第一話 ロールが主流のオンラインが正式稼働その2

 スタートボタンを押すと目の前の世界はファンタジー世界のような世界観が広がる。


「ああ、自宅でセーブしなかったんだっけ?」


 ゲーム内の長谷川のキャラクターは縁だ。

 縁は周りを軽く見回し歩く。

 このゲーム、歩く、走る、戦うなどはプレイヤーの動きにあわせて動く、それが面倒くさい人には普通のゲームパッドでもゲーム出来る仕様である。

 現実で壁に向かって真っ直ぐ歩いていても、プレイの邪魔にならないよう方向転換などをしてくれるのだ。

 専用のシートベルトにキーボードやゲームパッドはプレイの邪魔にならないように収納されている。


「さてと、一度カジノに戻りますかね」


 賑わっている街の中を進む縁。


「よう! 縁!」


 ゴツい大剣を二つ背中にしょい、上は半裸でムキムキ、下は騎士が着そうな鎧、顔はちょい悪オヤジで髪は短髪でブラウン色の男が話しかけきた!


「ゲームマスターさん、こんにちは」


 縁は頭を下げた。


「馬鹿野郎! 俺は今ポケットマネーでプレイしている、いちプレイヤーだ!」


 ムキムキちょい悪オヤジは少しムキになっている。


「正式サービスおめでとうございます」


 縁は笑っている。


「はいはい、ありがとうよ!」


 男性は苦笑いしている。


「斬銀さん、これから何処かいくんですか?」


 このちょい悪ムキムキオヤジのキャラクター名は斬銀(ざんぎん)らしい。


「せっかく正式稼働したんだ! お前のカジノのお客さん第一号になろうとな!!」


「いや、β版時代から俺の店に入り浸ってましたよね?」


 2人は縁のお店があるエリアに移動する、店の前に誰か居た。


「ん? 縁、店の前に誰か居るぞ?」


 店の前にファンタジーに出てくる格闘家っぽい女性がいた。


「今日も開いてない」


 女性は帰ろうとしている


「あの、すみません」


 縁は女性に声をかける


「はい?」


 女性は振り替える、ショートヘアーに薄い緑色の髪をしていて、振り返ると同時に髪が少し揺れた。


「俺の店に用ですか?」


「いっつも閉まってるから中身どんなのかなーって」


 女性はカジノをまじまじと見ている。


「ああ、最近カジノほったらかしにしてたからなー」


 縁のカジノは二階建てである。


「カジノアイテムってなかなか貴重なんだぞ?縁君」


 斬銀が話に加わる。


「はいはい、ベータ版時代の最高傑作ですもんね、斬銀君」


 縁はめんどくさそうに受け答えしている。


「もしかして、運営の方ですか?」


 女性は斬銀を見た。


「今はただの一般人だよ」


 斬銀は笑った。


「ほー、ふーん」


 女性は斬銀のぐるぐると周り色々な角度から斬銀を見ている。


「ああ、試験的にだが装備の色などは違う場合があるからな? 運営の特権ってやつだ」


 斬銀はボディビルがするポーズをし始める。


「あ、いや、運営の人達が作るオフのキャラクターはこんな変人なのかなーって」


 女性はじっと斬銀を見た。


「ぶっ!!」


 縁は腹を抱えてその場に笑い崩れた。


「ちょ! 変とは何だ! この素晴らしさ! わからんか!」


 斬銀は独特な笑顔を振りまいている。


「あの、このうざい笑顔はなんですか?」


 女性はジト目し、斬銀を指差しながら縁を見た。


「斬銀スマイルっていう技らしい」


 縁は斬銀スマイルを見たからか素に戻っている。


「わ、技ですか」


「うむ、技らしい」


 縁と女性はにこやかな笑顔を振りまいている斬銀を見た。

 斬銀からは神々しい光と共になんか色々エフェクトが発動している。


「あの、この人と居て疲れませんか?」


「あの人はほっといていいよ」


 縁はため息をしながら斬銀を見た。


「俺は縁、貴方は?」


「私は風月(ふうげつ)です、よろしくーイェイ」


 風月は親指を立ててウィンクをした。


「立ち話もなんですから、カジノに入りますか?」


「おー、じゃあ、お邪魔します」


 風月は両手を上げた、縁はカジノの鍵を外して扉を開けた。

 カジノは広々としていて、定番のスロット、ルーレット等々たくさんある。


「おー、これだけの広さって事はロールとかでもよく使われてそうです!」


 風月はカジノに入るなり、その場でくるくる回りはじめた。


「いや、このカジノめったに使わないんだよ」


 縁は店内を見渡した。


「え? 何でですか? もったいない」


 風月は回るのを止めて縁をみた。


「まあ、そういう設定だからな」


「設定なら仕方ないっすね、うん」


 風月はうんうん頷いた。


「いや、設定でももったいないだろ! そうだ! ロールしようぜロール!」


 斬銀は縁に近寄った。


「うんうん、これも何かの縁だから一緒に遊ぼうよ!」


 風月は両手を上げた。


「じゃあ、軽くだけどキャラクターの設定をそっちに送るよ」


 縁は風月をみた。


「おうよ、私も二人に送るわ」


 風月はクルッと回ってビシィ! と指差した。

 三人共キャラクターの頭上にロール確認中と言う表示が出る。

 しばらくしてその表示は消えた。

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