第109話

 夕飯を食べ終えて、アムリタが眠りに就いた後、俺は家を抜け出して夜の街へと繰り出した。

 別に夜遊びに出た訳ではない。大島に変わりこの地域の【鬼】対策に見回りをする北條先生を見守り、いざという時には戦うためだ。


 別に、先生のピンチに助けに入り、好感度を爆上げなんて事は少ししか考えてない。

 本当に少しだけだ。それくらいの状況でもなければ叱られるどころか「中学生の自分の教え子がこんな時間に出歩いるなんて」と教師としての自分を嘆いてしまうかもしれない。


 勿論、北條先生にならば叱られる事さえ全く苦ではなく、むしろご褒美だ。想像するだけでゾクゾクする。

 しかし、それでは駄目なのだ。

 俺は先生に頼られる男になりたいのだ。だから下心とかは胸の奥底にしまっておく。非常につらいが今はそうするのが一番なはずだ。


 そう考えるなら、むしろ俺だと気づかれないように助けに入り、名乗らずに立ち去るべきじゃないのか?

 確かにそうした方が格好良い。男として憧れるヒーローそのものだ。

 しかし、自慢じゃないがその気になったら俺は、全く気付かれないで事を終える自信がある。

 北條先生が一ミリたりとも俺だと疑う事無く、生涯気づかないほどに完璧にやり遂げてしまう事が出来るのだ……嫌だ。それは嫌だ。少しくらい「もしかしたら、あの人は高城君?」みたいなシチュエーションが欲しい。

