第三話 太陽の花を採取 後編 その10

「ちょ!? 炎がこっちにも!?」


 ひかりが慌てふためくが……。


「あら? お兄ちゃんの装備があるから、大丈夫じゃないかしら?」


「あ、そっか」


 腕輪を見て安心するひかり。


「この炎の余波! 勿体無いぜ!」


 いきなり小錦が前に飛び出した!


「ちょ! 小錦!?」


「太陽石よ! 輝け!」



 小錦は自分の胸を開いた、そこには太陽の様に、輝く丸く加工された石があった。

 余波の炎は小錦へと吸い寄せられていく!



「うおおおぉぉ! なんて優しく温かい炎なんだ!」


「いやいや! 大丈夫なの!? 小錦!?」


「当たり前だ! 今の太陽石には足りないくらいだよ!」


「マジっすか」


 ひかりは開いた口が塞がらない。


「太陽石は加工すると、力が格段に落ちるらしいからな」


「ほえ~」


 縁の説明に口を開けたまま頷くひかり。


「我ながら見事だ」



 陣英は笑いながら、辺りを見渡した、髪はまた白髪になっている。

 周りには太陽のように赤く、綺麗な花が咲いていた。



「任務完了だな、俺はこれより帰投する」


 陣英は自分で投げ出した、迷彩服の上着を拾い上げる。


「すごい! すごーい! 花が蘇った!」


 フレビィレンスは太陽の花畑の周りを、嬉しそうに走っている、縁は陣英に近寄った。


「報酬は?」


「いらんな、あの子の笑顔で十分だ」


「っても、あの子は俺達より年上だぞ? 恐らく」


「あの子の歳は知らんが、吸血鬼の数百年なんざ……まだ子供だろ?」

 

 陣英ははしゃいでいるフレビィレンスを見て、微笑んである。


「最近は人間基準で考えるようになっちまったな」


「色々やってた頃が懐かしいな? 縁」


「人の黒歴史を掘り起こすんじゃない」


 縁はため息をした。


「うお!? 小錦! その身体どうしたの!?」


 ひかりが突然声を上げた。

 全員の視線がそちらへ向く。


「サン・フレーム! いや、太陽装甲の方がかっこいいな!」


 小錦の身体が更に赤く、太陽の様に輝き、トゲトゲした身体に、堂々とした立ち振る舞い、小錦は進化した!


「更に半永久的に活動出来るぜ!」


「かっこいい」


 スファーリアは小錦に近寄り、まじまじと見ている。


「あ、そうだ」


 走り回っていたフレビィレンスは、陣英に近寄った。


「何かお礼を」


 それを聞いた陣英は、しゃがみ、フレビィレンスと目線を合わせる。


「俺は『生存』って言う傭兵に所属してるんだがな?」


「うん」


 フレビィレンスは頷いた。


「そこの決まりの一つに『自分が助けたいと魂が震えた出来事には、何も貰うな』って決まりがあってな」


「でも……」


 フレビィレンスは納得がいかないようだ。


「じゃあ、お嬢さんの太陽に負けない位の、笑顔を見せてくれ」


 陣英はフレビィレンスの頭を撫でた。


「うん!」


 フレビィレンスは太陽の様に、輝かしい満面の笑みをした。


「いい笑顔だ」


 陣英は親指をグッと立てた。


生命いのちを燃やせよ」


 フレビィレンスは陣英のその言葉に首を傾げた。


「じゃあ、俺は帰るぜ」


 陣英は自分が出てきた光の渦へと近寄る。


「ありがとうな、陣英」


 縁は軽く手を上げた。


「また何かあったら呼びな」


 陣英は振り返った。


「命燃やす時、また会おうぜ」


 陣英は自分が出てきた光の渦へと帰っていった、渦は陣英が通ると消えた、縁は通信媒体を拾い上げる。



「ひかり、俺は太陽の雫の採取するから、少し待っていてくれ」


 小錦は太陽の花へと近寄る。


「はいよ~」


「面白そうだから、近くで見る~」


 フレビィレンスは小錦について行った。


「一件落着だな」


 リッシュは笑って太陽の花を見た。


「あ、そうだ、これ返すね」


 ひかりは借りた腕輪を返した。


「ああ」


 リッシュが受け取ると腕輪はスッと消えた。


「で、さっきの話に戻るんだけど、縁さんと絆さんが居るとどうして大丈夫なの?」


「ああ、今の絆を見てみな」


 リッシュは絆を指差した。


「ん?」


「私も不幸ですわ、傘が汚れてしまいますわね」


 絆は傘をさしていた、頭上から凄く小さい小石や砂が降り注いでいる。


「何あれ」


「落盤だな」


「へ? 落盤って、こう、大きな岩だったり、洞窟が崩れたとかじゃ?」


 ひかり首を傾げた。


「落盤の予兆にも見えるけども?」


 ひかりの発言を聞いてリッシュは笑いだした。


「ハハハ、絆の力を簡単に言うなら、九死に一生を突き詰めた、かな」


「解るような、解らないような」


「多分だけど、小銭落としたけど、命は落とさなかったって事じゃない?」


 スファーリアは、絆を見ながらそう言った。


「は~! なるほど」


 ひかりはポンと手を叩いた。


「付け加えるなら、皆の不幸を引き受けてくれてるんだ」


 縁がひかり達に近寄ったきた。


「ふむふむ、なら、縁さんは逆に幸運を撒き散らしているの?」


「撒き散らすって……」


 縁は苦笑いした。


「縁は自分の判断で、幸運を配る事が出来るんだがな?」


 チラッと縁を見るリッシュ。


「ひかりは幸運が欲しいかい?」


 リッシュはひかりに質問をする。


「いや、いらない」


 ひかりは即答した。


「身丈に合う幸せでいいよ、貰った幸運が不幸の可能性があるからね」


「ほう? それは何故?」


「縁さんが叶えてくれる幸せが、私が欲しい幸せとは限らないし、対価がありそうだし、怪しいし、騙されそうだし」


 ジト目で縁を見るひかり。


「そこまで言われるか」


 縁は少しへこんでいる。


「その警戒心は見事だ、縁の幸運は身を滅ぼす幸運だからな」


 リッシュはうんうんと頷いた。


「でも、それって自滅してるだけだよね?」


 スファーリアがフォローに入る。


「隣で少なからず見てきたけど、努力しない人達が縁君にすがるんだよ、都合のいい時だけ神様信じてさ」


 スファーリアはため息をした。


「で、縁君から聞いたけども、絆ちゃんは不幸の神様だからって石投げらたりしたんでしょ?」


 スファーリアの目は怒っていた。


「落ち着け、だから昔縁は世界を敵に回したんだよな?」


 リッシュはニヤニヤしながら縁を見た。


「痛たたたた」


 縁はわざとらしく胸を抑えて崩れた。


「『幸せになりたい奴はかかってこい、妹を不幸にする奴は、俺が幸運にしてやる!』だったか?」


 リッシュは倒れている縁に追い討ちをかける。


「あたたた……」


 縁は倒れながら耳を塞いだ、流石に恥ずかしいらしい。


「お兄ちゃん? お兄様をからかうのはその位にしましょう?」


 絆はニコニコしながらリッシュを見た。


「私の為に命を賭けたお兄様を笑うと、不幸の前借りさせますわよ?」


 絆は嘲笑うように笑った。

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