第一話 ロールが主流のオンラインが正式稼働その7

 そして、回れ右が終わり一秒もせずに辺りの雑草は空中を舞っていた。


「我ながら見事」


 風月はそういいながら手を軽く叩いた。

 風にゆられながら雑草は一カ所にまとまり、雑草の山ができた。


「これが界牙流か、一見ただの回れ右だが、回れ右をした時に起こる風が真空波レベルだ」


 グリオードが難しい顔をしながら雑草の山を見ている。


「すごいのは俺達が居るのに傷一つ負ってない事だ、俺達に当たった風はそよ風のようなふんわりした風だった」


 グリオードは興味深く風月を見た。


「そこまで見極めれるとは、あなたは何者だ!」


 風月は足をクロスさせ左手を上げて、右手でビシッと勢いよくグリオードを指差した。


「ああ、ちゃんと自己紹介してなかったな」


 グリオードはフッとクールに笑った。


「俺はグリオード・セタ・プレッソだ、プレッソグループ代表取締役をしている…とは言っても小さい会社だがな」


「縁の知り合いって事は何かの神様なの?」


 風月は首を傾げながらグリオードを見た。


「いや、俺は神の加護を貰った人間だ、その加護は賞賛の加護と言う加護だ」


 グリオードはクールに笑っている。


「賞賛?つまり他人から誉められるって事?」


 風月は更に首を傾げた。


「ああ、だがこの加護で俺は昔自業自得な事があってな、今は加護の力は使わずに日々を過ごしている」


「でも、賞賛の加護ってどんな加護?縁みたくわかりやすくないね」


 風月は両手を組み、考え始めた。


「そうだな、簡単に言うなら、自分のやることが過度に誉められるって事か」


「むむむ?」


 風月は難しい顔をしながら聞いている。


「ふむ、例えば街のゴミ掃除を自主的にやれば街から表彰され、人を殺せば殺した人間に恨みを持っていた人間から感謝される…と言った所か」


 グリオードも難しい顔をしだした。


「自分の成すこと何かにつけて賞賛されるって事か!」


 風月はポンと手を叩いた。


「加護の力が無くなれば、それこそ魔法が解けたように反動がくるがな」


「ん? 今は加護の力を使ってないんだよね?」


「ああ」


 グリオードは自信満々に頷いた。


「界牙流の動きを能力無しの肉眼で観察し、推測しただと!?」


 風月少し睨んだ目つきでグリオードを見た。


「努力の成果だ、賞賛とは努力してる人間に贈られるべきだからな」


 グリオードは満足そうに笑っている。


「俺は運良く理解した、ああ、運良くってのは推測が当たってたってだけだからグリオードよりは凄くはないぞ」


 縁は少しだるそうに手を上げた、まだ疲れているようだ。


「確実に予想出来る幸運を持っているくせに何を言ってるんだ」


 斬銀は腕を組み、口をへの字にして縁を見た。


「その確実をへし折るのが人の持つ可能性だよ、まあ、斬銀さんだけには言われたくない」


 縁はため息をしながら首を横に振った。


「それはあるね、先程の風、斬銀だけには手加減せずに放ったんだけどあたしに向かって反射するとは」


 風月はがっかりした顔をしている。


「Tシャツと麦わら帽子は切り刻めると思ったんだけどなー、あたしもまだまだだなー」


「ふっふっふ、これも氣(き)の流れや筋肉、骨、内臓、魔力、その他もろもろの使い方を間違わなければ容易いだ」


 斬銀はボディビルのポーズの一つサイドチェストをしながら、自慢の筋肉を風月に見せびらかしている。


「しかし、反射と同時に威力を増したはずなんだが」


「いやいや、自分の放った技を反射されて怪我するとかさ、戦いの初心者じゃないんだから」


 風月はため息をしながら、右手をパタパタと振った。


「ま、それはそうか」


 風月と斬銀はお互いに笑っている。


「この戦闘狂共は何とかならんか?」


 縁はため息をし呆れた顔をしてグリオードを見た。


「いや、彼等クラスになると対等に戦える者が少ないからよくわかる」


 グリオードはうんうんと頷いた。


「風月や斬銀さんと対等ってどんなレベルだよ」


 縁は呆れ顔をして風月と斬銀を見た。


「風月、斬銀、最近大暴れした出来事はあるか?」


 グリオードは風月と斬銀の方を見た。


「大暴れ?」


「大暴れか」


 風月と斬銀は腕を組み考え始めた。

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