第二話 レアスナタの世界観その8

 そしてセイザは傷の魔女の娘である、その傷の魔女とはどんな人物なのか?

 傷の魔女は名の通り全身が生々しい傷跡がある魔法使いで、世界を支配出来る力があると言われている魔女である。

 そんな力を持った魔女の娘が自警団程度にやられるはずがない、自警団は喧嘩を売る相手を間違ったようだ。



「やっと終わったか、ある程度なら容認するが流石に遊びすぎじゃないか?」



 東洋はマッサージチェアに癒され、ほっこりした声で喋っている。

 全身鎧の東洋ですら気持ちよくマッサージしてくれるマッサージチェア、この場にはツッコミをする人物は居ない。



「はらよっこいしょ、あー疲れた疲れた」


 リステイナは縁の影から湧いて出た、地中から這い上がってきたように出てくるリステイナ。


「人の影を出入りにするんじゃない、そしてお前は茶番に疲れただけだろう」


「そんなことより縁さんさん、この気絶した自警団カッコ笑いな人達どうするんすか?」


 リステイナは気絶している自警団を指差した。


「とりあえず、居た場所に返してあげましょう」



 セイザも何時の間にか後ろに居た、そして自警団の方を見て指をパチンと鳴らした。

 すると綺麗さっぱり自警団の姿は一瞬でその場から居なくなった。



「あなた方にはお礼をしなければなりませんわね」


 セイザはニコニコしながら縁の方を振り返った。


「俺は何もしてないしお礼ならリステイナと東洋にしてやってくれ」


 縁は軽いため息と共に右手を軽くあげた。


「縁っさん、冗談はよしこさんだぜ?最後アイツが神を呼び出そうとした時に出現しなかっただろ、間違いなくえにっさんの力っしょ?」


 リステイナは何時も通りヘラヘラし始めた。


「さあな、東洋の一本締めの効果だろ?あれは強力な浄化儀式の一つだ、追加効果って奴で現れなかったんだろうよ、一人であの威力は凄いがな」


 東洋の放った一本締めの威力は数十人でやったレベルの威力らしい、それを一人で出来る東洋は凄いという事だ。


「神社を持ってる神様に喧嘩を売るには骨が折れるからな」



 東洋はマッサージチェアに癒されるのを止めて立ち上がった、そして、リステイナはマッサージチェアを自分の影に押し込んで収納した、アースカリアが呼ぼうとした神は縁が居たから来なかったという事になる。

 神の力は信仰心で決まると言われるが、信仰心の現れの一つが神社である、色々と細かい憶測は置いといて要約すればアースカリア達が崇めていた神は縁より格下という事だ。



「手伝って下さったのにはかわりありませんし、ご迷惑をかけたのも事実、ここは何も言わずに受け取ってくださいませ」


 セイザは優雅にお辞儀をしながらそう言った。


「まあ、そこまで言うなら断るのも悪いしな」


 縁がそう言った瞬間セイザはお辞儀をしたまま、右の指をパチンと鳴らした。

 一瞬にしてラキアグの街に瞬間移動してきたようだ、縁達の目の前には凄くオンボロな作業場のような家があった、縁達は特に驚く様子も無く辺りを見回す。


「ここはラキアグの街でもめったに人が来ない場所です、そして…」


 セイザが何か言いかけた時、オンボロな家から声が聞こえてきた。


「この懐かしい魔力はセイザだね?そして客人が何人かいるようだね」



 そのオンボロな家から少し腰の曲がったおばあちゃんが出てきた、簡単に言い表すならば田舎の優しいおばあちゃんのような顔立ちと姿をしていて、ゴツいハンマーを背負っていた。

 おばあちゃんの背丈が130くらいなのに対してハンマーは大男が両手で使いそうなハンマーを背負っていたのだ。



「ほほう、久しぶりだね東洋…そして…ふむ、影の住人と…ほほーあの娘の子供か…なるほど、なるほど、なかなかずば抜けた幸運だぬぇ」


 出てきたおばあちゃんは縁達の方は見ずにそう言った、おばあちゃんの上下の目線は良くて縁の胸元が見えるか見えないかくらいの視線の範囲だ。


「お前だったか、ブルモンド・霊歌」


 東洋は少し驚いた表情でそう言った、東洋はこのブルモンド・霊歌というおばあちゃんを知っているようだ。


「すげぇなばっちゃん、見ずともオイラが影の住人って解るのかい?」


 リステイナはその場でパラパラを始めだした。


「無駄にトシをとると気配で色々と解るもんさね」


 ブルモンド・霊歌は背中に背負っているハンマーを手に持ち、杖のようについた。

 背筋がおばあちゃんらしからぬ、ピンと張っている!!

 ただ単にハンマーが重かっただけなのだろうか?



「おばあさん、俺の母さんを知ってるような口振りだったが、知ってるのか?」


「ああ知っとるよ、お前さんの親には色々としたし色々とされたからねぇ、悪い意味じゃないから安心おしよ」


「何があったんだがな」


 縁は軽くため息をした、ブルモンド・霊歌は笑い出した。


「まあ、自分の親に聞いてみるといいよ、それよりもこの街を守ってくれてありがとうよ」


 ブルモンド・霊歌はニコニコしながら軽く頭を下げた。


「俺は何もしてないがな、手助けしたのはリステイナと東洋だ」


「ふぅむ?」


 ブルモンド・霊歌は一瞬だけ目を見開いて縁を見た、縁はその目から目をそらした。


「そういう事にしておこうかね、むむ?」


 ブルモンド・霊歌は縁から視線をずらしリステイナを見た。

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