 せめてロマンの欠片くらい、この手の中に欲しいんだ。


 やはり、人として下心は完全に捨てることは出来ない。否、捨ててはいけない。

 下心を含めてこそ俺なのだ。俺は北條先生にありのままの俺を見て欲しい。

 いや、流石にありのまま自分はきついな、正直自分でも嫌なくらいだ。

 ……だからこそ、より良い自分でありたいと己を取り繕う努力を含めて、それが自分なのだ。

 むしろ他人に対して取り繕うともしない人間など、山の奥に引きこもって一生一人で自分だけの為に生きればいい。社会には不要な存在だ。


 そもそもありのままで他人に受け入れて貰えるほど、高城隆は生まれつき性根から立派な人間なのか? 間違いなく違うと断言出来る。出来てしまうのだ。

 人様に見せるには申し訳ないレベルの自分を取り繕う。それは向上心であり、好きな人間の前で立派な人間でありたいと思う心こそ友情であり愛情だろう。

 つまり完全な身元の隠蔽はせずに、一割ぐらいは隙を見せる方向性で行こうと決めた……決して自己欺瞞ではない。



 北條先生の周囲三キロメートル以内には一人も居ない事を確認する。

「今日は北條先生一人という事か……」

 もしも北條先生に何かあったらどうする気だ! そう思うと……俺は北條先生の直上百メートルの位置に陣取った。

 別に周囲を警戒するだけなら、この辺一帯は一分の隙も無くマッピング済みであり、家で寝転がりマルをモフモフしながらでも完璧に北條先生の周囲の状況を把握出来る。

 だが、俺はこの場にいる。それは、愛ゆえだと何時か言えたら良いなと思っている。


 【鬼】の存在を確認してから家を出ても十分に間に合う。万が一……の可能性すら無いが、可能性がゼロではないので現場に出ている。

 それに空中なら、流石に前回の様に爺に背後を取られることも無いだろう。

 ちなみに前回、爺に俺がいる場所を発見されたの理由は簡単だ。爺はただ北條先生を見張るに丁度良い場所を探して俺を見つけたのだ。


 しかしS県が田舎で良かった。

 姿を消すには便利な【迷彩】だが、移動中はタイムラグにより自分の身体の周りの輪郭線に沿って歪みが発生する。

 その歪みは下から上を見上げた場合は空の色か雲の色しかないので発見するのは難しいが、逆に上から下を見下ろした場合に視界に入ると結構目立ってしまう。

 しかし、この町は繁華街と言えども百メートルクラスの建物が殆ど無いので発見されて都市伝説になる可能性はかなり低い。


「やはり、それほど多くは居ないか……」

 犬も歩けば棒に当たるじゃあるまいし、繁華街を歩いていたらすぐに【鬼】と行き当たるなんて事がある訳ではない。

 そもそも北條先生は大島の代わりをしているようなものなので、大島がそれほど熱心に追儺の役目を果たしていたはずがない。

 むしろ暇を持て余してはヤクザ者を見つけては絡んで虐めていた……想像にリアリティーがあり過ぎて疑う事が出来ない。



 今日はもう【鬼】は出ないかと思っていると、【鬼】は出ないがチンピラが出た。

 大島が居ない分【鬼】以上にこの手の生き物が蔓延るのは当然の帰結だ。

 しかし「天敵がいなくなったったサバンナで、野生のチンピラが元気に伸び伸びと暮らしています」なんて事が許されるはずがないし、俺が許す気も無い。


 しかも北條先生に絡んでいる。まあ、北條先生ほどの美人に絡みたい気持ちは分かる。とても良く分かる。

 そういう意味では「お目が高い」と褒めてやりたいくらいだ。

 しかし、先生の顔色を曇らせたのは決して許されることではない。


 そもそもお笑い芸人しか着ないような原色系の派手なスーツとは、流石にS県でも今時どうかと思う。

 そんなスーツで一体誰にどうアピールする気なのか理解出来ない。そもそもお笑い芸人だってステージで観客の視線を自分い引き付けるために着ているのであって、決して好き好んで来ている訳でもない。

 そんな自分が北條先生に声を掛ける事が出来る立場にあるのか疑問を抱かなかったのだろうか? ……その図々しさがある意味羨ましい。そして羨ましいから容赦なく裁くのが俺の正義。



 少しずつ、高度を下げて射程距離内に収めると【昏倒】を発動させて、赤・青・黄色の原色スーツの三人組を気絶させる。

 北條先生は周囲に【気】を放ち警戒するが、俺は彼女の警戒範囲の外にいる。

 水平方向は十五メートル程度だが、ドーム状に広がる【気】の範囲は垂直方向の頂点は精々五メートルほどと低いので【昏倒】の射程距離の方が長い。


 北條先生は【鬼】の攻撃を疑ったのだろうが、自分の警戒範囲に捉える事が出来なかった事で厳しい表情で周囲に視線を飛ばす……実に凛々しい。此方にも視線をくれて欲しいくらいだ。


 その時、強い【気】……いや【鬼】を感じた。

 距離は僅か百メートル。マップ機能で検知出来ずにこれほど接近されるはずがない。

 つまり、この【鬼】は突如現れたという事だ……それってありなのか? いやありなんだろうな。


 相手の詳細は【鬼】だけで検索を掛けているので分からない。

 オーガとなら、それほど個体差は大きくないので問題ないが、【鬼】は個体差が大きいらしい。

 まあ、【鬼】に関しては素人同然の俺だが、見なくともこいつの力が、今までの【鬼】とは比較にならないほど強い事は分かる。

 夢世界の基準で例えるならゴブリンと龍ほど違う。即時には北條先生には荷が重いと判断する。つまり、こいつは俺専用の敵だ。



 高度を上げると【鬼】に向けて飛翔する。

 ビルの屋上の上に佇む、常人には決して見る事すらかなわない深い闇。

 先日の【鬼】と同じカテゴリーに属するという事に疑問を憶える。これじゃあ魚類とか哺乳類と同じくらいのカテゴライズだ。


「幅が広すぎる!」

 先日の雑魚を基準と考えて、甘く見ていた自分が馬鹿だった。

 はっきり言って、俺の【気】は大島に比べてもかなり大きいが、まだを使いこなしているとは言えるほど経験を積んではいない。

 北條先生のように人に取り憑こうとする【鬼】を人体に影響なく身体から追い出すなどの真似は出来ない。


 突然、強い【気】の塊が放たれる。

 反射的に回避しながらの収納を試みるが出来なかった。

 放たれた【気】は【鬼】の一部であり、【鬼】は意識を持つ【気】であると考えるべきなのだろう。


「それなら話は早い」

 自らの魔力を練り上げ圧縮し、ミリ単位の小さな魔力球を作り上げる。

 【鬼】が【気】であるならば魔力で相殺出来る。


 魔力と【気】は別のものだ。

 【気】は物体にも強く干渉するが、魔力は魔力と魔粒子への干渉と、魔法や魔術の影響下にある物体へのごく僅かな干渉しか行わないと考えていたが、以前大島が、俺の魔術を気合で打ち消した様に、魔力と【気】は干渉しあうのだ。

