第一話 ロールが主流のオンラインが正式稼働その4

「いや、貴女の言いたい事はなんとなくわかりますよ」


 縁は少し微笑んだ。


「私の名前は風月ふうげつ界牙流かいがりゅう五代目だよー」


 風月はイスで遊ぶのを止めて縁を見た。


「何!? 界牙流だと!?」


 それまで平然とスロットをしていた斬銀が風月を見た。


「おうよ!」


 風月はイスから立って、エッヘン! と腰に手を当てている。


「界牙流? 聞かない流派だな」


 縁は首を傾げた。


「界牙流ってのは一人で世界を敵に回せる流派だ、知られてないのは知った連中は葬られてるからだ!」


 斬銀は縁達の方へ小走りでやってきた。


「あー、そんな解釈されてんだあたしの流派」


 風月は頬を膨らました。


「ってのは俗世の解釈で本質は好きな人だけを守る流派だ」


 斬銀は縁を見た。


「ほう、そんな流派があるんだな」


 縁は風月を見た。


「そ、あたし達界牙流は好きな人だけ助けるのさ、嫌いな奴も救うってのは勇者がやればいいよ」


 風月はため息をして笑っている。


「しかし、五代目を名乗ってるとなれば恋人、もしくは伴侶が居るのか?」


 斬銀はポーカーテーブルのイスに座った。


「よくしってるねー、あなたは何者?」


 風月は斬銀を睨むように見た、斬銀はキリッとした表情になり、立ち上がった。


「これは失礼した」


 キリッとした顔つきで風月を見た。


「俺の流派は斬の現師範代の斬銀だ、界牙流五代目お初にお目にかかる」


 斬銀は右手をL字に曲げ手を前に出しお辞儀をした、それを聞いて風月もキリッとした表情で立ち上がった。


「私は本家界牙流五代目、本名は伴侶が居ないので明かせないが、仙人としての名前は風月だ、斬の師範代よろしく頼む」


 風月は腕組みをし、そのまましゃがんで頭を組んだ腕に付けた。


「伴侶は居ないが四代目の許しをもらい五代目を名乗っている」


 風月はスッと立ち上がる。


「そうでしたか、詮索するような物言い、申し訳ありません」


 斬銀は頭を下げた。


「いや、こちらの言い方も喧嘩腰で申し訳なかった」


 風月も頭を下げた。


「なあ、俺はどうしたらいいんだ?」


 縁は苦笑いしながら風月達を見た。


「いやいや、すまないな職業病みたいなものだ」


 斬銀はイスに座った。


「最初の挨拶はちゃんとしないと、流派がだらしないと思われるからね」


 風月もイスに座る。


「縁も兎の神なんだから神としての名前を言えばいいんじゃないか?」


 斬銀は縁を見た。


「おお、縁は神だったのか!」


 風月はキラキラした目で縁を見た。


「俺は今、神じゃなく何処でもいるただの兎の亜人だよ」


 縁は苦笑いした。


「あたしもただの武道家だもーん」


 風月はばんざいした。


「フッ、俺もただの一般人だ」


 斬銀は顎に手を当ててクールに笑った。


「え?」


「んなばかな」


 風月と縁はジト目で斬銀を見た。


「おいおいおい! お前らだけには言われたくないぞ!?」


 斬銀は両手で軽くバンバンとポーカーテーブルを叩いている。


「壊すなよ?弁償してもらうからな」


「壊さねーよ!」


 斬銀はほっぺを膨らまして怒っている。


「じゃあ、普段はみんなはどうやって生計たててるの? 私は仙人の里とかで果物作ったり、魚釣ったり、狩りをしたりしてるよ! あ、お酒も作ってるよ」


 風月はまたイスで遊び始めた。


「俺はアイテムギルドとかの仕事でアイテム探してきたり作ったりが主かな」


 縁はトランプをシャッフルし始めた。

 そして、風月、縁はジッと斬銀を見た。

 私達はまともに生計たててますよ?と訴える目で斬銀を見ている。


「お、俺は俳優を」


 斬銀は頭を右手でかきながら少し照れている。


「ひっ!?」


 風月はイスから落ちて腰をうった!


「まじかよ……そんな事が許されて……」


 縁は絶望した顔をし、シャッフルしていたトランプをバラバラと落とし始めた。

 その顔は有り得ない不幸が降りかかったかのような顔だ。


「なんならいいんだよ!」


 斬銀はポーカーテーブルをまた両手で叩いた。


「グラディエーターとか、闘技場で戦う人?」


 縁は斬銀を首を傾げながら見た。


「もしくは子供に見せるプロレス?名前なんて言うかは知らんけどあるよね、子供に見せれるタイプのプロレス」


 風月はイスに座って縁を見た。


「ちびっ子に人気でそうだな、斬銀さん」


 縁は散らばったトランプを回収し始める。


「お前らの予想は見た目じゃねぇか」


 斬銀はテーブルにのの字を右手の人差し指で書き始めた、いじけているようだ。


「しかし、斬銀さんが…」


 縁がまたトランプをシャッフルしながら話していると、カジノの扉が開いた。


「縁、居るか?」


 カジノに一人の男性が来店してきた。

 その男性は何処かの王様のような服装をしている。

 ただ、マントは儀式や礼服のマントではなく雨風をしのぐマントだ。

 髪は黒でロン毛であり、その顔つきは整っており高貴な風格を醸し出している。


「グリオードじゃないか、どうしたんだ?」


 縁はトランプをしまってグリオードに向かって歩いた。


「久しぶりだな、縁、お前最近自分の神社に行ってるか?」


 グリオードは少し渋い顔で縁を見た。


「唐突だな、いや最近は行ってないぞ?絆も最近行ってないらしいがな」


「やはりか」


 グリオードは縁を見ながらため息をした。


「雑草が生えてたぞ、それに、最近念入りにお願い事をしている少年をよく見かけたな」


「お願い事ならもっと有名な神様にお願いすればいいのにな」


 縁はめんどくさそうな顔をした。


「それなんだが、どうやら門前払いをくらったらしい」


 グリオードの顔が険しくなった。


「門前払い? 神社だろ、何でだ?」


縁の顔つきも変わった。


「その少年は貧しいらしくな神社が決めたお賽銭の額を払えなかったらしい、それに身なりにもいちゃもんつけたとか」


 グリオードは怒りをあらわにした。


「グリオード、今もその少年は俺の…いや、俺と絆の神社に居るのか?」


 縁はウサミミカチューシャを触っている。


「おそらくはな」


 グリオードは頷いた。


「斬銀、風月」


 縁は振り返り二人を見た。

 が、二人はポーカーテーブルのイスには居なかった。


「あれ?」


「こっちだよ」


 と、風月が縁の背中をつんつんした。


「うおっちょ!?」


 縁が振り向くと風月と斬銀が立っていた。

 正確にはグリオードの両サイドに立っている。

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