第一話 ロールが主流のオンラインが正式稼働その3

 一人は上半身裸の大男がスロットをしている。

 もう一人はうさみみでジャージを着ている男性だ。


「おい縁、この台出ないぞー」


 大男はスロットを回しながら、うさみみジャージの男性をみた。


「斬銀さん、出ないからってスロット台壊さないでくださいね」


 うさみみジャージの男性は縁(えにし)、大男は斬銀(ざんぎん)というらしい。


「壊さねーよ!」


 斬銀はやけくそになってスロットを回している。

 と、そこへ。


「たのもー!!」


 カジノの出入り口の扉を勢いよく開けた女性が来た!


「ここは道場じゃないですよ、お嬢さん」


 縁は特に驚くことなく女性を見た。


「ごめんなさい、まさか開くとは思わなくて」


 女性は申し訳なさそうにしている。

 その女性の格好は簡単に言えば武道家の衣装と雰囲気を醸し出している。

 長く薄い緑色の髪が特徴だ、ショートヘアーだが髪は簡単に束ねている。


「開かなかったら開かなかったで、ただの痛い人じゃないですか」


 縁はジト目で女性をみた。


「このお店はウサミミさんのお店?」


 女性は店内を見回している。


「ウサミミさんて、まあウサミミカチューシャしてるから、そう言われても仕方ないが」


 縁のウサミミはカチューシャのようだ、縁はカチューシャを触った。


「今は営業中なの?」


「ええ、一応」


 縁は頷いた。


「お客さんが半裸の男性一人なのはなんで?」


 女性は斬銀を見た。


「俺のカジノは人が来ない事で有名だからな、ある意味」


 縁はため息をした。


「へ? なんで?」


 風月は出入り口の扉を閉め、縁を見た。


「俺の名前は縁、名前くらい聞いた事あるんじゃないか?」


「ジャージでウサミミで縁?」


 女性はジッと縁を見た。


「あー数年前、世界の一部を敵に回した人達の一人か!」


 女性はビシィ! と縁を指差した。


「ぐっ!俺の黒歴史を突いてくるとは」


 縁はポーカーテーブルに寄りかかるようにうなだれた。


「黒歴史?何で?後悔してるの?」


 女性はポーカーテーブルのイスに座った。


「ま、まあ、若気のいたりだよ」


 縁の目は泳いでいる。


「そいつはな、簡単に言えば自分の幸運が嫌で世界を敵に回したのさ」


 斬銀はスロット回しながら喋っている。


「あー、なるほど、幸運に群がる奴らが気にくわないと」


 女性は斬銀の方を見た。


「ま、これ以上は縁の古傷つつくからこのくらいにしといてやってくれ」


 斬銀は苦笑いしながらスロットをしている。


「ま、幸せなんて自分で掴んでなんぼだよね」


 女性は座っているイスを回して遊び始めた。


「与えられた幸せなんてさ、たかがしれてるしね、この言い方だったら少し誤解があるかな」


「誤解?」


 縁は女性を見た。


「うん、例えば好きな人から与えられた幸せは別格だと思うからさ…って、この例えも少しおかしいか」


 女性はイスで遊んでいる。

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