第三話 太陽の花を採取 前編 その7

 一方スファーリアは。


「光ヶ丘の生徒だったんだね、制服は一度しか見た事なかったから思いだせなかった」


「光ヶ丘高校は数年前に出来たばっかりですからね、仕方ないです」


 スファーリアはひかりと談笑していた。


「私は桜野学園で戦闘用の音楽を教えている、よろしくね」


「あ、そう言えばさっき酒場で教員って言ってましたね、あ!」


 ひかりはポンと自分の手を叩いた。


「さっきの自己紹介ちゃんとすれば良かったですね、ごめんなさい先生」


 ひかりは軽く頭を下げた。


『ヘロー! 近未来ひかりだよ!』


 と、先程両手を広げてウィンクしながら自己紹介したのだ。


「敬語はいらない、あなたの心にある音色を聴かせて」


 スファーリアの光の無い瞳がジッとひかりの目を見た。


「いやん! 先生の瞳にひかり吸い込まれちゃうぞ!」


「あ、私はちゃんと男性が好きだからごめんなさい」


 スファーリアは首だけ少し下げて謝った。


「告白してないのに何故かフラれたし!」


 和気あいあいと道を歩く一行。

 しばらく進むと、進行方向に見るからに不良がたむろしていた。

 歩道ではなく、草むらでヤンキー座りしている。

 一行は無視して通り過ぎようとした。


「んあ!? テメー三輪車バトラーだな!?」


 不良の一人がひかりに話しかけてきた。


「む! 私が三輪車バトラーだと知って話しかけてきたって事は!」


「三輪車バトラーが視線に入ると……勝負するのが常識やろうが!?」


 不良は不良らしくイキっている。


「なんだなんだ、その昔のRPGみたいなエンカウント方式は」


「部活の子が言ってたけど、これが暗黙の了解らしいよ?」


「あー逃げ切れないエンカウントね」


 縁はため息をした。


「ひかりちゃんに任せましょ」


「ああ」


 縁とスファーリアはそんな会話をしている横で。


「お、レースが始まるようだね」



 フレビィレンスが椅子とテーブルを、何時の間にか用意して観戦モード。

 ポテチとオレンジジュースをテーブルに置いて待機していた。



「ルールは50メートル一発勝負、レギュレーションはオートAI、必殺有り、ノーオプションバトルでどうだ?」


「オッケー! 50メートルをオートAI、必殺有り、ノーオプションバトル!」


 その時!何処からともなく声が響いた!


「この勝負、合意と見てよろしいですな!?」


 いきなり縁達の近くの地面から手が生えた!


「うお!?」


 縁は体がビクッとなった。


「アンデットならレクイレムに弱い」


「レクイレムは止めてくれ、私も弱い」


 驚いた縁とは裏腹にスファーリアとフレビィレンスは平常心のようだ。


「はーどっこらしょ」


 地面から初老を迎えたような男性が出てきた、プロレスのレフリーのような制服で。


「みんな! またせたな!」



 と、初老の男性が出てきた穴から、勢い良く何かが出てきて上空へと舞い上がる!

 太陽をバックにしているため姿はあまり見えない、人型である事はわかる。

 その人物が身体を小さくし、回転しながら落ちてきた。



「僕は三輪車ファイター! 三輪車バトルの実況なら任せてもらおう!」



 三輪車ファイターと名乗った人物はツンツンヘアーでキリッとした目、熱さを感じる眉毛。

 服装はF1選手が着るようなスーツを着用している。

 何やらスポンサーのような名前が沢山はってある。



「解説はそこのジャッジ合意さんだ!」


「ジャッジ合意です、では決戦のバトルフィールドを用意しましょう!」


 ジャッジ合意は手を合わせた。


「むん!」



 ジャッジ合意は合わせた手を地面に叩きつけた!

 一瞬だった。

 縁がまばたきをした時に周りに変化があった。

 一言で言うなら競技場の観客席に座っていたのだ。



「幻覚ではないな、強制転移か?」


「まあまあ、兎さんよ詮索は後にしてひかりちゃんの応援しよう」



 フレビィレンスはポテチを食べながらそう言った。

 よく見れば、ちらほらと観客が居る。

 競技場を見れば、中央にひかりと小錦、不良と不良の三輪車であろうロボットが居た。

 目の前には直接の50メートルのコースがある。



「フレビィレンス、三輪車バトル知ってるのか?」


「まあね、なかなか面白いレースだよ?」


「50メートルはわかるが、さっきのルールは何だ?」


「オートAIのルールは搭乗者はハンドルきるだけ、必殺は…言わなくてもわかるか、ノーオプションも説明はいいか」


「逆にどんなオプションパーツが有るんだ?」


「本当に色々あるからね、後でひかりに聞いてみるといい」


「そうだな」

 

 縁は軽く頷いた。


「あ、二人共、始まるみたいだよ」



 スファーリアがそう言うとフレビィレンスはひかり達の方を見た。

 縁はふと辺りを見渡すと、会場の高いガラス張りの場所に、三輪車ファイターが居るのを見つた。



「みんな! 待たせたな! これから三輪車バトル公式戦を始めるぞ!」


 三輪車ファイターの言葉に盛り上がる会場!


「まずは選手の紹介だ! 一番コースは、光ヶ丘高校一年生! 近未来ひかり君だ!」


 会場に歓声が上がる。


「ハロー! 近未来ひかりだよ!」


 ひかりは観客に向かって手を振った!


「そして! ひかり君のマシンは『サンシャイン・小錦』君だ! 太陽エネルギーで動く元気いっぱいなマシンだぞ!」


「サンシャインパワー!ウェーイク! アッーープ!」


 小錦はそう叫ぶとジャンプし、空中で人型から三輪車へと変形した!

 小錦の顔が三輪車のハンドルの真ん中に付いている。

 しかし、その顔も変形し太陽の形に変わった!


「続いて対戦相手の紹介だ! 髑髏(どくろ)高校三年生の石林天馬君だ!」


「イクゾコラー!」


 天馬は右手を上げた、会場はまた歓声を上げる。


「相棒の三輪車は『ファンタスティック・メルヘン・ボーイ』だ! マシンの心に乙女心を宿したファンシーなマシンだ!」


「気軽にボーイと呼べや! コラァ!?」


 既に三輪車形態に変化しているボーイ。

 だが、ファンシーには見えない。


「ここで解説にはジャッジ合意さん、実況は三輪車ファイターだ!」


「では、ジャッジ合意が今回のルール説明をします」


 会場が少し静かになった。

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