第三話 太陽の花を採取 後編 その6

「そうだ、兄さんは何でここに?」


「フラッと散歩しててな、あの木の上で昼寝してたら、騒がしくなって見たらよ、縁達がわちゃわちゃしてるのが見えてな」


「あら、それは運が悪かったですわね、お兄ちゃん」


「そうでもねぇかな、久しぶりにお前達に会えたからな」


「兄さん、タベリアの街は最近どうだい?」


 3人は2つ道がある別れ道を右に進んだ。


「平和だ、と言いたいんだが、厄介な事が起きてな」


「あら? 確かタベリアは、食品関連が盛んな街でしたわよね?」


「ああそうだ」


 リッシュは頷いた。


「食中毒でも流行ってしまいましたか?」


 絆は洞窟内の壁を見ている。


「街の衛生管理は徹底してるよ、他の出来事さ」


 リッシュはため息をした。


「他?」


 縁は首を傾げた。


「ジャスティスジャッジメント、って知ってるか?」


「安易な名前だな」


 縁は苦笑いした。


「あらお兄様、知らないのですか?」


「絆は知ってるのか?」


「ええ、何度も命を狙われましたもの」


 絆はニコニコしている。


「おいおい、絆、大丈夫か?」


「ええ、運悪く生き延びていますから、フフフ」


 絆はお腹を抑えて笑っている。


「で、お兄ちゃん、ジャスティスジャッジメントが、どうしました?」


「宣戦布告された」


「は? 宣戦布告って戦争やるのか?」


 縁は豆鉄砲をくらった顔をした。


「ああ」


「しかし、何でそんな事に?」


「それはお兄様、相手がお子様だからですわ」


 絆はクスクスと笑った。


「どういうこっちゃ」


 縁は呆れた顔をした。


「タベリアの場合はな」


 リッシュはため息をした。



「『おまえたちは、ぼーえーといって、わるいひとたちを、たくさん、ころしただろ! ぼくら、じゃすてぃすじゃっじめんとが、せーぎの、なのもとに、ゆるさないぞ』だな」



 リッシュは子供の様な言い方で、言葉を発した、縁は理解に苦しみ、絆は笑っている。


「つまり『俺達以外の正義は認めない』って事でいいか?」


「まあ、そうなるな」


 リッシュはため息をした。


「兄さん、そいつら傭兵?」


「ああ、昔は文字通り正義の集団だったんだが、徐々に腐れていったらしい」


「なるほど」


「お金の力で色々とコネがあるらしくてな、好き勝手してるらしいぜ?」


 リッシュはその辺に転がっている石を軽く蹴った。


「で、タベリアとしてはどうすんだ?」


 縁は鞄をあさっている。


おさは表向きに、小難しい言い方で、声明を発表してたぜ?」


 リッシュは靴ひもを結び直す為にしゃがんだ。


「ほー」


「そこらへんの事情は、いらないですわ」


 絆が立ち止まり、リッシュを見下ろした。


「素直に『防衛を手伝え』って言えばいいではないですか?」


「絆には隠せないか」


「あら、運悪く当たってしまいましたわ」


 靴ひもを結び直したリッシュは歩きだす、絆と縁も合わせる。


「ただな、戦いが好きじゃないお前らに、お願いするのはどうかなってな」


 リッシュは苦笑いをした。


「あら? わたくし、守るための荒事は、好きですわよ?」


 絆はニヤリと笑った。


「お兄様は、お嫌いでしょうけど?」


 絆は縁を見た。


「時と場合によるな」


「ジャスティスジャッジメントの奴ら、信仰心でも荒稼ぎしてんだよな」


「は?」


 縁の顔付きが変わった。


「高額な御祓い、参拝の金額設定、やりたい放題だ」


「お兄様、覚えていまして?」


 絆は睨むように縁を見ている。


「以前、私達の神社に願いに来た少年を」


 絆はため息をした。


「彼の参拝を、純粋な願いを聞き入れなかった、神とその者達の事を」


 それを聞いて縁はニヤリと笑った。


「なるほどな、久しぶりに神と喧嘩するのも悪くないな」


 縁はうんうんと頷いている。


「ですがお兄様、おそらくは低俗な神しか居ないのでは?」


 絆はつまらなそうに、ため息をした。


「その話、後で詳しく聞かせてくれ」


 縁は睨むように絆を見た。


「承知しましたわ」


 絆は頷いた。


「かなり進んだが、お前が探してるモノは何だ?」


 3人は緩やかな下り坂を下る。


「ああ、太陽の花だよ兄さん」


「あの花か、太陽光で花開くんだが、光を浴びすぎると枯れるんだったか?」


 リッシュは縁を見た。


「そう、それ」


 縁達は遠目にスファーリア達を見つけた、近寄って行くとスファーリア達も縁達に気付く。


「は? なんだこりゃ?」


縁は声を上げた。


 目の前に広がっているのは、花であったろう残骸が、残っていたからだ。


「さっき、頭の可笑しい奴らが居てな、花を枯らせていきやがった」


 小錦は握り拳を作っている。


「正確に言うとね、ジャスティスジャッジメントの幹部を名乗る人間がね」


 スファーリアはトライアングルを、肩で担いでいた。


「『ここは俺達のもんだ』って言って、私達に問答無用で攻撃してきたの」


 無表情だが、スファーリアの目は怒りに満ちていた。


「勝てないとわかった途端に、毒をまいて退散したわ」



 スファーリアは地面に、トライアングルを叩く棒を突き立てた!

 大きな音と共に、地面は少し抉れて、棒が突き刺さる。



「命の音を簡単に消す奴は、私が……」


「スファーリアさん、落ち着いて」


 縁は苦笑いして声をかけると、スファーリアはハッとした。


「失礼、熱くなった」


「トライアングル叩く……バチ? が折れるよ?」


 縁は棒を見た。


「正確にはトライアングルビーダーだけど、バチでもステックでも、棒でも構わない」

 

 スファーリアはトライアングルを引き抜き、自分の周りに浮かべる。


「実はここって、お母様が所持する洞窟、のはずなのに」


 フレビィレンスはため息をした。


「依頼を出したのも、一人で行くのも、って思ったからなんだけど」


 フレビィレンスは枯れた花達を見た。


「無駄に付き合わせた、だけになったね」


 フレビィレンスは振り返えらずにそう言った、声は震えており、泣いているのだろう。


「お兄様」


 絆が縁を見る。


「ああ、ここはアイツに聞いてみるか」


 縁は鞄から、スマートフォンのような、長方形の物を取り出した。


「出るだろうか?」


 それを耳に当てた縁、長方形の物から音が出る。


『どうした縁、緊急連絡してくるなんて、今訓練中なんだが?』


 連絡先の相手の声が、洞窟に響いた、周りにもその声が聞こえる。


「悪いな、一言で済む」


 縁は苦笑いした。


「命を弄んだ輩があらわれた」


『なぁにぃぃぃぃ!? 何処のどいつだ!?』


「扉を開くから、一回来てくれ」


『わかった! 早よ!』


 縁は耳に当ていた、長方形の物体を空中へと投げた。


『隊長! 緊急案件の為、少し行ってきます!』


 投げた長方形の物から、その周りが歪む、それを中心に空中には、一人通れるくらいの光の穴が出来た。

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