第一話 ロールが主流のオンラインが正式稼働その5

「い、何時の間に!」


 縁はびっくりして数歩、風月から距離をとった。


「振り返った瞬間に背後に回っただけだよ」


 風月は笑っている。


「しっかし、流石は斬銀さん!あたしのスピードについてこれるなんてね」


 風月はニコニコしながら斬銀を見ている。


「ああ、斬銀でいいぞ、それに遊びであのスピードだろ?今のスピードですら俺はギリギリだ」


 斬銀もニコニコしながら風月を見ている。


「そこでお互いを牽制するのは止めていただけませんか?」


 縁はジト目で斬銀と風月を見た。


「あたしが送ってあげるよ縁さん!」


 風月は両手でばんざいした。


「いや、縁でいいよって…ついて来るの?」


 縁は少し嫌そうな顔をした。


「グダグダ言わない! こういうのは速さが肝心! 一秒でも速くその少年に会わないと! はい! 出発ー!」


 風月はばんざいしている両手を地面に叩きつけた、すると魔法陣が4人の足元に現れた!


「ちょ! 場所わかるの?」


 縁はオロオロし始めた。


「安心しろ! 俺がこっそり教えておいた!」


 斬銀がいい笑顔をしながら親指を立てて、舌を右側にちょろっとだしてウィンクした。


「ん、な!」


 縁が何か言いかけた時には4人は光に包まれて既に消えていた。

 縁の神社は人があまり通らなそうな道沿いにあった、道しかなく周りは森や山、平原などである。

 神社の鳥居の前までワープしてきた縁達。


「はい、とうちゃーく!」


 風月は満足げに笑っている。


「むちゃくちゃやな! 風月は!」


 縁は身振り手振りしながら風月を見た。


「界牙流はこのくらい朝飯前よ、さ、少年を助けないと」


 風月はジッと縁を見た。


「助けるっても……」


 縁は何かを感じ取ったかのように神社の方を見た。


「気付いたか? 縁」


 グリオードが縁を見た。


「純粋な願いが神社から感じられる、欲望ない願いとは珍しい」


 縁は肝心したように神社の方を見ている。


「まったく、お前は神社持ってるんだからたまには神社に帰れ!」


 グリオードは縁に向かって少し怒鳴った。


「そうだな、今度から気をつけるよ」


 縁は苦笑いしながらグリオードを見た。

 そして、ウサミミカチューシャを縁は握りしめた。


「こいつを外すのは久しぶりだな」


 縁はウサミミカチューシャを外した、すると、ゆっくりと縁の頭に白い兎の耳が生えた。

 足元からは白い霧のような物が出て縁の身体にまとわりついている。

 縁はゆっくりと神社に向かって歩いた。



 神社に向かって歩いている縁の着ているジャージに変化が現れる。

 白い霧が足元から濃くまとわりついていて、そこから上半身に向かってその濃い霧は上がっていく。

 するとジャージだったのが神様が着るような白く神々しい着物へと変わったのであった。


「……」


 縁は黙って神社に向かって歩いている。


「縁のあの姿は久しぶりだな、以前奴と戦った時以来か」


 斬銀は少し笑いながら縁を見た。


「斬銀、あの状態の縁と戦った事あるんだ、あの縁からは並々ならぬ力を感じるよ」


 風月は少し冷や汗を出しながら縁を見ている。

 と、縁の足が止まった。


「どうした?ついて来ないのか?」


 縁は振り返らずに言い放った。


「ついてくよ、待って」


 風月は少し駆け足で縁の近くまで駆け寄った。

 斬銀とグリオードもそれに続いた。


「ああ、後」


 縁は振り返って三人を見た。


「鳥居の前で一礼はいらん、俺が許す」


 縁はフッと笑って歩き始めた。


「おー、神の許しが出たぞー」


 風月がばんざいをしている。


「今時ちゃんと参拝出来る人って居るのか?」


 斬銀は苦笑いした。


「一応、俺は出来るぞ」


 グリオードは斬銀を見た。


「まじかよ、すげーな」


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