 ならば、【鬼】に対して無理に使い慣れない【気】を使う必要はない。

 扱い慣れ、【気】に比べて有り余る魔力を使えば良い。


 【鬼】が自らの周囲に放つ濃厚な【気】の障壁に向けて圧縮した魔力を前方へと連続的に打ち出していく。

 魔力は【気】触れると圧縮が解除されて爆発的に広がり、周囲の【気】を吹き飛ばしていく。

 次々に爆発する魔力球が作った【気】のトンネルを、突き抜けて数十個の魔力球が【鬼】本体に突き刺さり爆発する。

 【鬼】は断末魔の悲鳴を上げる事無く吹き飛び、後には何も残さずに消えた。


「思ってたより弱い」

 【鬼】の強さを龍に例えたが、そもそも比較対象のゴブリンと雑魚【鬼】ではゴブリン圧勝レベルの差があり、【鬼】と龍との差も圧倒的だった。

「単に倒すだけなら簡単だな」

 取り憑かれた場合は、今後の課題だが、今度大島に、いや、それなら元早乙女さんを……どちらも嫌だ。本当に嫌だ。

 だとするなら、心当たりの人物は……そいつは俺の背後に立っていた。


「小僧。お前は何者だ?」

 振り返らなくても分かる荒い息遣い。余程慌てて駆け付けたのが伺える。

 既に女房との仲も冷え込み、一人息子からは嫌われ孫にしか愛情を注ぐ対象の無い憐れな老人なのだ。

「爺、またボケが進行したか? 昨日の晩に何を食べたのか言ってみろ」

 背中に突き刺さる様な冷たい殺気を放つ、北條の爺を振り替える事無く煽る。


「……別人ってわけじゃねえな」

「おい爺。お前はどういう基準で俺と言う人間を判別してるんだ?」

「そりゃあ……口の悪さだろう?」

 何で疑問形だ?


「それよりも小僧。倒すだけなら簡単とはどういうことだ?」

「聞かなくても分かるだろう? 気配を感じてお前が焦って出張って来た【鬼】の事だ」

「やはり小僧。お前が?」

「この場に俺以外誰が居るんだよ?」

「……改めて訊こう。小僧、お前は何者だ?」

 俺は答えず、空を見上げる。

 ビルの屋上で目線より上に光源が殆ど無いのもあるが、繁華街だというのに夜空に沢山星が見えて、見えすぎて切ない。

「小僧?」

 訝し気な爺を無視して、春の大三角形の中で一際強く輝く星を指さす。

「この星よりアールクトゥルスの方向へと八千光年彼方にある星系……それが俺の故郷だ」

「な、なんだってぇぇぇっ!」

 驚きながらも、あっさり信じているだと?

 爺にとっては信じてしまうくらいに、あの【鬼】を俺が倒したことが驚きであったのだろう。

 しかし、こんな与太話を頭から否定出来ない程度に、沢山の人外の存在を知っているという事だ。

 現実世界の闇の深さに戦慄を覚えた。


「……まあ嘘だけどな」

「小僧ぉぉぉっ! 一瞬信じた儂のときめきを返せ!! 宇宙規模に広がった儂のロマンを返せ!!!」

 それにしても爺はSF者か、いい歳してSF者も人斬りもネラーもやめられそうにない……業が深い。


「良いか爺。この広い宇宙には人類など比較にならない高度な文明を作り上げた知的生命体は数多く存在するかもしれない。しかしな」

「しかし?」

「そいつらは絶対地球には来ないんだ」

「何故じゃ? 何故そんな事が言い切れるんじゃ?」

「簡単だ。地球に来る理由が無いからだ」

「馬鹿な、ほ、ほら地球侵略とか色々理由があるじゃろ?」

「……無い。地球を侵略する理由は何だ? あるなら言ってみろ」

「青くて美しい地球は宇宙の宝石箱や~っていうだろ」

 爺、混乱している。

「青くて美しいはそれは地球人の感覚で完全な手前味噌だ。地球とは全く異なる環境の星で発生して進化した生物にとっては、自分達の住む星こそが美しさの基準だ」

「そんな……」

「それに何か欲しい資源があるなら、わざわざど田舎の地球くんだりまで来なくても、もっと近場で手に入れるだろ」

 銀河において太陽系は間違いなくド田舎だ。

 高度な文明を持つ知性体が存在する可能性が高いのは、古い恒星系の多い銀河中心部のバルジ領域だろう。

 そこから棒状構造体。そして四本の渦状腕であるペルセウス腕。サジタリウ腕。ノルマ腕。そして不可視領域遮られいて分からなかったが、実は一つの腕だったスクトゥム・ケンタウロス腕が銀河を形成する重要な構造体だとするならば、地球のあるオリオン腕などはペルセウス腕の抜け毛に過ぎない。


「だが……」

「恒星間移動技術を持つなら、日帰りや一泊二日の遊び感覚で気軽に来られると思ってるのか?」

 爺の言葉を先回りして否定してやる。

「ほら、それはワープとかあるじゃろ?」

「そんな気軽に高速道路に乗る感覚でワープ出来るとでも思ってるのか? どれだけのエネルギー量が必要になるんだ?」

「宇宙人は……地球には来ないのか?」

「精々、無人船を飛ばして研究目的で観察しておしまいだな。それ以上はあらゆるコスト面で無理だ」

「侵略しに来てはくれないのか?」

「侵略して欲しいのかよ! 大体、宇宙人は地球を侵略して何を得るんだ? 逆に地球は宇宙人に何を差し出す事が出来るんだ?」

「い、いつの日にか地球侵略を企む宇宙人がやって来ると信じていた儂の青春は……」

「全くの無駄だ……そんな青春は思い出ごと捨ててしまえ! 大体、何で侵略されることを望んでるんだよ!」

 そう言いつつ俺は背筋に冷たい汗が流れるのを感じている。

 平行世界のお化け水晶球って……いやいや、まさか、気のせい気のせい。



「それで結局お前は何者なんだ」

 畜生、折角逸れた話の筋を元に戻すんじゃねえよ!

