第三話 太陽の花を採取 前編 その4

「自キャラはやっぱり力が入るよな、ストーリーとかもな」


「ストーリーって言えば長谷川、今はどんなのが流行ってるんだ?」


「今の流行りか…」


 長谷川は腕を組んで考え始めた。


「レアスナタって、世間で流行っているものでも、予想の斜め上をいってるよね」


 山本は葉巻の形をしたお菓子を手に持った。


「かなり前に流行った異世界転生モノで言うなら…」


 山本は葉巻を吸う仕草をした。


「水がほとんど無い世界で水を転生させる話しが面白かったな」


「ほう」


「へ~」


 長谷川と荒野原は軽く頷いた。


「簡単に言えば荒れた世界が潤っていくハートフルストーリーだったな」


「面白そう」


「そいや長谷川、今の流行りってなんだ?色々とあるだろうがな」


 山本は葉巻のお菓子をバリバリと食べ始めた。


「レアスナタって、色んなものが流行ってるんだよな、なんだかんだとゲームの人口多いからさ」


「じゃあ質問を変えて、長谷川の視点で流行ってると感じたものは?」


 山本は袋からリンゴジュース取り出して飲む。


「古いゲームの表現かな」


「え?なんだそりゃ?」


 山本の顔は少しびっくりした。


「ほら、昔のゲームってドットだったり、ポリゴンが荒かったり」


「また妙な流行りだな、いやそれに対応する森山ボックスが可笑しいんだがな」


 山本は苦笑いした。


「アイテムを渡す時に手元が光ってたり、手を握った状態で渡したり」


「あー懐かしい表現だなそりゃ、懐かしくて涙出るぜ」


 山本は、わざとらしく泣き真似をしている。


「後はビックリマークのふきだしとか、言い出したらきりないな」


「長谷川の周りではそれが流行ってるんだな」


 山本はうんうん頷いた。


「周りってか、たまたまよくそれを見ただけって感じだよ」


 長谷川は苦笑いをした。


「あ、そうだ、学校関連なら流行ってるものがあるよ?」


「ほう? 学校関連って言ったら、王道のバトル物から部活物とかか?」


 山本はニヤリと笑った。


「三輪車バトル」


 荒野原はあっけらかんと答えた。


「は?」


 山本は予想外過ぎたのか声を上げた。


「子供用の三輪車を大人が乗りやすくしてレースするの」


 淡々と説明をする荒野原。


「大会とか有るらしいよ?各高校の選抜チームが争う~みたいな」


「なんでそんな規模になってんだよ」


 山本は軽くため息をした。


「スファーリアが講師をしている学園は『桜野学園』っていうんだけど、その学園でも三輪車の部活が出来たんだよね」


「ほ~」


 山本は軽く頷いた。


「この前部活設立ロールしてたよ」


「名前は?」


「電子三輪車部、略して電車」


「電動自転車ならぬ電動三輪車かよ」


「なんかロボットに変形するらしいよ?」


「どんな三輪車だよ」


 山本はツッコミをする気力が無くなってきた。


「ルールによるらしいんだけど、自分で漕ぐらしいよ?」


「まじかよ、電動…いや、電動だからか?」


 山本は混乱し始めた。


「噂ではノリで出来たらしいよ?」


「案外設定ってそういうのだよな」


 そんな話をしていると。


「あら山本君じゃない、いらっしゃ~い」



 店の奥からあけみが出てきた、相変わらずの子供が居るとは思えない美人である。

 山本は立ち上がり、あけみに対して一礼する。



「お久しぶりです、あけみさん」


「久しぶり、元気してる?」


「元気してます」


「あ、羽島君に荒野原さん、午後からは私が店番するから帰っていいわよ~」


 あけみはニコニコしながら長谷川と荒野原にそう言った。


「あ、はい」


「わかりました~」


 このやり取りは日常茶飯事なのである。


「あ、そうだ、ちょうど良かったわ、レアスナタ井戸端会議でこれ貰ったのよ」



あけみはポケットから何かの券を取り出した、3人はあけみからそれを受け取る ね券には3時間無料と書かれていた。



「今日の仕事ちゃちゃっと終わらせますかね、後でな長谷川」


 山本は軽く手を上げた。


「この流れはみんなでレアスナタフラグ」


 荒野原の目がキラリと光った。


「だってこの券、今日までだしな」


 長谷川は割引券を見て苦笑いした。


 山本は自分のゴミを片付け始めた。


「あら、ゴミは置いて行ってもいいわよ?」


「美観を損ねるので持ち帰りますよ」


「山かよここは」



 ジト目で山本を見る荒野原であった。

 そんなこんなで、帰り支度をし、長谷川と荒野原はレアスナタをプレイするためにレアスナタゲートにやってきた。

 レアスナタゲートは施設名である、受付を済ませが、満員だったらしく椅子に座って待つ。

 先にに案内されたのは荒野原で、数十分後長谷川も案内された。



部屋に案内された長谷川は、荷物をカゴに入れてプレイルームへ、シートベルトとゴーグルを付けた長谷川。


「いざ! レアスナタの世界へ!」


 長谷川はゴーグル越に見えるスタートボタンを押した、目の前にレアスナタの世界が広がる。




この瞬間から『長谷川』ではなく、『縁』となるのだ。



 縁は待ち合わせ場所へと向かう、その場所とはロールエリア受付にある、白いオブジェクトだ。

 指定された場所に向かうと、大きいトライアングルに乗った魔女っぽい女性と、女子高生っぽい女の子が居た、更に、小さいロボットが女子高生の側に居る。


「あ、来た」


 魔女が縁を見た。


「ジャージにウサ耳ってわかりやすくていいね」


「待たせたな」


 縁は右手を上げながら近寄った。


「この世界では初めてね、私はスファーリア…ただの音楽教師です」


 優雅にトライアングルから降り、スカートを両手でつまみ軽く上げ、挨拶をした。

 吸い込まれそうな黒く光の無い瞳、魔女をイメージした時に良くある帽子、ローブ、スカートその全てが黒い色の服装だ、あちらこちらに楽譜に使われる記号が、白い色で散りばめられている。


「ああ、初めましてスファーリアさん」

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