第二話 幕開き  ラキアグの街

 ログインボタンを押した長谷川の視界が変わっていきこの瞬間縁となる。

 目の前には町と周りには青く細かな模様の入った全身鎧の男。

 黒いぼろぼろのマントを羽織ってボロボロの黒い服に包帯で顔を隠し片目だけ少し見えている男が居た。


「ひゃっひゃっはゃ! ラキアグの街まできちゃいやしたね! 東洋さん! えにっさん!」

「待てリステイナ、俺は娘に呼び出されたが縁は違うだろ」

「上位の召喚魔法で呼び出されそうになったから自力でここまで来ました」

「すまんな、今ラキアグの町にグレモリアル自警団が襲撃に来たらしい」

「襲撃!? ならその町に急いだ方がいいのでは? 俺を呼ぶって事は神絡みですか?」

「察しが良くて助かる」

「話は町に向かいながらにしましょう」


 リステイナは意気揚々と水泳の飛び込みのポーズをこっそりとする。


「リステイナ、影を伝って移動して町に行くなよ? お前の行動で住人に危害可能性があるからな自力で走れ」

「うひょひょひょひょ! 釘を刺されました! 物理的なではなく、言葉の釘を僕のハートにガッチリと!」


 縁はため息をしながらラキアグの方へ走り始めた、東洋、リステイナも続く。


「グレモリアル自警団は過激派の組織で、悪はこの世から排除しようとする組織だ」

「うわ胡散臭い」

「そしてその自警団が崇めるのが『粛正と断罪の神シュクダン』だ」

「なんすかナンスか? その安直な名前は? ぷっぷーとお笑いですよ」

「神は腐っても神、俺が対抗出来るかは解らないがいい判断だ」

「えにっさんは強い神なんですから、ふんぞり返ってればいいのに?」

「調子に乗ってると人間に討伐されるからやだ、てか東洋さんその町はなんでそんな奴らに目をつけられてるの?」

「ただ大義名分で人を殺めたいか、正義の刃が許されると思っているのか……いずれにせよ理解出来ん」

「くっくっく~何時の時代も狂人は居るものでヤン……」

「いい加減にしろ! 貴様らの暴論には付き合いきれん!」


 その時ラキアグの町から男性の怒号が聞こえ3人は町へと急ぐ。 


 ラキアグの街の広場は自警団と住民の睨み合いが続いていた。

 自警団の言い分は『一度罪を犯した者は信用ならん、迫害された者もいつ犯罪者になるかわからんから連行する』との横暴っぷりだ。

 自警団はみな黒い全身鎧を着ていて、一人だけ血の様な赤色に黒い色を混ぜたような鎧を着ている、おそらく団長だろう。

 ラキアグに住む男性が大声を上げて自警団に意見していた。


「俺達はそれぞれの国で罪を償いここに居るんだ!」

「罪は一生消えない、お前達は被害者に一生懺悔しながら生きるのだ!」

「俺達は真っ当に暮らしてんだ! 今更罪を償った事をごちゃごちゃ言うんじゃねぇ!」


 男性はそういった瞬間、自警団の団長に斬り伏せられた!

 男性の右の腰辺りから左肩までの切り傷が出来る、そこから大量の血があふれながら男性は倒れた。

 それを見て周囲の住民達は悲鳴を上げ街の奥へと逃げ出し始めた!


「もうよい! この街の住民全て反逆罪で処分する!!」


 自警団の団長の一声で部下が一斉に住民に襲いかかろうとした瞬間!

 地面から黒いツタのようなものが現れ自警団に絡みついた、それは一瞬でまばたきをした瞬間には絡みついていた黒いツタは無くなっていた。

 そして自警団は大半が動けずにいた、動けても亀よりも遅い。


「禁術だと!? それも独自開発クラスだと!? まさか!? 奴か!」


 自警団の団長は自身の身体の動きの鈍さと部下が身動きとれないのを見てそう叫んだ。

 魔法にも色々と種類があるがかなり大きく分けて2つ、人から教わる魔法と自力で習得する魔法。

 自力で習得する魔法には色々な方法があるが、禁術を自力で編み出すのは難しい。

 禁術は後の種族達が危険だから禁止にしようと決めた術であるため使わなければ習得出来たりする禁術もあったりする。

 この誰かが使った魔法を簡単に言うならば『世に出回っている禁術だが、アレンジがかなりされている魔法』である。


「そこまでね、横暴な人達です事」


 広場に女性の声が響きわたる、そして斬り伏せられた男性に優しい光が降り注いだ。

 男性は仰向けで倒れていたが、あっという間に傷が治り男性はすぐさま身体を起こし両手で斬られた場所を触っていて、ビックリした顔をし身体を触りながら立ち上がる。


「早く避難なさい」


 広場に響きわたる女性の声は優しく男性に話しかけた。

 男性は陸上選手並みのいいフォームで街の奥へと消えていった

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