「俺は俺だ。この世にたった一人の高城隆君だよ」

「君って面か!」

「爺の不肖で本当に良かった孫娘は、俺を君付けで呼んでくれてるぞ」

「弥生が、こんなのを君付けとか間違ってるだろ!」

「むしろ、北條先生……弥生さんがお前の血を引いてる事の方が何かの間違いだよ……病院で取り違えてねえか?」

 

「何を言う、弥生や皐月は嫁に似てはいるが、東雲の面影も受け継いでいる」

「いや、取り違えるならお前の息子だよ。常識人で苦労してそうなところは爺に全く似てねえよ」

「……………………いや、そんな事は無い」

「随分、間があったな」

「な、何を言う!」

 この動揺。瓢箪から駒なのか?

「へぇ~、思い当たるんだ」

「思い当たらねえ!」

「北條先生が爺の血を引いてなかったなんて、こんなめでたい事は無い」

 俺と北條先生の結婚の障壁が一つ消えたという事だ。まあ洋室と和室の敷居の段差程度だけどな。


 さてと爺の心を根元からへし折ってやったので、有耶無耶なまま退場しようと思ったがそうはいかなかった。



 この騒ぎを北條先生が気づかないはずもなかった。

「お爺ちゃん! ……高城君?」

 俺は咄嗟にキロマスカラスの覆面を装備した。爺は仕方が無いにしても、今の段階で北條先生に知られる訳にはいかない……ロマン展開的に。


「タカギ? 誰デスカ?」

 振り返ると巻き舌で答える。今や数か国語を話せる俺の巻き舌は本格的だ。

「こ、小僧……」

 俺の道化っぷりに爺が残念なモノを見る目をして呟く。

 お前の気持ちは痛いほどに分かるが、今は小僧と呼ぶな。バレてしまうだろう!


「高城君よね?」

「イイエ、私は謎ノ覆面レスラー、キロマスカラス──」

「高城君よね!」

「……はい」

 俺はおとなしくマスクの頭頂部を掴むと剥ぎ取った……爺、「弱っ!」とか言うな。



「体調不良で学校を休んだはずの貴方が、どうしてこんな時間、こんな場所に貴方が居るのですか?」

 北條先生の声は何処までも冷静でその在り方が冷厳だった。下手な言い訳をしたら一刀両断にされそうだ。

 叱られるのを想像するだけでゾクゾクすると思っていたが、こんな風に背筋が冷たくなってゾクゾクするのは全くご褒美じゃない話が違うぞ!


「………………」

「答えなさい」

 答えに窮していると厳しく追及される。追い詰められた俺は──

「爺に命じられて」

 何の躊躇いも無く爺を売った。


「小僧っ!!」

 だって事実だしぃ~。

「そのムカつく顔は止めい!」

 爺が仕込み杖の握りの部分を握り、いつでも抜刀出来る構えを取るがそれは命取りだ。


「お爺ちゃん!」

 北條先生の視線が爺に向くと、一瞬で冬が終わり、春の優しい風が吹いたような気がするほど楽になる。

「儂はそんな事言っとらん!」

「儂はもう爺だから、代わりにお前が弥生を手伝ってやれって言いました」

「……言ったな。確かにそんな事を言っちゃったな儂!」

 どうやら言い逃れではなく、本当に忘れていた様だ。これだから爺は困る。


「お爺ちゃん……」

 北條先生の声に爺がビクッと身体を震わせる。大島の殺気を浴びても身じろぎ一つしなかった妖怪爺がである。

 どんだけ孫娘に弱いんだよ。

「弥生が心配だったんじゃよ」

「だからと言って他所様の子供を危険な事に巻き込む道理はありません!」

 異論の余地のない正論だったが爺に正論なんて意味が無い。ただ孫娘に叱られるという事実だけが彼の心を抉るのだ。


「とりあえずお爺ちゃんは家に帰ってて」

「弥生ぃ~」

 許されたと思った爺が気を緩める。

「お婆ちゃんを交えて話があるから」

 こんな爺の姿を目にする事になろうとは……そう思うわざるを得ないほどに爺の姿が雨に濡れた草臥れ切った老犬のように惨めだった。


「高城君、家まで送ります」

 それが「中学生がこんな時間に出歩いているんじゃねえ! 家まで監視するから逃げるなよ」の意である事は重々承知しているが、何となく距離感が近づく重大イベントの様な気がして心が沸き立つなんて事が俺に許されるはずもなかった。


