第三話 太陽の花を採取 後編 その11

「不幸の前借り?」


 ひかりは首を傾げた。


「人生、幸運も不幸も訪れますわよね?」


 絆はニヤリと笑っている。


「おそらく、特殊な事がないならそうだよね」


 ひかりは頷いた。


「その不幸を前借り、いや、前払いの方がしっくりきますわね」


「それ……多分死んじゃうんじゃない?」


 ひかりはジト目で絆を見た。


「人生全ての不幸が1日で降りかかったら、とんでもないよ」


 ひかりはため息をした。


「そうだな、つまる所、神様に頼るなって事だな」


 リッシュはうんうんと頷いた。


「都合のいい時だけ拝み、都合が悪ければ恨むのは止めて欲しい」


 縁は復活したらしい。


「おーい、採取終わったぜ」


 小錦とフレビィレンスが戻ってきた。


「じゃあ、帰るか」


 リッシュは身体を伸ばした。


「で、何処に戻ればいいんじだ?」


 その言葉に、皆、転びそうになる。


「ルルセリアの酒場だ」


「いや、あの町酒場沢山あるだろ」


「昔よく行ってただろ?、兄さん」


「ん? ああそこか、懐かしいな、了解了解」


「じゃ、転移開始!」


 リッシュはポケットから指輪を取り出して、掲げた。

 その場に居る全員が光に包まれて消えた。




「ほい、到着」


 一行は酒場の前へと帰ってきた。


「現地解散って事で、俺はこれで失礼するぜ」


 リッシュは縁達に背を向けた。


「じゃあ、またな」


 片手を上げて去っていくリッシュ。


「ひかり、俺達も帰るぞ、早く博士に雫を渡したいしな」


「オッケー」


「じゃあな!」


「またね~」


 小錦とひかりは去っていった。


「あら?皆様、そそくさと帰るのね」


 絆は傘を畳んだ。


「私も帰る、お母様に報告しないと」


「あら、気をつけてね」


「じゃーね、今日はありがとう!」


 そう言うとフレビィレンスは、頭の小さな羽をパタつかせて飛んでいった。


「で、残った私達はどうしようかしら?」


 絆は縁とスファーリアを見た。


「飲み直す」


 スファーリアの目はキラリと光った。


「そうだな、当初の目的はそれだった」


「私もご一緒して、よろしいでしょうか?」


「俺は構わない」


「私もオッケー」


 3人は酒場へと入っていく、酒場の隅っこの席に座った、絆は縁の隣に座り、縁の正面にスファーリア。

 テーブルの広さは5、6人の大きさだ。


「今日はなかなか面白かったな」


「お兄様は何時も楽しそうでいいですわね?」


「絆ちゃん、今日は楽しもう」


「そうですわね、スファーリアさん」


 絆はニコっと笑う。


「いえ、お義理姉様と呼んだ方がいいでしょうか?」


「止めなさい」


 縁はまたハリセンで、絆の頭を軽く叩いた、スパーン!といい音がする。


「やはり、家庭内暴力ですわ」


 絆は頭を抑える。


「それはいいから」


「お姉ちゃんなら、オッケー」


 スファーリアはジッと絆を見た。


「なら、普通にお姉様と呼びますわ」


 先程と発音の仕方変える絆。


「……仕方ない」


 スファーリアはジッと絆を見ている。


「その話題は終わりにして、何か頼もうぜ」


 縁は店のメニューを見た、まだまだ、宴は始まったばかりである。

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