第6話

 ミゼルカの町に到着するヒロト。すぐに移動魔法を使い、ギルドハウスに移動する。

 ギルドハウスとは仲間になったプレイヤーだけが入れる家だ。

 これから何をするか話し合ったりする。更にインテリアなども飾れ、それぞれ個性を出していた。

 一見すると木製の家。キャンプ場などにあるログハウスだ。

 木製のテーブルに、椅子、暖炉にカウンター。アイテムを入れる倉庫などが揃っている。

 庭の通路を通って入ると、中には既に三人のメンバーが揃っていた。ここでは僕らは文字のチャットをしない。

 僕はマイク付きのヘッドホンを頭に付け、ボイスチャットを起動させた。

「ごめん。遅くなった」

「遅ーい! 三十分前にはいようって言ったのはヒロトでしょ?」

 謝ると女の子が僕を注意する。

 あまり人数が多くないガンナー装備を身に付けている。大きなライフルというか、スコープ付きのボウガンを背負っていた。

 意志の強そうな目に、活発そうなにセットされた赤茶色のミディアムヘアー。胸の形が強調されたレザーアーマーに、銀のアーマースカート。両腕を包むガントレット装備。

 そして目立つのは猫耳に尻尾だ。ミャコシーと言われる猫っぽい種族の女の子。

 名前はアヤセ。

「だからごめんって。寝てた」

「昼から? 呆れた。もし遅刻したらギルドマスター剥奪しようって話してたの。ね?」

 アヤセは隣の椅子にちょこんと座る女の子に同意を求める。

 そこにいたのは長く真っ白い髪を揺らしたエルフの美少女だ。

 おっとりした表情に柔和な笑みがよく似合う。ワンピースに胸当て、脛当てと腕にも防具を着けていた。置かれた綺麗な白い宝石と金の装飾が施されたロッドから分かる様に魔術師だ。

 名前はヒラリ。エメラルド色の透き通った瞳は困ったように笑う。

「え、えっと・・・・・・。ヒロト君はマスターとして頑張ってるし・・・・・・」

「まったく、この良い子ちゃんは~。冗談よ、冗談」

 今日の為に休みを作ったヒラリは絹で作られた様な優しいアニメ声で僕を庇ってくれた。

 それにアヤセは呆れて首を横に振る。こうやって見ると仲の良い姉妹に見えなくもなかった。

 そして僕と同様二人を見ていた残りの一人が口を開いた。

「それくらいにしとけって。もうすぐ生放送始まるぞ」

 しっかりした自信を持った口調。爽やかな笑み。彼は金髪の髪に薄いブルーの瞳をしていた。

 金に白のラインが入った派手な甲冑に、これまた派手な赤いマントを着けている。マントには皆(主に女子)で考えて作った、薔薇と獅子の紋章が黒い刺繍でデカデカとついていた。ギルドの紋章を背負い、ランサーの装備である金の十字槍を持つ二枚目。

 名前はリュウと言った。

 リュウに言われて僕も時間を見る。もうすぐ配信の時間だ。

「おっと、危ない危ない。危うくヒロトのせいで見過ごすとこだったわ」

 アヤセも呟く。そしてクリック音がした。

 多分僕と同じくブラウザを開いて、ネット放送のサイトにアクセスしているんだろう。

 今日は四人で一緒にアップデートに関する生放送を見る予定だ。録

 画されたものと違い、生放送ならそれぞれのパソコンで視聴してもラグが生じない。

 僕はスターダストのウインドウを小さくして、生放送のウインドウを大きくした。ギルドハウスの中ならモンスターに襲われる心配もないので放置だ。

 時間になっても生放送は始まらず、僕達はしばらくお待ち下さいと書かれたテロップを眺め、流れるゲームのBGMを聞きながら、アップデートについてあれこれと話し合った。

 すぐに答えが分かるのに、予想をしたり、こうなったらいいなと会話する。

 四人だけの小さなギルドは――ギルド名はエデン。

 これは僕が適当につけた。結成してからもうすぐ一年が経つ。

 何百人といる大所帯のギルドと違い、四人とも仲が良かった。よくある陰口なんかもない・・・・・・はずだ。

 SF0は四人パーティーでダンジョンに潜るゲームの為、四人はギリギリの人数だった。

 それでも強さだけで見れば大人数ギルドにひけを取らないと僕は思っている。

 装備のレベルも申し分ないし、知識もある。何より連帯感ならどこにも負けない自信があった。

 わざわざ口に出すのは恥ずかしいので言わないが、自慢のギルドだ。

 お喋りをしていた僕らの声がピタリと止まる。五分遅れで生放送が始まった。

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