 音も無く耳元を風の様な何かが吹き抜けて行った。

「やっぱりな……」

 爺が呟く声だけがはっきりと耳に届く。

「【鬼】……こんなに強いなんて」

 北條先生の喉がごくりと鳴る。


「爺、やっぱりって何だ?」

「単に【鬼】を吹き散らして払ったつもりになってただろう? 小僧」

「つもりも糞も、北條先生が雑魚を払ったのしか、俺は知らねえよ」

「…………奴はお前に何も教えてないのか?」

 奴? ああ大島の事か。

「鬼剋流が鬼退治で国から金を貰って成立してる団体だという事くらいは」

「何で教えてないんだよ!」

「自分が居なくても爺が何とかするだろと言ってたぞ」

「あの糞餓鬼が!」

 履き捨てる爺に、「じゃあお手本を見せてくれよ」と言い放ってやった。


「ちっ! 仕方ねえな」

 爺は【鬼】に向き直り、構えを取る。緩やかで深い呼吸はまるで息をしていないかの様に静かだ……いっその事、息するのを止めればいいのに。


 静からの動への切り替えは俺が見逃しかけるほど突然にして一瞬。

 鋭く息を吐くと、人類の限界を遥かに超えた跳躍で【鬼】に迫ると杖より白刃を閃かせる。

 人の形すらしていない【鬼】だが、人間であれば右肩から腰の左へと斬られるが、爺は物理法則を無視したかのように、身体を支えるものの無い空中で再び、刃を振り上げると更なる斬撃を放った。

 同時に感じる断末魔の悲鳴のようなゾクリと胸底を波立たせる感覚が襲う。

 それは先程俺が倒した時には感じられないものだった。


 そして爺は自らの身体で空に大きな弧を描き、「あっ」と声を漏らすとビルの屋上の手摺を超えると向こう側へと落ちて行った。


「落ちましたね」

「……落ちたわね」

「死なないかな?」

「無理ね。この程度では」

 目に入れても痛くないだろう孫娘からこの扱いである……全然可哀想とか思えない。


「あれで鬼退治は出来たんですか?」

「おじぃ……祖父の一撃で【鬼】の核を破壊したので、もう復活する事は無いはずよ。そうは言っても【鬼】は後から後から生まれて来るから、もしかしたら一度退治された【鬼】が一定の時間が経過した後で復活しているのかもしれないけれど」

 流石にその辺の事は分かってはいない様だ。

「ところで【鬼】の核とは何ですか?」

「核とは鬼の本体です。弱い【鬼】は核がむき出しの状態ですが、力を得ると自らの核の周囲に【気】を巡らせるようになります──」

 完全に教師スイッチが入ってしまった。

 単に分かり易く簡潔な説明ではなく、息継ぎの間合いとアクセント、そして冗長性を多分に含む事でより多くの生徒が理解出来るように話す。

「どうすれば核の位置を特定出来るのですか?」

「核は【気】の最も濃い場所にあります。一度斬り付ければ、張り巡らされた【気】の流れからその源を斬るのです……」

 なるほどだから爺は二度切りつけた訳か。

 それにしても流石に、この辺は抽象的になってしまう。空手の技と一緒で言葉だけでは説明は出来ない。やってみなければ、やられてみなければ分からない世界だ。

 しかし、まだ分からない事はある。


「素手の場合はどうすれば?」

 こちとら剣術家じゃないから斬りつけて云々は意味が無い。

「基本的に【気】は核を守るためのものなので、核は張り巡らされた【気】の中心部にあります。ですがご覧の通りに【鬼】は球形ではありません。戦うために必要な形に変化させています。しかし全体のフォルムから見て場所は限定されるはずです。だから中心に近い部分を殴れば、核の位置を感じられると思います」

 ちょっとがっかりだった。

 この後「じゃあ、試しに戦ってみましょう」となって一緒に【鬼】を探し、手取足取り教えて貰うなんて事を想像していたからだ。

 ……想像じゃなく妄想ともいう。



「少しは儂の心配をせんか!」

「………………」

「何か言えっ!」

「遅かったな」

「私達を待たせて何をしてたの?」

 俺も北條先生も塩対応だった。

「待ってなかったよな? 全然待ってなかったよな?」

 爺を無視して俺と北條先生は屋上非常階段で降りていく。


「じゃあ、帰りましょうか?」

「送って行くわ」

「いえ、そこまでして貰わなくても大丈夫です」

「家まで送ります。こんな時間に中学生を一人で帰らせる訳にはいきません」

「普段からこんな時間にマルの散歩ついでのランニングしてますから……」

 余計な事を言ってしまった。


「高城君?」

「もしかして説教コースですか?」

「いえ、担任としてはどうかと思いますが、それくらいしないと空手部のしごきを乗り越えられないと分かっていますから……むしろ、私の方が大島先生を止められなかったことを申し訳なく思っています」

「北條先生が血縁関係抜きで爺さんを止められますか? 世の中には正論が勝てない理不尽が幾つもあるんですよ」

 特に俺の周りには沢山の理不尽が、理不尽は友達!


