錦が手を挙げた。


「はい、小錦さんどうぞ」


 リッシュが司会者のように振る舞っている。


「CDラジカセ、アレは若い頃に世代だったので、懐かしかったです」


「今はさ、音楽は簡単に持ち歩けるからね~」


 ひかりは小錦を見た。


「時代……か、CDラジカセで友達と遊んだり、音楽聴くために学校から走って帰ったな……」


 小錦は凄く寂しそうに笑っている。


「はいはい、その話は私が後で聞いてあげるから」


 ひかりが呆れて小錦を見た後、リッシュを見る。


「リッシュさん、次どうぞ」


「次ってーと、三輪車バトルだよな?」


 リッシュは縁を見た。


「正直、ちゃっちいのかなと思ったが、三輪車ってなんだよってなったわ」


 縁は苦笑いしながら、ひかりを見た。


「元ネタって、漫画やアニメにもなったオモチャなってるよね?」


「絆、よく知ってるな」


「まあね、あたしは見てたし」


「なんと!」


 小錦が声をあげた。


「私は『走れ! 三輪太郎』が好きでして」


 小錦は少し興奮気味だ。


「お、初代じゃん、あたしは『ボムダッシュ! 阿! 吽!』が好きかな」


 絆も少々興奮しているようだ。


「ほほう」


「これは後で語らないと駄目ですな」


 小錦と絆は互いにニヤリとしている。


「あ、進めて下さい」


 小錦は右手を上げた。


「個人的には」


 スファーリアがスッと手を挙げた。


「目線に入ったらバトルとかが、懐かしかったかな、敵のペダル団のゴロの良さもいいね」


「簡単に終わる構築済みのシナリオを、フレビィレンスさんのシナリオに付け加えさせてもらいました、ありがとうございます」


 小錦はフレビィレンスに軽く頭を下げた。


「見ていて楽しかったですわ! 特にあの和服仮面がツボりましてよ」


「あ~アレはインパクトあったな」


 リッシュは頷いている。


「一昔前か、それ以前のイケメンだよな?」


 縁は腕を組み、考え始めた。


「どちらかと言えば少女漫画のイケメンだね」


 絆はひかりを見た。


「女性のピンチに颯爽と現れる王子様です」


 ひかりは親指を立てた。


「んじゃ次だな、回想シーンの詰め合わせか?」


「いや、その前にフレビィレンスのライバルとの戦いだな」


 縁はリッシュを見た。


「皆様の小休憩に入る為のロールでしたから、あまり深い意味はないですわよ?」



 フレビィレンスが戦っている時、縁達はトランプをしていたのだが、中の人は飲み物やお手洗い等、小休憩していたのだ、プレイルームの飲食は禁止されているが、店内で使える小型端末を使えば、簡単なロールはその端末で行える。

 また、文字のチャット機能もある。



「あの回想シーンって、アニメの回想シーンみたいだったな、一枚絵で縁達が喋ってたしな」


 リッシュは姿勢を変えた。


「つらく長い道のりだった」


 スファーリアがわざとらしくため息をした。


「で、その後、洞窟前で休憩したんだよな」


「あ、フレビィちゃんごめんね、合流するタイミング作ってもらって」


 絆は手を合わせた。


「それを言ったら俺もだな、ありがとう」


 リッシュは頭を下げた。


「ナイスタイミングでしたわ、本来ならあのまま花を見つけてクリアでしたから」


 フレビィレンスは親指を立てた。


「絆は常に誰かに倒されそうになるってロールだから、わかりやすいんだが」


 縁はジト目をリッシュを見た。


「なんだよ縁、なんも可笑しくなかっただろ?」


「いや、笑いながら登場したのはどうかと、みんなチャットで笑ってたしな」


「え? あれは縁君が『誰だお前』って言ったから、面白くなったんだよ?」


 スファーリアが笑っている。


「だよな、俺なりに何時も通りに登場したんだが、誰だはないだろ?」


 リッシュは苦笑いした。


「キャラクターとしては、久しぶりだし、外見も変わってたしさ」


「なるほど、そう言われると納得は出来るな」


 リッシュは頷いた。


「あの、絆さんを追撃してきた敵が懐かしかったよね、昔流行ってた異世界転生系だよね?」


 ひかりは首を傾げた。


「うん、そうだよ!」


 絆は頷いた。


「また懐かしいのを敵にしたというか、なんというか」


 ひかりは苦笑いした。


「一つよろしいでしか?」


 小錦がスッと手を挙げた。


「あの時、リッシュさんが色々と世界観を話されていましたが、ご自身の設定なんですか?」


「いや、ノリと勢いでいいましたよ」


「兄さんはアドリブ強いよな、タベリアの街も嘘から出たよな確か」


 縁はリッシュを見た。


「タベリアは街だったら出来たんだよ、流石に世界観は各々あるから、まあ、あれはリッシュの嘘って事で」


 リッシュはウィンクをした。


「俺や絆は神様だから何処にでも行けるから構わないけどな」


「神様って便利ですな~」


 縁はニヤリと笑い、絆はヘラヘラしている。


「私は音楽がある世界ならなんとか」


 スファーリアは小さいトライアングルを出して、叩いた。


「リッシュは装備品でどうにかなる」


 装備品を見せびらかすリッシュ。


「小錦、あたし達はどうだったっけ?」


 ひかりは小錦を見た。


「私達は太陽石の力でどうにかなるな」


 小錦は腕を組み、答えた。


「あてくしのフレビィレンスは、太陽が存在するならば、大丈夫でしてよ!」


 ドヤ顔をするフレビィレンス。



 レアスナタには様々な設定のプレイヤーが居る、人の数だけ、自分の考えた設定が存在する、世界観の詳細はクエストに記載されていて、世界観が違うプレイヤーによっては、イフストーリーや夢オチだったりする。

 早い話、自身が納得出来ればいいのだ。



「世界観は後で皆で考えましょう、軽く聞いた限り問題無さそうですけど」


 フレビィレンスは腕を組んだ。


「話を戻して、その後は悪い神様を退けて、洞窟内に入る訳だ」


 リッシュは話を進める。


「あ、洞窟内では、ロールしてたっすか?スファーリアさん」


 絆は体を伸ばした。


「いや、縁君達のロールを見てたよ」

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