語るスキルについて(結局そこ?)
実際に見聞きしたこと、目撃したこと。
漫画やテレビ、動画サイトでみたこと。
なんでも構いません、クスっとでも笑ったお気に入りのネタを思い浮かべてください。
思い浮かべましたが? では、その内容を親しい人に説明してみてください。そのネタがいかにユニークで愉快で思わず笑いをさそわれてしまったかを、面白いことなどを重点的に――。
――どうです? 難しいでしょう? 難しいですよね?
話している最中、その人は完全に「聞き流すモード」になっていませんか? スマホいじってませんか? 返事が上の空じゃないですか? あなたはその態度をみて「なんでこの面白さが伝わらないんだ!」ってじれじれしてませんか?
そんなことない、自分の話をきいて隣で大爆笑してる――という方には私からお伝えすることはありません。実り多い創作活動を。
難しかったという人は握手をしましょう。本当に、自分が体験したり目撃した面白いことを伝えるのは難しいんですよ!
思えばなかなか漫画を買ってもらえない家の子だった頃、友達の家で読ませてもらって腹を抱えて笑った漫画のネタを姉や妹に伝えようとして一生懸命い語るも全く伝わらず、「ああもう漫画はもっと面白かったのに!」と焦れた時から「自分が面白いと思ったことを聞き手に伝える」という作業には悩まされました。そして現在は自分の小説のPVに悩まされているわけです。三つ子の魂百まで。
振り返れば、友達や家族の前で面白いと思ったことを語り、その場を冷えつかせて死にたくなったことが何度あることか。
反対に、相手の要領を得ないトークにイライラして「芸人のトークスキル盗んで来い!」となったことが何度あることか。
そういう経験を何度も経て、人にどうやって話をきいてもらうかのスキルを人は磨いてゆくものですね。自分は対人恐怖症だし人としゃべるのは嫌だって方も、SNSでは饒舌でおもしろtweetについ血道をあげたりししてしまうものです。その結果、嘘松行為に走ったり白ハゲ漫画を描いたりすることに――……すみません、適当に盛りました。
面白いと思ったことを語りたい、そしてそれを上手く伝えたい。これは根源的な欲なのでしょうか。
何度も死ぬほど恥ずかしい目に遭っても遭っても、語ることはやめがたい魅力があります。しかしやはり面白いことを語るというのは難しく、一朝一夕ではいかないわけです。
まあ難しくて当然なのですよ。面白い出来事を面白く語るということで食べているプロの方がいらっしゃるくらいなのですから――。
そんなふうに開き直ってしまうわけで、それじゃあいけないわけです。
面白いことと思ったことを受け取り手にも「面白い」と思ってもらうように語る、それはいうなれば小説を書く行為と共通するものでしょう。
たとえば、これをオチをするためにはこのエピソードをフリにしたいとか、面白いことを語る時には頭の中で計算しますよね?
この時の計算が出来るスキルがあるか無いかが、物語を語る時に大いに差が出てくると思います。
スキルというと大げさですが、人と話すときや、こういったエッセイを書く時にもちょっと意識するだけでだいぶ違ってきます。話の構成気を付けたり、話の面白い人のテクニックを真似するだけで、語る体感のようなもの身に付きちょっとずつ違いがついてくる。
この体感ができると、ほんの少し書くのが楽になる――ような気がします。
少なくとも、「そういうアバンの使い方は勿体ない!」程度の生意気は言えるレベルになるわけです。
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