 帰り道、周囲に人の気配が無くなったところで話を切り出して来た。

「高城君。貴方が【気】を使える事に関してじっくりと聞かせて貰うわよ」

 これじゃ誤魔化しが利かない。

 今からでも何とかならないの? 爺が口裏を合わせれば……無駄だな北條先生とお婆さん相手にあいつが口を割らない状況が想像出来ない。

 俺と爺は互いに相手を庇うような義理は無い。いや、奴との間に何らかの義理が存在すると想像することが気持ち悪い。

 ああ、お願いだから俺と北條先生が結婚する前に成仏してぇ~。


「高城君?」

 いかん、北條先生と結婚して可愛い三人姉妹の子供を授かり幸せに暮らす夢を見てしまった。

「間違いなく【気】を使えますよ。大島にそう鍛えられていますから」

「中学生にそんな事を教えるなんて!」

「大島にそんな理屈は通用しません」

 大島だって、システムメニューが存在しなければ下地を作るだけで、【気】に関しては存在すら教える気はなかっただろう。

 だが奴を擁護する気はさらさらない。もし俺がそんな事をしたら偽物なので即殺して欲しい。


「それに奴は、僕達を鬼剋流に取り込む気満々でしたから」

「取り込まれるの?」

「いえいえ、全く誰一人としてそんな馬鹿な事を考える奴は……紫村くらいかな? とにかくもしも個人的に鬼剋流に興味があったとしても、大島に人望が無さすぎてお断りですよ。どうやって取り込む心算だったのか、もしも奴なりに勝算があるとするなら法に触れる様な手段を用いて来る可能性がありますね」

 しかもかなりの高確率で。


「高城君以外も【気】を使えるの?」

「今の段階では俺だけです。だけど俺が教えれば最低限のレベルですが使える様になります」

「最低限?」

「僕自身がそうだからですよ。本当に最低限の使い方しか出来なので……」

「えっ……だって、あの【鬼】を一時的にでも倒したのよね?」

 本人も気づかない教師モードからプライベートモードへの移行。その表情が可愛らしくて心の奥で何かが漲ってしまう。

「それは力尽くのゴリ押しで」

 取りあえず魔力に関しては内緒にしておこう。

 それでは北條先生は百パーセントは納得出来ないだろうが、謎めいているくらいの方が少しは気にかけて貰えるだろう。

 自分の浅ましさは分かっている。でも仕方ない。それほどに俺と彼女の置かれた立場が作る距離は遠く、そもそも恋愛対象にはなりえないのだから、無理を通すために道理に引っ込んでて貰う必要があるので必死だ。


「それほどまでに高城君の【気】は強い……」

「比較対象が大島くらいなので、どれほどのものかは良く分かりません」

「実際大島先生と比べてどのくらいの【気】が?」

「僕の方が勝っていますね」

「……訓練しましょう」

「良いんですか?」

「だって、それだけ【気】の素養があるなら、力尽くでも十分戦えてしまうでしょう? そして【鬼】が誰かを害するなら戦わずにはいられないんでしょう?」

 言うべきか? いや言えない。だけど、だけど言ってしまおう。

「いいえ、先生が危険を冒してまで戦うのならば、僕は力になりたいだけです」

 言っちゃったよ。どうして言ってしまったんだろう。これはロード……セーブしてない! 痛恨のミスだ。


 俺がロードして時間を巻き戻した時に撒き戻した分の記憶を保持しているのは俺と俺のパーティーメンバーだけで、アムリタは記憶を失うので、今ロードを実行したらプライドを投げ捨ててまで頑張ってアムリタと打ち解けたマルに本気で噛まれるだろう。

 ……ならば前へと進むべきだ。本当に駄目だったら仕方が無い、マルに思いっきり噛まれよう。


「冗談はさておき」

 表情一つ変えずにスルー。まさかの状況にロードしかけた。

「冗談じゃないですよ!」

 もうこうなったら、ロード前提で前に進むよ。それでも駄目で見込みが全くないとしたら……どうしよう?

 すっぱり諦めるなんて事は出来そうに無い。


「私の為だと言うのなら貴方が戦うのを認める事は出来ない……私は教師だから」

 教師と生徒。そう言われてしまうとどうしようもないよ。

 でも、教師と生徒という立場じゃなかったらどうなんだ?

