第12話

 三人の元へ戻ると、リュウが僕の肩に手を回し、笑いながら話しかけてきた。

「声が聞こえたよ。相変わらずレイチェルはうるさいな。なんて言ってた?」

「僕達じゃ勝つのは無理だって」

「ははは。言ってくれるじゃん。まあ妥当っちゃ妥当だけどさ。それで、なんて言い返した?」

「別に。そうかもねって」

 そう言うとリュウはニヤッと笑った。僕も小さく笑う。

「分かってるじゃん。そういうのが一番効くんだよ。反論するより、そう思っとけば的なのがさ。いいよ。燃えるね」

 大きなギルドに喧嘩を売ってなお、強気のリュウ。こういう時は頼りになる。

 一方アヤセは呆れていた。隣のヒラリも苦笑している。

「あんなサークルのお姫ちゃんなんてどうでもいいわ。それよりさっさとここから出ましょう」

「あはは・・・・・・」

 僕もアヤセに同感だった。ここは人がどんどん増える。

 次から次に登録者とそのパーティーがグランドギルドに入ってくる。もう人がいっぱいで、ミミクロなんて肩車されている。

 鬱陶しく思いながら、僕達はグランドギルドを出た。扉から出る瞬間僕が振り返ると、微かに僕を睨み、頬を膨らませるレイチェルが見えた。僕は思わず笑ってしまった。

 しかしその後ろに立つ背の高い男を見て、僕は笑うのをやめた。

 手が大きく背の高い種族トーラン。その独特の高い身長から冷たい視線降り注ぐ真っ黒に赤のラインが入った鎧を着た男。巨大なバスターソード斜めに背負い、彼は僕を静かに見ていた。何も言わず、これと言って何も思ってない様な瞳だ。

 彼の名はカズマ。

 この世界最強のギルド、ルーラーのギルドマスターだ。

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