第二話 レアスナタの世界観その4

「回復魔法? いや、蘇生魔法か! 貴様! 傷の魔女の娘セイザだな!」


 自警団の団長は動きは遅くなっているが、剣を抜いて辺りを見回した。


「あらあら、私の魔術に対抗出来るなんてやりますわね?自警団の団長様…フフフ」


 この広場に響きわたる女性の声がセイザのようだ、広場周辺は自警団しか居ない。


「おのれ魔女め! グレモリアル自警団団長! アースカリアの剣のサビにしてくれるわ!」


 

 自警団の団長アースカリアは剣を地面に突き刺した!

 アースカリアが持っている剣をよく見ると鎧のように黒と赤が混ざったような色をしている。

 ただどちらかと言えば返り血で染まったようにも見える。



「あらあら、そんな呪われた剣で私を斬るとでも? いいでしょう、お相手して差し上げますわ」



 アースカリアの目の前に突如女性が現れた!

 その女性は金髪のドリルヘアーで緑色のドレスを着ていた、社交パーティーに着ていきそうなドレスだ。

 顔付きは凛々しく堂々として、眉毛は少し太く背丈は成人女性の平均といった所だ。

 そして、胸がそこそこでかかった。



「傷の魔女の娘セイザ参上、と、でも言えばいいかしら?団長様?」


 セイザはアースカリアを小馬鹿にしたように見た。


「悪しき魔女め! 貴様の禁術なぞ役にはたたぬわ!!」


 アースカリアは右手を掲げた!

 一瞬で右手にどす黒い玉が現れた、何かの魔法のようだ、セイザはその黒い玉を見てクスクスと笑っている。


「粛正と断罪の神シュクダンの奇跡よ! 悪しき魔女の災いを払いたまえ!」



 アースカリアはその黒い玉を地面に叩きつけた!

 すると、霧のように辺りに充満し、アースカリアの部下達は次々と武器を構えてセイザを取り囲んだ!

 ざっと10人には囲まれている。



「粛正と断罪の神シュクダン様の加護が有る限り、貴様に裁きを下してやる!」


 アースカリアはセイザに剣を向けた!


「よほどその『加護』に自信があるようね? 本物の加護の力を見せてあげるわ、私ではないけど」



 セイザは右手の親指と中指をこすらせ、パチンと音を鳴らした。

 鳴らした瞬間にセイザとアースカリアとその部下はラキアグの街の外に居た。

 セイザが使ったのは転移魔法、いわゆるテレポートだ。

 テレポートにも色々あるがセイザの使ったテレポートを簡単に説明するならば。



『写真の人物だけを切り抜き、別の写真に何事も無かったかのようにそのまま移す』である。



 団員達は動揺を隠せなかった、部下達の鎧にはある程度の魔法は無効に出来るのだ。

 セイザの転移魔法を無効化出来なかった事に対して動揺しているのだ、アースカリアの部下達はざわざわと色々な事を言っている。



「この鎧は全ての魔法を無効化出来るんじゃなかったのか!」


「なんと面妖な! これが魔に魅入られし人の技でござるか!」


「くそ! 残業手当ては出るんだろうな!」


「は、話が違うじゃないか! 俺は故郷に帰らせてもらうぞ!」


「だから俺は嫌だったんだ! 魔女の故郷を粛正するのは!」


「お前が一番ノリノリだったじゃねーか!」


 グレモリアルの団員達の統率が乱れ始めた!

 アースカリアはそれを見て剣を勢いよく地面に突き刺し、怒りに満ちた声で叫んだ!


「静まれ! 我らにはシュクダン様の加護がある! 粛正と断罪を忘れなければ必ずや悪しき魔女を倒せる! みな声をあげよ!」


 アースカリアは突き刺した剣を地面から抜き、剣を空高く掲げた!


「うおおおぉぉぉぉ!!」


 アースカリアは雄叫びをあげた!

 その雄叫びから少し遅れてアースカリアの部下達が雄叫びをあげる、グレモリアル自警団の団員はおよそ30人、大人数の雄叫びは大地を揺るがす怒号のようだ!

 そして、空が急に曇りになった、その雲は雨雲のような黒い雲ではない。



 どす黒く血のような雲からは赤色の雨が降り注いでくる、グレモリアル自警団の団員は恵みの雨かの如く両手を広げ赤い雨を全身に浴びている!

 そして周辺に居る動物や植物にも赤い雨が当たる、動物達は動かなくなり、植物は赤く染まって別の植物かのようになった。



「みなの想いがシュクダン様に届いたぞ! この祝福の雨を浴び! ここを魔女の墓場にするのだ!」


 アースカリアは両手で剣を持ち、セイザの方を見た。

 セイザはと言うとアースカリアから少し離れた場所でテーブルには紅茶とお菓子、椅子に座り読書をしている、結界で雨を弾いているようだ。


「茶番は終わったかしら?」


 セイザは退屈そうにしながら本を読んでいる。


「ふっふっふ、随分と余裕ではないか魔女よ、結界で身を守らねば汚れた貴様では浄化されてしまうだろうからな」


 この雨に触れると何かあるようだ、しかし、セイザは呆れた顔でアースカリアを見た。


「この程度の呪術なんて服が汚れるだけですわ、嫌な精神攻撃ですこと」


「最後の言葉がそのセリフか魔女よ、では死ぬがよいわ!」


 アースカリアが剣をその場で振り下ろした、すると団員の何人かが消えてセイザの頭上に現れた!

 そして剣を両手で握り締め、地面に差し込むかのように両手を上げて一気に振り下ろした!

 キン!と高い音と共に結界に亀裂が入った!

 別の団員数名が亀裂を確認した瞬間、団員また瞬間移動し亀裂に斬撃をする。



 ガラスが壊れるような音と共に結界が砕かれた、その好機を見逃さない団員達は四方八方からセイザに向けて一斉に剣を突き出した。

 結果セイザはあっけなく串刺しになってしまい、その場に血を流しながら倒れた、セイザが動かなくなったのを確認した団員達は剣を抜いて各々鞘に納めた。



「ふん、魔女と言えど死ぬ時はあっけないか」


 アースカリアは剣を納め、セイザの死体へと近寄り、つま先でセイザの死体を転がした。

 その一部始終見ていた人物が居た縁達である、縁達は少し遠目から見ていた。


「セイザも人が悪いっすね、遊んでないでさっさと片付けてやればいいのにゃん」



 リステイナは呆れた口調でそう言った、リステイナは目元しか見えないが、その目も呆れてセイザの死体の方を見ている。

 リステイナにも赤い雨が降り注いでいたが、リステイナの身体をすり抜けて地面に赤い雨があたっていた。



「ほぅ、あの死体は幻術か、おそらく斬った感触等もある幻術なのだろう」



 東洋はジッと腕を組みセイザの死体、いや、幻術を見ていた。

 東洋も赤い雨にさらされている、しかし当たるたびにトランプのダイヤの様な模様が浮かび上がる、赤い雨が当たるたびにキン!と小さく高い音がなっている。

 おそらくは赤い雨を無効化しているのだろう、東洋の鎧にはそういう機能があるようだ。



 だが、全身からトランプのダイヤのような模様が出ている、例えるならばアニメやゲームでイケメンが出てきた時にでるエフェクトのようにキラキラしている。

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