 だめだ、正直にそう尋ねてしまう事が怖い。

 立場や年齢の垣根を取り除いた上でのお断りには『生理的に無理なの。ごめんなさい』とか俺の心にとって致命的な理由が多分に含まれている事になる。


 だけどもう、先に進むと決めたのだ。どんな残酷な運命が待ち構えていて、完膚なきまで打ちのめされ二度と立ち上がれないような結果が待ち構えていたとしても、例え死ぬと分かっていても……悲壮感しかねえ!


「生徒の僕では貴女の横に立つ資格は有りませんか?」

 資格がないなら死角に立ってこっそり守り続ける。今まで通りにな!

「そういう問題じゃない!」

 彼女の鋭い声に、俺は打ちのめされた。自分で思っていた以上に俺の心は脆かったようだ。

 気付けば俯いていた。目を合わす事すら出来ない……これ以上、拒絶されたら心がガラスのように砕けそうだ。


 ふと視界の隅に北條先生の強く握られた拳が震えているのが見えた。そんな拳から怒りや拒絶だけではない感情が伺えた。

 相手の目から様々な感情が見て取れるように、小さなしぐさや呼吸からも様々の感情を読み取る術を大島から叩き込まれている。

 言葉から読み取れるものだけが全てではない。だから俯いている場合ではない。

 北條先生の目を見つめながら「じゃあ、どういう問題なんですか?」とマルに噛まれる以外は後戻りが出来ない核心に迫る言葉を口にした……してしまった。どうしよう?


 全く覚悟が出来てないのに勢いで言ってしまったが、決して冷静でない訳ではない。

 俺の五感は全神経をフル回転させて北條先生の一挙一動を余すことなく捉え、無駄に高まった情報処理能力を活かしてリアルタイムで分析を行う。

 ……相手の焦りや迷い、怯え、侮り等、戦いの場で知るべき相手の感情は読み取れるが、それ以外ではポンコツだった気づかされる。

 辛うじて、拒絶されているのでは無い事だけは読み取れたが、悲し気な瞳や、全体的に紅潮した顔色などからは先生の考えは読み取れなかった。



「小僧の胸の裡は定まっているぞ。弥生、お前はどうなんじゃ?」

「爺、早く帰って叱られろ」

 いきなり現れて口を挟んできた爺を俺は容赦なく爺を切り捨てる。

「儂はお前を……」

 俺を擁護しようとしたのは確かだが、俺を取り込みたいのも事実だろう。俺は北條家に取り込まれるにしても、爺抜きの北條家に取り込まれたい。

「そ、そうよ。お婆ちゃんに電話したんだから待ってるわよ」

「電話したのか?」

「したわよ!」

 爺の顔に浮かぶのは絶望。

「……これから儂は旅に出る。探さないでくれ」

 そこまで嫁が怖いのか? だが俺はお前の方がずっと怖い。

 そんなにまで怖れる嫁と長年連れ添いながらも、性根が全く改まってない……いいや、改まってはいるんだろうが、多少なりとも改まった結果がこれかと考えると、元の性根がどれだけ酷いのかと考えると恐ろしい。

