第三話 太陽の花を採取 前編 その9

「フッ……月光波で調べたら案の定だったな」


 空中にボーイの断面図が現れ、胸のあたりに赤いマークが点滅する。

 現れた映像はそこの部分を拡大する、そこには『悪の秘密結社ペダル団製』と空中に映し出されている、それを見た会場がざわついた。


「ペダル団だと!?」


 小錦は三輪車から人型モードになる。


「お前達の悪事もこれまでだ!」


 小錦が怒りを露わにし、フレームが赤くなっていく。


「フッ……落ち着けサンシャイン」


 ムーンライトが一歩前に出た。


「止めるなムーンライト!」


 小錦が怒りのあまり、濁点が付くような喋り方になっている。


「勝負は付いているだ、公式戦で違法をしたんだぞ?逃げられまい」


「……ちっ、そうだな」


 小錦は納得がいかないようだ、右手が握り拳で震えている。


「どうやら言い逃れ出来ない不正があったようですな」

 

 ジャッジ合意と三輪車ファイターが、何時の間にかひかりの近くに居た。


「近未来ひかり君、石林天馬君のレギュレーション違反を見抜けなかったのは、私達運営の失対だ、申し訳ない!」


 三輪車ファイターは深々とひかりに頭を下げた。


「ファイター! 私は例え相手がレギュレーション違反でも、それを理由に私は負けた事を無かった事にはしたくないから」


 ひかりは強い目で三輪車ファイターを見た。


「近未来ひかり君……」


 三輪車ファイターは顔を上げて、ひかりの目を見る。


「後はジャッジ合意さん達に任せるから、私達を元た場所に転送よろしくね」


「そうでしたな…」


 ジャッジ合意は一瞬ひかりを見た。


「皆様、今回はこのような結果になってしまい誠に申し訳ありません、今回の対象は後日公式ホームページに掲載します、申し訳ありませんでした!」



 ジャッジ合意は深々と頭を下げる、会場にはヤジやらなんやらが飛び交っている、ジャッジ合意が顔を上げた、そして手を合わせてそれを地面に叩きつけた!



縁達は元居た場所に戻ってきた。



「ペダル団め…高校生にまで卑劣な真似を!」


 小錦はまだ握り拳を作っている。


「私ももっと強くならないと」


 ひかりは太陽を見上げた。


「おーい、そろそろツッコミいいだろうか?」


 縁が手を挙げた。


「ペダル団って何?」


「ペダル団ってのは三輪車を悪用する悪の組織なの、私も最初は鼻で笑ったけど、やってる事が笑い事じゃないの」


 明るいひかりが、暗い顔で真面目に話をしている。


「人の三輪車を盗む、街を三輪車で爆走、レース中に対戦相手の三輪車まで破壊するわ、子供やお年寄りに高額な三輪車を売りつけたりね」


 ひかりの顔はやるせなさに満ちている。


「最後が一番悪役らしいな、つか解ってるなら捕まえればいいんじゃ?」


 縁がもっともな事を言った。


「三輪車の悪のエナジーが有るの、それは三輪車レースでしか打ち破れない」


 それを聞いた縁は、疑うような顔をした。


「俺やムーンライトが持っている正義のエナジーでしかその悪のエナジーを破壊する事しか出来ないんだ」


 小錦は縁を見た、まだ握り拳を作っている。


「今回のパターンはただの違法パーツだったが…」


 小錦がため息をし、握り拳を止めた。


「悪のエナジー持ちは、今のあたし達じゃ太刀打ち出来ないからね、練習あるのみって訳」


 ひかりは不安を消し飛ばすように笑った。


「ひかりの正義の三輪車魂がもっと輝けば俺はまだ早くなるぜ!」


 小錦はひかりを見て、気持ちを切り替えるように、親指を立てた!


