第三話 太陽の花を採取 後編 その2

「あらあら? お兄様妬けますわね? あの方を『お義理姉様ねえさま』と呼んだ方がいいかしら?」


 からかう様に笑う絆。


「俺がもう少し若かったら、顔を真っ赤にしながらドキドキして、キョドってただろうな」


 縁は苦笑いしながら絆を見た。


「あら、お兄様はまだ若いじゃありませんか」


 クスクスと笑う絆。


「で、今回は何だ?」


 縁の顔付きが変わる。


「何時ものですわお兄様?」


 絆は笑っている


「『お前は不幸の神なんだから退治しなければ』」


 絆はドスの効いた声で喋った。


「と、頭がお馬鹿様が私を殺しに、もしくは封印しにきましたの」


 絆は嘲笑うようにニヤリと笑った。


「はぁ、なんつーかうぜぇなぁ」


 縁は凄く面倒くさい顔をした。


「敵は若い青年が3人組ですわ」


「ほう?」


「何やら転生者らしいですわよ?」


「転生者? なんだそりゃ?」


 縁は首を傾げた。


「神の気まぐれやミスで死んでしまった人達が、別の世界からこの世界へと転生した人達ですわ」


 絆はニコニコしながら説明をしている。


「他にも色々な理由があるようですが」


「ほう」


「神はお詫びに強力な力と共に転生させる、もしくは転移させるらしいですわよ?」


 黒い笑みをしながら説明をしている絆。


「神に弄ばれてるだけじゃないか」


 縁は呆れている。


「努力された方々も居るようですけど……フフ」


 絆は口を隠して笑った。


「ほとんどは神に弄ばれたか、力に溺れている奴らでいいか?」


「ええ、滑稽でしょう? まさに不幸ではないかと」


 絆は空を見上げながら、両手を上げた。


「ま、そいつらにしたら幸運なんだろうな」


 縁は逆に地面を見た、睨むように地面を見ている。


「お兄様、そろそろ来ますわ、可哀想なほど不幸な気配が近寄ってきますもの」


 絆は楽しそうに、黒い笑みを浮かべている。


「何だ? この有り得ない幸運は、馬鹿か?」


 縁は眉間にシワをよせた。


「居たぞ! そこだ!」


 光に包まれて、見るからに若い3人組がいきなり現れた!


「何か一人増えてない?」


 学生服にマントを羽織っている人間が言葉を発した。


「スバルフ、あのジャージ男を魔眼で調べてみてくれ、レベルはいくつだ?」


 軽装備の剣士の姿をした人間がニヤリと笑った。


「ああ」


 スバルフと呼ばれた人間の目が一瞬光った、この人間は魔導師のような格好をしている。


「やれやれ、運は測定不能だが他がお粗末だな、レベルもお粗末だ」


 スバルフは鼻で笑った。


「ならついでに狩っときゃいいんじゃね? 討伐対象の仲間だろ」


 学生服マントはやる気満々で長い槍を構えた、現れた三人は、好き勝手色々と話している。


「絆」


 縁は握り拳を作った。


「どうしました? お兄様」


 口元を隠しながらクスクスと笑っている絆。


「転生者ってこんな奴らばかりなのか?」


 縁は眉間にシワを寄せ、殺意の有る目で絆を見た。


「ええ、滑稽でしょう? 自分達がどれだけの事をしてきたのか、わからないのですから……フフフ」


 絆はお腹を押さえて、笑いをこらえている。


「自分の幸運が、他者の幸運を奪っていると、気付いていない」


 縁は絆に近寄り、自分の鞄を絆に渡した。


「俺に任せろ、少々『お話』したくなったからな」


 縁は絆を討伐しようとする輩に近寄っていく。


「何だ? アンタは」


 軽装備の剣士が話しかけてきた。


「俺は縁、そこに居る絆の兄だよ」


 縁はため息をした。


「ハッ! だったら一緒に討伐してやるよ!」



 学生服マントは槍を構えて突撃してきた!

 ただ、槍の構え方がお粗末だった。

 矛先を相手に向けて、勢い良く突撃するのかと思えば、バットのように持って突撃してきたのだ。

 ハンマーならまだ理解出来るが、長い槍でそれをしている。



槍術ランススキル! 疾風之型サイクロンモード! 紅蓮之舞フレイム・ド・ライブ!」



 学生服マントは一回転して槍を振り払った、走る勢いと回転する勢いで風を起こす。

 槍が光、矛先から燃え盛る炎が燃え盛る!その炎を縁に向かって風と共に放った!

 特に回避や防御の構えをしていない縁に、炎と風が縁に襲いかかる!

 縁は風に切り刻まれ、炎に身を焼かれるのであった。

 そのまま倒れた縁、可燃物のように全身が燃えている。



「へっ! 楽勝だな!」


 学生服マントはニヤリと笑い余裕綽々で、自分の仲間の方へと戻る。


「ヤマト! 後ろだ!」


 剣士姿の人間が叫んだ!


「何だ? 死に損なった……」


 縁を攻撃した人物はヤマトというらしい、ヤマトはニヤニヤしながら振り向くと。


「っ!? なぁ!?」


 ヤマトが振り向くと縁は真後ろ居た、互いに目が合う。


「……」


 縁は無表情でヤマトを見ている。


「なっ!?」


 突然の出来事に対処出来ないヤマト。


「ちっ!」


 ヤマトはすぐさま冷静さを取り戻し、自分から見て後方へとジャンプして縁から距離をとる。


「へっ! 俺の技をくらって生きてるとはやるじゃねーか!」


 ヤマトは調子を取り戻した。


「だが! 次はそうはいかねぇぜ!」


 何やら上から目線でモノを言ってるヤマト。


「お前らは『会話』すら出来ないと? どんだけガキなんだ?」


 縁は無表情でだが、目は哀れむように3人組を見ている。


「なあ、聞かせてくれないか? 妹が何故襲われなきゃならんのだ?」


 握り拳を作った縁。


「討伐の依頼がギルドに有ったからだよ、詳細もちゃんと読んだぜ?」


 槍を縁に向けるヤマト。


「依頼の詳細は知らないが『理解して依頼を受けた』と解釈していいんだな?」


 縁はウサ耳カチューシャに手をかけた。


「やれやれ、頭の悪そうな貴方に説明すると」


 スバルフはメガネをクイッとした。


「『貴方の妹の存在自体が世界に邪魔』」


 メガネがひかる。


「この説明で理解出来ますか?」


 縁を下に見ているスバルフ、それを聞いた縁は、自分の頭にある、ウサミミカチューシャに手をかけた。


「お兄様、わたくしも我慢の限界ですわ」


 絆も自分のウサ耳カチューシャに手をかけ、人を殺しそうな目をして縁に近寄ってきた。



 その時!



「ぶぁはっはっはっはっは! ひはははは!!」



 いきなり少々下品な笑いが辺りに響き渡った。

 場所は縁から見て後方の木の上から、その笑い声は聞こえた。



「そんな小さい理由で、俺の妹分を殺そうってのは……笑えるぜ!」


 その人物は木から降りてきて、縁達に近寄ってきた。

 赤い髪で見た目で気前の良さそうな中年男性、服装は縁と同じジャージで色は赤。

 ジャージの上から腕輪をし、指には色々なデザインの指輪をしているが、左手の薬指には指輪をしていない。


「ったく、どんな頭してんだか」


 中年男性は縁の肩に手を置いた。


「なぁ、縁」


 縁は振り返り。



「誰だお前」



 と、一言。


 それを聞いた中年男性はズルッとコケそうになる。

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