 そして、そんな爺と結婚させられた(本人が望んだとは思えない。間違いなく家同士で決まった婚姻だろう)北條先生のお婆さんの胸の裡を思えば同情の念しかない。


「小僧。言いたい事は色々あるが、儂が戻って来るまでにはひ孫を頼む」

「お、お爺ちゃん!」

「もしそうなっても、帰って来るなよ」

「さらば!」

 爺は去って行った……しかし、すぐに戻って来そうな気がして嫌だった。


「た、高城君。あ、あ、あのね……」

 混乱している北條先生も可愛くて良いものだが、この場は勢いだ。そして勢いをくれた爺に、生涯で一度っきりだろう感謝を。

「僕は本気ですよ。先生、貴女を愛しています」

 言った。思うばかりで口にしなかったヘタレの俺が、ついに告白した。例えこの後爆死する事になろうとも後悔は無い。

「私は年上で、しかもあなたの担任なのよ」

「それは僕にとって全く関係ありません。人として立派な大人であり、素晴らしい教師である貴女を好きになったんです」

 これが今、俺に出来る最高の告白だ。そして次の告白なんていらない。これが生涯にただ一度の告白で構わない。


「でも、それなら私が高城君の気持ちに応えたなら、私は立派な大人でもなく教師としても失格になってしまうわ」

 …………あれ? 俺何か間違ってた? いや、間違いなく間違ってる! 北條先生の言う通り完全にロジックが崩壊してるよ。

 人生初めての告白でこの有様だよ。何が最高の告白だ。何が生涯にただ一度の告白だ……童貞をこじらせ過ぎて死にたい。

 だが、ただでは死ねぬ。死ぬならば前のめりに死のう。そして、そんな馬鹿な男がいた事を彼女の記憶の片隅に焼き付けたい。


「一年生の頃からずっと好きでした。この気持ちを伝えずにはいられないほど好きなんです」

 完全に正面からの感情の吐露。もう俺にはそれしか手段が無かった……引き出しが少な過ぎる。

「気持ちはうれしいわ……こんな風に好意を告げらえれた事無かったから」

 おいおい、世の中の男達は何やってるの? 北條先生の周囲にいた男達は全員同性愛者? 本当に意味分からねえよ。


「でも私が教師である限り、高城君の気持ちは受け入れられないの……私はまだ貴方達の先生でいたいから」

 これは「ずっとお友達でいましょう」レベルのお断りなのではないだろうか? この手の事に関してはレベル一の坊やに過ぎない俺にはどう判断すれば良いのか分からない。


「僕と先生の関係が生徒と教師でなくなれば望みはあるんですか?」

 もし俺が先生と結ばれたとしても、彼女の事は「先生」と呼びたくなるだろう。そして「高城君」とも呼ばれたい。

 生徒と教師と言う関係が終わらなければ関係が進展する可能性は無く、関係が進展しても生徒と教師と言う関係捨て難いという難題に俺は心の中で悶えている。

「高城君……中学を卒業したらなんて考えてるなら間違いよ」

 間違いなの? 何で? ……そうか俺が十八歳未満なら大問題だよな。

 それにしても十八歳。まだ四年もあるよ。それまで先生が恋人も作らず独身でいるなんて奇跡が起こるのか?

 俺は、先生が今まで告白されたことが無かったなどという戯言は信じていない。ただし生娘云々だけは信じよう。信じたいんだ!

 やはり、世の中の男全てを同性愛者にする魔法でも紫村に作ってもらうしかないのか? ……いや、その場合、真っ先に俺が同性愛者にされかねない。


「俺が先生が認める様な男になるまで待っていてくれますか?」

 また俺はセコいレトリックを弄してしまった。要するに先生の未来を縛るための言葉だ。

 受け入れてしまったなら、俺と結ばれるまでずっと一人でいるという呪いにも等しい約束になる。


 彼女は少し考え込み、何度か口を開こうとして躊躇った後、ゆっくりと話し始めた。

「その頃には、あなたが自分に相応しい年頃の恋人を見つけるわ。そうなったら連絡して……じゃないとずっと待つことになってしまうから」

「そ、それって……」

「……知らない」

 こ、これは、まさかの奇跡?

 その後、北條先生と何を話し、どうやって家に帰ったのか憶えていない。意識が飛ぶほどの嬉しかったのだ。


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今回の展開に文句があるなら言ってみろ…………同意してやる!


今回の終わりの方はどうしても書けなかった

余りにも書けないので、しばらく書かない作戦を実行する

しばらく書かなければ、不意にアイデアが思い浮かんだり

思い浮かばなくても書きたいという気持ちが高まり、強引に書けてしまうものだが、今回は全く書けない

仕方なく書けない日は、一日一行、二行でもひねり出すように書き続けたのが、この有様で申し訳ない


良い歳したおっさんが思春期の少年の恋心なんて甘酸っぱいもの無理なんだよ

十代の頃の恋心はおっさんにだってあったが、その記憶はあっても想いは、もうおっさんの中には無いんだよ

かといって恋愛モノとか読んだり、観たりするタイプじゃないから補完する材料が無い


本来なら、こんな展開を書くべきではなかった

しかし大雑把な骨組みしか用意せずに、その場その場で適当に何処まで書き続けられるかがコンセプトの作品だけに

流れ流れ、どこまでも勢いに流された結果、もう書かざるを得ない状況に追い込まれた故の失態

書き上げた後も怖くてしばらく投稿を控えるレベルだよ


何も考えずに書くと、おっさんしか登場しない作品が出来てしまうので

もう一つの幽霊の作品の方も、元々は姪っ子も犬もおらず、主人公と担当と幽霊三人にゲストキャラのみで展開していく話でした

正直なところ書いていて楽しいのですが、誰かに読ませると考えると余りに酷い絵面なので

昔の偉い人の「困った時は、子供と動物」という教えに従い書き直していたのですが話のテンポは明らかに悪くなる始末



ちなみに、この後の展開は今から考える……泥縄だ!




>専用の敵

先日の深夜に観た「からくりサーカス」で、同じセリフがあったが、これはそれより先に「妖獣都市」でジュゼッペ・マイヤートがラスボスを前にして言った「本当にわし専用の相手じゃの」という台詞の剽窃。(オマージュとか取り繕っても剽窃は剽窃)

つまり「自分以外には誰も勝てない」と言い切る爺さんに厨二心(当時高校生)を刺激されて「スケベ爺、格好良い!」としびれたが、その後は原作でもアニメでも……ま、まあ良いんだ

とにかく、少年の頃に心に刺さっておっさんになっても、未だに抜けていない台詞の一つ

しかし、おっさんになると新しい何かが心に刺さりづらくなってる気がして寂しい

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