第三話 太陽の花を採取 前編 その3

「長谷川君、レジの裏に通していいの?」


「ああ、兄さんは店長も知ってるし」


「店長がいいなら私がとやかく言えないわね」


 荒野原は自分の飲み物を口にした。


「そうだ、山本さんは『加護を受けし者達』なんですか?」


 荒野原は首を傾げた。


「いや僕は関係ないよ、僕のキャラクターの名前は『リッシュ』って言うんだ」


「ほー」


 荒野原は少し残念そうな顔をしている。


「俗に言う魔法や特技は無く、通常攻撃しか出来ないキャラクターだけどね」


「まさか!『通常のリッシュ』」


 荒野原がびっくりした。

 おそらくは山本のキャラクターである、『リッシュ』呼び名や二つ名みたいなものだろう。

 しかし、安直な気がする。


「二つ名とかって自分で決めない限り、ノリで付けられるよね、僕は変なのでなければ、いいけどさ」


「あらゆるシナリオをアイテムと装備、知識でロールしてきた人と話せるなんて」



  荒野原の目は輝いている。

 『リッシュ』というキャラクター、簡単に説明すると先に話した通り基本的には通常攻撃しか攻撃方法が無い。

 装備等で一時的に魔法やスキルを使えるようだ。

 『リッシュ』は魔力等が無いのだが装備で魔力等を補う時もある、スキルは攻撃よりも、自分を補助出来るスキルを習得する装備を使う。


「よく知ってるね」


 山本は苦笑いしながら首を振った。


「兄さんは強いよ、縁が手合わせでからね」


「それは昔だろ?幸運を司る神になんのスキルを持たない人間が勝てる訳ないだろ?」


 山本はメガネキャラクター特有のメガネをキラリと光らせた、たまたま光が反射しただけであるが。


「うーむ」


 荒野原は腕を組んで考え始めた。


「それって、山本さんのキャラクターが対縁用装備なら余裕なんじゃない?」


「ま、縁の弱点1つとして、必ず当たる攻撃には弱いかな」


 長谷川は荒野原を見た。


「必中攻撃に弱いの?なんか幸運でねじ曲げそうな気がするけども」


「必中という確定事項を、幸運でねじ曲げるとめんどくさい事が起こるのだよ」


「むー?」


 荒野原は首を傾げた。


「100を0にするのは力をかなり消費するんだ」


「ほうほう」


 荒野原は頷いた。


「ああ、簡単に言えば、力のぶつかり合いで出来る余波が、めんどくさいと言えばいいかな?」


「なるほど、バトル漫画にある技のぶつけ合いで、本人達は無事だけど余波で周りがメチャクチャになってるアレね」


 荒野原は、はいはいと頷いている。


「そうそう、縁の場合はそれが目に見えない『運』だから」


 山本はタバコの形をしたラムネのお菓子を加えた。


「物理的な破壊なら直せそうだが、目に見えない『運』をどうしろってな」


「なるほど」


「それ以前に兄さんの装備が強すぎるんだよ」


 長谷川はため息をした。


「いやいや、そんなに強いとは思えないよ?」


 またメガネがキラリと光る山本。


「どんな装備なんですか?」


「一番使っているのは『戦闘中誰よりも速く行動し、アイテムを使う』とか『戦闘中装備を変えれる』だな」


「むむ?それって『完全回復アイテムを最速で使える』って事だよね?」


 荒野原は首を傾げた。


「ああ、更に装備を変えれるって事は『炎を無効にする鎧』とか『マヒを無効にする髪飾り』とか瞬時に装備出来るんだよ」


 長谷川はうんざりしたようにため息をした。


「でも、攻撃方法は装備で一時的に使えるスキル以外は通常攻撃しか出来ないと」


 荒野原は興味津々に聞いている。


「いい感じの強さだと僕はおもうよ?『炎の無効を無効にする炎』とかもあるしそこまで強くはないさ」


 山本は爽やかに笑っている。


「『戦闘不能になったら自動で道具を使う』っていう装備スキルあんだろ?兄さん」


 長谷川はジト目で山本を見た。


「それ地味にめんどくさいね、相手にしたら」


 荒野原はジト目で山本を見た。


「それも『戦闘不能回復アイテムを使用させない魔法』とかで使えなくなるしな」


 山本はニヤリと笑った。


「強いけどチートクラスみたいに強い訳じゃないよ、ほぼ通常攻撃しか出来ないしな」


 山本はメガネをクイッとした。


「キャラクターで言えば荒野原さんのキャラクターはどんなキャラクターなの?」


 長谷川は山本の発言を無視し、荒野原に話を振った。


「私のキャラクターは『スファーリア』音人(おんじん)って言う音の思念体で、ある学園の先生をしているよ」


「音の思念体で先生って事はやはり、音楽の先生でいいのか?」


 山本は荒野原を見た。


「普通の音楽の先生じゃなくて、音楽を武器に戦う先生かな、普通の音楽の先生はロールに知識が居るからね」


「確かに話を盛り上げるなら、ある程度の『音楽』の知識は必要かもな」


 山本はお菓子を食べ始めた。


「だから、音楽を媒体に戦う!とかだったら、まだ自分理論で説明出来るからね」


「そのスファーリアのメイン武器は?多分楽器だろうけど」


 長谷川はひよこの形をしたお菓子を食べ始めた。


「『三角関係トライアングル』かな」


「は?」


 長谷川は豆鉄砲をくらった顔をし、ひよこのお菓子を落としそうに。


「トライアングルって少し欠けてるでしょ?」


「ああ、音を響かせるためだかなんだったか」


 長谷川は首を傾げている。


「正三角形のトライアングルと言えばいいかな」


「何で三角関係なんだ?」


「名前にインパクトがあるでしょ?」


「いや…まあ」


 長谷川と山本は苦笑いをした。


「ちなみに三角関係にはならないから、あくまでも名前」


「他にどんな楽器があるんだ?」


 長谷川はひよこのお菓子を食べ終えた。


「『真実のカスタネット』とか『同じ長さの木琴』とか」


「それって、みんながカスタネットと思っている楽器が実は別の楽器ってやつか?」


「そうそう、そこから名前をとったんだよ」


 荒野原は頷いた。

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