第三話 太陽の花を採取 後編 その5

「最近おかしな神様が居すぎだろ、どうなってんだ」


 リッシュはチェーンソーに触る、チェーンソーも刀と同じようにサラサラと消えた。


「お疲れ様、兄さん」


 縁が近寄ってきた。


「落ち着いたようだな縁」


 リッシュは歯を光らせて笑った。


「お前らは怒ると色々と面倒くさいからな、仲裁に入ったまでだ」


「あらお兄ちゃん、相変わらず面倒見はいいですわね?」


 リッシュに近寄ってくる絆は、紫色の傘を差している。


「そりゃどーも、ってか絆、お前は厄介な事に巻き込まれ過ぎだ」


 リッシュはため息をした。


「仕方有りませんわ! わたくしは! 不幸の星の下に生まれた! 悲劇ヒロインですもの!」


 絆はまた悲劇のヒロインのポーズをした。


「ですが、わたくしを狙っていた三人組は、何のつもりかしら?」


 誰に向ける訳でもないが、冷たい目をする絆。


「俺の『加護』は、完璧ではないから、憶測でしかないが」


 リッシュは腕を組んだ。


「あの神は転生者を使って、信仰心を集めていた訳だ」


「まあ、人からの信仰心で、位とか発言力とか変わってくるからな、神様は」


 縁はしかめっ面をしている。


「手駒の3人は、基本的に世の中の為に色々やってきたんだろな」


「そうだろうな、今まで余程上手く物事が進んでいたんだろう、面白いようにな」


 縁はため息をした。


「ですがお兄様、あの3人は色々と可笑しいですわよね?」


 絆は不満な顔をして縁を見た。


「ああ、人との縁や絆がめちゃくちゃだった、都合のいい人間関係しか見えなかったからな」


「するってーと『都合のいい出来事しか起きない』訳か?」


 リッシュは縁を見た。


「どんなに幸運な人だろうが、不幸な事は有るはずなんだ、アレを例外とは思いたくないがな」


 縁はため息をした。


「ですが、わたくしを討伐したいとは、浅はかな方々でしたわね」


 絆は誰も居ない方向を見た。


「不幸に見舞われてしまいましたわね?」


 絆はニコッと笑う。


「次来るなら『私』の本気を見せてあげますわ」


 

 絆は嘲笑うようにニヤリと笑っている。

 が、ハッと気付いて手を優雅に合わせた。



「あ、そうだお兄様は依頼の途中でしたわね?」


「お前に話したっけ?」


「あら? 『運悪く当たってしまった』ようですわね?」


「お前ら兄妹は相変わらずだな」


 リッシュは絆の頭を撫でようとした。


「あら? わたくしに触れると、運が悪くなりますわよ?」


 絆はジト目でリッシュを見た。


「それに、女性の頭を気軽な気持ちで撫でようとしないでくださいまし」


 それを聞いたリッシュは手を止めた。


「いやそれだと、縁に触ると幸運になる事になるが?」


 リッシュは縁の方を見た。


「身を滅ぼす幸運が欲しいのなら、触って見るか?」


 縁はリッシュに向かって、右手を差し出した。


「幸運は自分で勝ち取るモノ、不幸は自分で払うモノだ、例外を除いてな」


 リッシュは、絆を撫でようとした手を引っ込め、ため息をした。


「30点ですわ」


 絆はため息して、首を軽く振った。


「70点だな」


 縁はリッシュに差し出した手で指パッチンをする。


「やった! 合わせて100点だ!」


 リッシュは親指をグッとした。


「まあ、それはこっちに置いといて」


 縁は箱を移動するジェスチャーをした。


「俺はもう行くぞ、皆を待たせてるしな」


「お兄様の恋愛事情にも、詳しくなくてはいけませんので、ついていきますわ」


「あのな、スファーリアさんとは、そんなんじゃないからな?」


「ほう? よくわからんが、縁もついに身を固めるか?」


 リッシュは小馬鹿にしたように笑っている。


「黙れ既婚者」


 縁はリッシュの腹に対し軽く殴った。


「ま、お前の事だろうから、何かの依頼だろ?手伝ってやるよ」


 リッシュは縁の肩を軽く叩いた。


「はいはい、ありがとうございます」


 3人洞窟へと入っていく、洞窟は薄暗く何か灯りが必要だ。


「あらわたくし、明るくするアイテムは持っていませんわ、運が悪いですわね」


 絆は楽しそうに笑っている。


「いや、俺持ってから」


 縁は鞄をあさり、取り出したのは巻物だった。


「照明の魔法が書かれた巻物だ」



 縁は巻物に書かれた言葉を読んだ。

 すると洞窟内は、照明に照らされたように、明るくなる。



「あらお兄様?少々高級品ですわよね?その巻物」



 縁が読んだ巻物の類は、一般的には高級品である。

 読んだ本人の魔力等を消費せずに、魔法を唱えられるのだ。

 効果で価格は違うが、縁が読んだ『照明の巻物』は、高級レストランと変わらないくらいである。

 一般人にはあまり手の届かない代物で、物によるが基本的に一回切りなのだ。



「アイテムなんざ、使って初めて本当の価値が出るもんさ」


 3人は洞窟内を歩き始めた。


「完全回復する薬とか、かさばるからな、うん」


 リッシュはうんうんと頷いている。

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