「なるほど、次にその人は誰?」


 縁は和服仮面を指差した。


「これは失礼、ちゃんと自己紹介してなかったな」


 和服仮面は紳士のように礼をした。


「私は月の導きにより、悪の三輪車乗りと戦う和服仮面、そして、私の相棒のムーンライトだ」


「フッ……よろしくな」


「ああ……和服仮面様! 素敵」


 ひかりは目がハートだ。


「ひかりは男の趣味が悪いのが欠点だな」


 小錦はため息をした。


「何よ! 和服仮面様はかっこいいでしょ!?」


 ひかりは睨むように小錦を見た。


「私はそろそろ行かなくては、近未来ひかり、月の輝きの導きあらば会えるだろう」


 和服仮面のその言葉と共にムーンライトは三輪車形態になった。


「では、諸君、さらばだ!」


 和服仮面はムーンライトに乗り、自力で漕ぎ始めた。


「はははははは」


 笑いながら去っていこうとする和服仮面、三輪車ゆえ遅い。


「やべぇ、変態にしか見えない」


 縁が和服仮面の背中を見てそう言った。


「縁君? 君の周りにも可笑しな人居ない? 何時も一緒に居ると、気付かないとか馴れるとかあるだろうけどね」


「……ああ」


 縁には思い当たる節があるようだ。


「上半身裸のマッチョのおっさんとか、道徳を推奨するシスターに、何時も説明している奴もいたな、はぁ…」


 縁は自分で思い出してブルーになっている。


「ね? 類は友を呼ぶって言うし」


「いや!? ま、待ってくれ、俺は変態じゃない」


「じゃあ、他人を変態って言うのは止めましょう」


「はい…」


 先生らしいスファーリアの口車に載せられたら縁だった。


「よし、皆の者、休憩はすんだな?太陽の花を目指して出発だ!」


 フレビィレンスが手を太陽に掲げて宣言した、今回の目的は花の採取であって三輪車ではないのだ。

 それ以降道中は平和であった、道中茶店によったり。


「やっぱり団子には茶だよな!」


 小錦は団子を食べている、その顔はキラキラして、いい笑顔だ。


「小錦、何時も思うけど……飲み食いして大丈夫なの?」


 団子を食べ終えたひかりはお茶を飲んでいる。


「馬鹿やろう! 適切な補給は必要だろう!?」


 手に沢山の団子を持っている小錦。


「いや……あんた機械じゃん」


 ひかりはため息をした。



 小腹を満たした一行は、獣道も進むと道中フレビィレンスが絡まれた。

 吸血鬼狩りを自称した女性に襲われたのだ、剣士の格好をし、ムチを持ち、背中には忍刀がある。

 手助け無用とフレビィレンスは縁達に言った。



「お前は何時もしつこいぞ、吸血鬼狩りの女よ」


 フレビィレンスは欠伸をしている。


「ムッ!ホァタァ!」


 吸血鬼狩りの女はスライディングをし、その加速で飛び上がりフレビィレンスの目の前まで着地した!


「修羅刹(しゅらせつ)奥義!」


 分身してフレビィレンスに襲いかかる!


「ぐわー」


 フレビィレンスが切り刻まれ、血を吹き出し倒れた!

 しかし、直ぐに傷が塞がり起きあがる。


「ふははは!太陽有る限り私は不死身だ! あの太陽をなんとかしないとな?」


 フレビィレンスは幼き体には似合わないセクシーな笑みを浮かべている。

 そんなやり取りを約30分位見ている縁達は。


「次何やる?」


 トランプで暇つぶしをしていた。

 フレビィレンスが強襲されたものの、特に被害が無かった。



 次に一行は山道も仲良く歩き……はせずに、スファーリアのトライアングルに乗って移動。

 とは言ってもトライアングルに乗ってるのは、スファーリアとひかりだけだ。


「気分はスキー場とかにあるリフトだね~」


「トライアングルの有効活用」


 スファーリアはトライアングルに座り、右手で手すりのようにトライアングルの一部を掴んでいる。


 左手でえっへんとした。


「いや、トライアングルは楽器だろ」


 縁は空中に浮いている、彼曰わく『運がいいから』らしい。


「むははは! 空は気持ちいいな!」


 フレビィレンスは頭のコウモリの羽と手をメッチャバタバタさせて、空を飛んでいる。

 小錦は……


「俺の扱い酷いだろ!」



 紐でぐるぐる巻きにされて、トライアングルから吊されていた。



 険しい山を乗り越えた一行。

 今度は入った者は簡単に出れないと言われる、迷いの森までやってきた。


「この森はぁ、入ったら二度と抜け出せないよぉ?」


 と、下を向きながら一行に話しかけてきた老婆。


「アタシの売ってる導きの鈴を買いなさいな、フォフォフォ」


「いや、いらん」


 縁、即答。


「ちなみに空を飛んでは行けないよぉ? どうやっ……ハハァン!?」


 老婆は喋りながら顔を上げて縁を見た、腰を抜かした老婆、縁を知っているようだが…。


「小遣い稼ぎは、ほどほどにな」


 縁は自信満々に森へ入っていく、自信有り気な縁に釣られ、スファーリア達も森へ入る。


「縁、自信満々だけど大丈夫?」


 ひかりが少し不安になりながら縁を見ている。


「心配するな」


 縁はニヤリと笑っている。


「お手並み拝見」


 スファーリアはジッと縁を見た。


「皆……運が良かったな」


 数分歩いて簡単に森を抜けた。



 そしてついに太陽の花がある洞窟にたどり着いたのだ!


「よし! なんだかんだ有ったけど、目的地に着いたぞ!」


 フレビィレンスは親指を立てて、みんなを見た。


「これから洞窟に入るから、一休みして行こうぞ!」


 フレビィレンスは地面に手を当てて、太陽のマークが入ったシートを地面に召還した。

 一休みしたら、クエストメインである太陽の花の採取の始まりである。




続く。

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